精算表の書き方|8桁精算表を横に流す3ルールと部分点

精算表の書き方、8桁精算表を横に流す3ルールと部分点と書かれた「簿記3級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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精算表の問題で、どの欄から手をつければいいか迷っていませんか。8桁精算表は、試算表の金額に修正記入を足し引きして、損益計算書か貸借対照表のどちらかへ横に流すだけの表です。ルールは「同じ側なら足す・反対側なら引く」「収益・費用は損益計算書、それ以外は貸借対照表」「当期純利益は差額」の3つです。

この記事では、決算整理5つの設例で完成表を1枚作り、当期純利益を2か所で検算します。時間が足りないときに部分点を拾う順番も紹介します。

目次

精算表とは?8桁精算表の4つの欄

精算表とは、決算整理前の残高試算表から、損益計算書と貸借対照表を作るまでの流れを1枚にまとめた表です。借方・貸方の2列が4組、合計8列あるので8桁精算表と呼びます。

欄書く内容金額の出どころ
試算表決算整理前の各勘定の残高問題で与えられる(記入済みのことが多い)
修正記入決算整理仕訳の金額自分で書いた決算整理仕訳
損益計算書収益・費用の決算整理後の金額試算表±修正記入
貸借対照表資産・負債・純資産の決算整理後の金額試算表±修正記入

科目は上から資産・負債・純資産・収益・費用の順に並ぶのが一般的です。修正記入で新しく出てくる科目(貸倒引当金繰入・減価償却費・前払保険料など)は、試算表の科目の下に追加します。

精算表は正式な帳簿ではなく、決算の全体を見渡すための一覧表です。第3問では、決算整理仕訳が正しく書けているかを、この表を埋める形で問われます。修正記入欄のない6桁精算表もありますが、第3問では修正記入欄のある8桁の形が一般的です。

横に流す3つのルール|行き先の判定表

1行ずつ左から右へ金額を運ぶときのルールは、次の3つだけです。

  1. 同じ側なら足す、反対側なら引く:試算表の金額と修正記入が同じ側(借方と借方など)なら足し、反対側なら引く
  2. 収益・費用は損益計算書、資産・負債・純資産は貸借対照表:計算した金額を、残った側(借方・貸方)のまま移す
  3. 当期純利益は差額で出す:損益計算書と貸借対照表を埋めてから、それぞれの貸借の差額を当期純利益として書く

科目の区分ごとの行き先は次のとおりです。貸倒引当金と減価償却累計額は資産から差し引く科目なので、貸方の残高のまま貸借対照表の貸方へ移します。

区分残高の側行き先科目の例
資産借方貸借対照表の借方現金・売掛金・繰越商品・前払保険料
資産のマイナス貸方貸借対照表の貸方貸倒引当金・備品減価償却累計額
負債・純資産貸方貸借対照表の貸方買掛金・借入金・資本金・繰越利益剰余金
収益貸方損益計算書の貸方売上・受取手数料
費用借方損益計算書の借方仕入・給料・減価償却費

ポイント

迷ったら「この科目は翌期に持ち越すか」を考えます。持ち越す資産・負債・純資産は貸借対照表、当期で締める収益・費用は損益計算書です。

2027年度から精算表で変わるところ

2027年度適用の出題区分表では、売上原価対立法(販売のつど売上原価勘定に振り替える方法)が2級から3級に移ります。この方法で記帳している問題では、試算表の段階で商品と売上原価が正しい金額になっているので、売上原価の修正記入はありません。定率法(基本的な仕組み)も3級に移りますが、変わるのは減価償却費の計算で、精算表の書き方は同じです。

また、3級の区分表から手形が削除されます。2026年度(2027年3月まで)の試験では、受取手形・支払手形が試算表に並び、受取手形が貸倒引当金の設定対象に入ることがあります。この記事の設例は、どちらの年度でも使える売掛金と電子記録債権で作っています。売上原価対立法の記帳は三分法と売上原価対立法の違い、改定の全体像は2027年度の出題区分表改定のまとめで確認できます。

設例|決算整理5つで8桁精算表を完成させる

ここからは1問を最初から最後まで解きます。会計期間は4月1日〜3月31日で、数字はすべて解説用に作成したものです。試算表の金額は、後で示す完成表の「試算表」欄のとおりです。

設例(決算整理事項)

(1) 現金過不足3,000円(借方残高)は、決算日になっても原因が分からなかった。

(2) 期末商品棚卸高は104,000円である。

(3) 売掛金と電子記録債権の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法で設定する。

(4) 備品について、定額法(耐用年数5年・残存価額ゼロ)で減価償却を行う。

(5) 保険料48,000円は、当期の11月1日に契約して1年分を支払ったものである。

手順1:決算整理仕訳をメモに書く

表に向かう前に、決算整理仕訳をすべて書き出します。いきなり表に書き込むと、どの金額をどの行に入れたか追えなくなるからです。

(1) 現金過不足の整理(単位:円)

借方貸方
雑損3,000現金過不足3,000

(2) 売上原価の計算:期首96,000・期末104,000(単位:円)

借方貸方
仕入96,000繰越商品96,000
繰越商品104,000仕入104,000

(3) 貸倒引当金:(350,000+150,000)×2%−3,000=7,000(単位:円)

借方貸方
貸倒引当金繰入7,000貸倒引当金7,000

(4) 減価償却:600,000÷5年=120,000(単位:円)

借方貸方
減価償却費120,000備品減価償却累計額120,000

(5) 保険料の前払い:翌期分7か月=48,000×7/12(単位:円)

借方貸方
前払保険料28,000保険料28,000

手順2:修正記入欄に写し、合計の一致を確かめる

仕訳の借方の金額は修正記入の借方へ、貸方の金額は貸方へ、同じ科目の行に写します。新しい科目は下に行を追加します。写し終えたら、修正記入欄の借方合計と貸方合計がどちらも358,000円で一致することを確認します。仕訳を写しただけなので、ここが合わなければ写し間違いです。

手順3:行ごとに横に流して完成させる

完成した8桁精算表です(単位:円)。スマートフォンでは表を横にスクロールして確認してください。

勘定科目試算表
借方
試算表
貸方
修正記入
借方
修正記入
貸方
損益計算書
借方
損益計算書
貸方
貸借対照表
借方
貸借対照表
貸方
現金58,00058,000
現金過不足3,0003,000
普通預金415,000415,000
売掛金350,000350,000
電子記録債権150,000150,000
繰越商品96,000104,00096,000104,000
備品600,000600,000
買掛金283,000283,000
借入金200,000200,000
貸倒引当金3,0007,00010,000
備品減価償却累計額240,000120,000360,000
資本金500,000500,000
繰越利益剰余金180,000180,000
売上2,400,0002,400,000
仕入1,480,00096,000104,0001,472,000
給料420,000420,000
支払家賃180,000180,000
保険料48,00028,00020,000
支払利息6,0006,000
雑損3,0003,000
貸倒引当金繰入7,0007,000
減価償却費120,000120,000
前払保険料28,00028,000
当期純利益172,000172,000
合計3,806,0003,806,000358,000358,0002,400,0002,400,0001,705,0001,705,000

修正記入のある行は、次のように計算しています。

行計算行き先
現金過不足借3,000−貸3,000=0どこにも書かない
繰越商品96,000+104,000−96,000=104,000貸借対照表の借方
仕入1,480,000+96,000−104,000=1,472,000損益計算書の借方
貸倒引当金3,000+7,000=10,000貸借対照表の貸方
備品減価償却累計額240,000+120,000=360,000貸借対照表の貸方
保険料48,000−28,000=20,000損益計算書の借方

修正記入のない行(現金・売掛金・買掛金・売上・給料など)は、試算表の金額をそのまま移すだけです。試算表19行のうち13行がこのタイプなので、ここを先に埋めるだけで表の大半が完成します。

当期純利益はなぜ借方に書くのか?2か所で検算する

損益計算書欄を合計すると、貸方(収益)2,400,000円に対して借方(費用)は2,228,000円です。差額の172,000円が当期純利益で、少ないほうの借方に書いて貸借をそろえます。「利益なのに借方?」と感じますが、合計を合わせるための差額を書いている、と考えると自然です。

貸借対照表欄は、借方(資産)1,705,000円に対して貸方(負債・純資産)は1,533,000円です。同じ172,000円を貸方に当期純利益として書きます。試算表の繰越利益剰余金180,000円には当期の利益がまだ入っていないため、その分だけ貸方が足りないのです。

損益計算書の貸借差額 = 貸借対照表の貸借差額 = 当期純利益

2つの差額が一致するのは偶然ではありません。試算表も修正記入も貸借が一致していて、その金額を損益計算書と貸借対照表に分けただけなので、片方で余った金額はもう片方で必ず足りなくなります。一致しなければ、どこかの行の計算か行き先の欄が間違っています。

費用が収益より多いときは当期純損失となり、損益計算書の貸方と貸借対照表の借方に書きます。当期純利益が繰越利益剰余金に加わる流れは、財務諸表の作り方で詳しく扱っています。

部分点を取る順番と20分の時間配分

精算表は行ごとに独立しているので、1つの決算整理で迷っても、ほかの行の答えまで間違いになるわけではありません。どの欄に配点があるかは事前に分からないため、合わせやすい欄から埋めて空欄を減らすことが、得点を積み上げる近道です。

順番やること時間の目安
1決算整理仕訳をすべてメモに書く5分
2修正記入のない行を先に横に流す4分
3修正記入欄を埋めて、合計の一致を確認する3分
4修正記入のある行を横に流す3分
5当期純利益を2か所で出して一致を確認する5分

設例では流れが分かりやすいように修正記入から説明しましたが、本番では修正のない行を先に流します。決算整理の途中で時間切れになっても、取りやすい欄を先に確保しておけるからです。

時間は第3問に20分を使う場合のモデルです。どうしても分からない決算整理が1つあれば、その仕訳だけを飛ばして残りを仕上げます。当期純利益は合わなくなりますが、その決算整理と関係のない行は正解のまま残ります。

当期純利益が合わないときは、差額の金額から原因を絞ります。差額と同じ金額の書き忘れか、差額の半分の金額を反対側に書いた可能性が高いからです。探す時間は2〜3分までと決め、見つからなければ次の大問へ進みます。

精算表でよくある間違いと、なぜその欄に書いてしまうのか

  1. 貸倒引当金・減価償却累計額を損益計算書に書く:貸倒引当金繰入・減価償却費と名前が似ているため、同じ区分だと思い込むのが原因です。引当金と累計額は資産から差し引く科目なので、貸借対照表の貸方に書きます。
  2. 繰越商品を試算表の金額のまま移す:売上原価の2行の仕訳のうち、1行だけを修正記入に写すと起きます。繰越商品と仕入の行には、借方と貸方の両方に修正記入が入るのが正しい形です。
  3. 現金過不足を貸借対照表に書く:試算表に残高があるので、どこかに書かないといけないと感じるためです。決算整理で残高がゼロになる科目は、どちらの欄にも書きません。
  4. 当期純利益を損益計算書の貸方に書く:「利益は収益の仲間」という連想が原因です。当期純利益は貸借をそろえる差額なので、利益のときは損益計算書の借方に書きます。
  5. 新しい科目を既存の行に書き込む:前払保険料を保険料の行に書くと、資産と費用が混ざって横に流せなくなります。新しい科目は下に行を追加します。

個々の決算整理の考え方は、売上原価の計算(しーくりくりしー)、貸倒引当金の仕訳、減価償却の計算、経過勘定の覚え方でそれぞれ詳しく解説しています。

練習問題|行の流し方・当期純利益・差額の探し方

練習問題1

次の3つの行を横に流すと、損益計算書・貸借対照表のどちらの、借方・貸方に、いくら書くか答えなさい。

(a) 受取手数料:試算表の貸方45,000円、修正記入の借方9,000円

(b) 貸倒引当金:試算表の貸方8,000円、修正記入の借方2,000円

(c) 未払利息:試算表になく、修正記入の貸方4,000円

練習問題1の解答と解説を見る
行計算書く欄
(a) 受取手数料45,000−9,000=36,000損益計算書の貸方
(b) 貸倒引当金8,000−2,000=6,000貸借対照表の貸方
(c) 未払利息4,000貸借対照表の貸方

(a)は収益の前受け(前受手数料9,000円)で、反対側なので引きます。(b)は貸倒引当金の残高が必要額より多かったため戻し入れた形で、同じ金額の貸倒引当金戻入(収益)を新しい行に追加し、損益計算書の貸方に書きます。(c)は新しく追加した負債の行なので、そのまま貸借対照表の貸方です。

練習問題2

ある精算表で、当期純利益の行を書く前の各欄の合計は、損益計算書が借方1,845,000円・貸方1,960,000円、貸借対照表が借方1,230,000円・貸方1,115,000円だった。当期純利益の金額と、書く欄を答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

当期純利益は115,000円で、損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に書きます。損益計算書は1,960,000−1,845,000=115,000円、貸借対照表は1,230,000−1,115,000=115,000円で、2か所の差額が一致するので検算も完了です。完成後の合計は、損益計算書が借方・貸方とも1,960,000円、貸借対照表が借方・貸方とも1,230,000円です。

練習問題3

精算表を完成させたところ、損益計算書で求めた当期純利益を書き込んでも、貸借対照表の貸方合計が借方合計より56,000円多かった。損益計算書の欄に誤りはないものとする。(1) 借方に書くべき1つの金額を貸方に書いた場合、その金額はいくらか。(2) 1つの金額を書き忘れた場合、借方・貸方のどちらに、いくらの書き忘れか。

練習問題3の解答と解説を見る

(1)は28,000円、(2)は借方に56,000円の書き忘れです。反対側に書くと、本来の側から金額が消えて反対側に増えるので、差額はその金額の2倍になります。56,000÷2=28,000円です。書き忘れなら差額はその金額そのものなので、足りない借方に56,000円です。

設例の精算表で前払保険料28,000円を貸借対照表の貸方に書くと、ちょうどこの状態になります。差額を2で割った金額を探すと、原因にすぐたどり着けます。

まとめ

  • 8桁精算表は試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の4組8列。決算整理仕訳を先にメモしてから修正記入へ写す
  • 横に流すルールは「同じ側なら足す・反対側なら引く」「収益・費用は損益計算書、資産・負債・純資産は貸借対照表」「当期純利益は差額」
  • 当期純利益は損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額。2つの差額の一致が検算になる
  • 部分点は、修正のない行→修正記入欄→修正のある行→当期純利益の順で積み上げる
  • 貸借が合わないときは、差額そのもの(書き忘れ)と差額の半分(反対側への記入)を探す

講義#42では、試算表から貸借対照表まで順に埋める流れと、時間がないときの部分点の狙い方を扱っています。文字で読んだあとに動画で流れを見ると定着します。次の一歩として、同じ決算整理を財務諸表の形で問われたときの解き方を財務諸表の作り方で、第3問全体の時間の使い方を簿記3級の大問別の解き方で確認しておきましょう。決算整理の全体像は簿記3級の決算整理仕訳の8つの型、講義の順番は簿記3級の全50本の講義一覧にまとめています。

動画で学ぶ|精算表の講義

よくある質問

精算表は何から書けばいいですか?

決算整理仕訳のメモからです。仕訳を書き出してから修正記入欄に写し、次に修正のない行を横に流すと、時間をかけずに表の大半が埋まります。いきなり表に書き込むと、写し漏れに気づきにくくなります。

精算表の当期純利益はどうやって求めますか?

損益計算書欄の貸方合計から借方合計を引いた差額です。貸借対照表欄の借方合計から貸方合計を引いた差額と一致するかを確かめ、同じ金額を損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に書きます。

6桁精算表と8桁精算表の違いは何ですか?

修正記入欄があるかどうかです。6桁精算表は試算表・損益計算書・貸借対照表の3組で、決算整理を含みません。8桁精算表は修正記入欄で決算整理仕訳を反映させる形です。

精算表の貸借が合わないときはどうすればいいですか?

差額の金額から原因を探します。差額と同じ金額の書き忘れか、差額の半分の金額を反対側に書いた可能性が高いです。見つからないときは2〜3分で切り上げ、ほかの大問の得点を優先します。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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