簿記2級の独学スケジュール|商業簿記と工業簿記

簿記2級の独学スケジュールと商業簿記・工業簿記の進め方を解説する記事のアイキャッチ画像

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3級に合格した勢いで2級のテキストを買い、商業簿記を1か月進めたところで工業簿記の存在を思い出す。そこから慌てて2冊目を開き、どちらも中途半端になる——2級の独学でいちばん多い失速の形です。原因は順番の設計にあります。2級は商業簿記と工業簿記という性格の違う2科目を、5題以内・90分で解く試験です。この記事では、工業簿記を先に立ち上げて商業簿記と並走させる6か月スケジュールを、週単位の表に落とします。統一試験15.1%とネット試験32.9%の差の読み方、2027年度の改定の影響も整理します。

目次

簿記2級の全体像:2科目・90分・70%以上

日本商工会議所が公表している2級の試験要項は次のとおりです。

項目内容
試験科目商業簿記・工業簿記(5題以内)
試験時間90分
合格基準70%以上
受験料5,500円(税込)
実施方式統一試験(年3回)とネット試験(随時)

3級との最大の違いは、工業簿記が加わることです。工業簿記は、材料や労務費を製品の原価に集計していく計算体系で、商業簿記とは考え方の土台が違います。「3級の延長線上にある科目」と「まったく新しい科目」が同居している——これが2級の構造です。

ポイント

工業簿記は3級の続きではなく、新しい科目です。「商業簿記が終わってから」と後回しにすると、立ち上げに必要な時間を確保できなくなります。

合格率の振れ幅をどう読むか

2級の合格率は、回によって大きく動きます。日本商工会議所が公表している数字を並べます。

方式回・期間合格率
統一試験第173回(2026年6月14日)15.1%
統一試験第172回(2026年2月22日)15.1%
統一試験第171回(2025年11月16日)23.6%
統一試験第170回(2025年6月8日)22.2%
統一試験第169回(2025年2月23日)20.9%
ネット試験2025年4月〜2026年3月32.9%

統一試験は15.1%から23.6%まで、8ポイント以上の幅があります。一方ネット試験は年間を通じた集計で32.9%。この差から読み取るべきことは3つあります。

  1. 統一試験は回ごとの出題内容の影響を受けやすく、直近2回は15.1%と厳しい水準が続いている
  2. ネット試験は受験日を自分で選べるため、仕上がった人が受けやすい構造になっている
  3. したがって「本番で崩れない状態」を作ることが、2級では3級以上に重要になる

ここから導かれる学習方針は明確です。特定の論点を深掘りするより、どの論点が出ても6割は確実に取れる状態を先に作る。そのうえで、得意分野で残りを積み上げる。難問への対応力より、取りこぼしの少なさが効く試験です。

簿記2級の合格率。第173回15.1%、第172回15.1%、第171回23.6%、第170回22.2%、ネット試験32.9%の棒グラフ

工業簿記を先に立ち上げる理由

多くの教材は商業簿記から始まります。しかし独学では、工業簿記を先に、あるいは同時に立ち上げるほうがうまくいきます。理由は3つです。

理由1:工業簿記は範囲が狭く、得点が安定しやすい

工業簿記は、費目別計算・部門別計算・個別原価計算・総合原価計算・標準原価計算・直接原価計算という、決まった型の集まりです。商業簿記に比べて論点数が少なく、型を覚えれば得点が安定します。安定した得点源を先に確保すると、商業簿記で多少崩れても70%に届きます。

理由2:立ち上がりに時間がかかる

工業簿記は最初の2週間がいちばん苦しい科目です。仕掛品、製造間接費、配賦といった概念が一度に出てくるためです。逆に言えば、その2週間を越えると急に楽になります。学習期間の終盤にこの2週間を置くと、苦しい時期と直前期が重なってしまいます。

理由3:2027年度の改定の影響を受けない

日本商工会議所の公表内容によれば、2027年度適用の出題区分表において、工業簿記・原価計算(1級〜2級)は2022年度から2026年度に適用されている区分表からの変更がありません。改定は商業簿記側に集中しています。つまり工業簿記は、いま学んだ内容が2027年度以降もそのまま使えます。学習の投資先として安定しているということです。

6か月の並走スケジュール

平日1.5時間・週末3時間(週約10.5時間)を前提にした6か月の割り振りです。合計はおよそ250時間になります。商業簿記と工業簿記を、週のなかで曜日を分けて並走させます。

簿記2級の週間スケジュール。月水金に商業簿記、火木に工業簿記、土日に復習と本番形式を割り当てた表
月商業簿記(月・水・金)工業簿記(火・木)週末(土日)
1か月目3級の復習/現金預金・商品売買の2級論点工業簿記の全体像/費目別計算その週の問題を解き直す
2か月目有価証券/固定資産/リース取引個別原価計算/部門別計算週の論点を2回転
3か月目引当金/外貨建取引/税効果会計総合原価計算(単純・工程別)1〜3か月目の弱点を潰す
4か月目株式会社会計/剰余金の処分/合併標準原価計算/差異分析本番形式を1回(90分)
5か月目連結会計(基礎)/本支店会計直接原価計算/CVP分析本番形式を毎週1回
6か月目全論点の復習(1回転)全論点の復習(1回転)本番形式を毎週2回+誤答分析

この表の要点は、5か月目から本番形式を毎週入れることです。90分という時間配分は、練習しないと身につきません。5題以内という構成のなかで、どの問題から手をつけるかを自分の型として決めておく必要があります。

想定ケース(解説のための設定です。実在の人物ではありません)

Fさんは商業簿記を4か月かけて仕上げ、5か月目から工業簿記に入りました。ところが仕掛品と製造間接費の理解に2週間かかり、標準原価計算まで届かないまま試験日を迎えます。結果は工業簿記でほぼ得点できず不合格。次の受験では順番を変え、初月から工業簿記を週2日入れたところ、3か月目には工業簿記が安定した得点源になりました。同じ総学習時間でも、順番を変えるだけで結果が変わることがあります。

直前2週間の詰め方

直前期にやるべきことは、新しい論点の追加ではありません。次の3つに絞ります。

  • 誤答の論点別集計:間違えた問題を論点名で分類し、上位3論点だけを潰す
  • 解く順番の固定:工業簿記から解く、商業簿記の総合問題は最後、など自分の順番を決めて毎回同じにする
  • 捨てる判断の練習:5分考えて糸口が見えない問題は飛ばす。70%が合格基準である以上、全問正解は必要ありません

統一試験の合格率が15%台まで下がる回があるのは、難しい論点が出たときに時間を使い切ってしまう受験者が多いためと考えられます。「捨てる判断」を練習しておくことは、知識を1つ増やすより効きます。計算スピードそのものを上げたい場合は、簿記の電卓の使い方をまとめた記事のGT・メモリー機能の手順が役に立ちます。

2027年度の改定が2級学習に与える影響

日本商工会議所は2026年7月31日付で、2027年度適用の出題区分表(確定版)を公表しました。適用は2027年4月1日から2028年3月31日までに施行される試験からです。2級に関係する主な改定は次のとおりです。

論点2026年度まで2027年度から
手形出題範囲に含まれる手形に関する勘定科目をすべて削除
売掛債権の譲渡—ファクタリングを新たに追加(仕訳例が明示される)
リース取引の分類ファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区分区分を廃止
リースの勘定科目リース資産・リース債務など新基準に対応した勘定科目を使用
短期リース・少額リース—賃貸借処理(簡便的な取扱い)を追加
利子込み法・利子抜き法出題対象引き続き出題対象
リースの識別判断—2級では出題せず、所与のものとして扱う
工業簿記・原価計算2022年度適用の区分表変更なし

いま学習している人が取るべき行動は、受験予定日で決まります。2027年3月31日までに受けるなら、現行の教材で最後まで進めて問題ありません。2027年4月以降にずれ込む可能性がある場合は、教材の買い替えが必要になるため、受験時期を前倒しできないかを先に検討してください。詳しくは2027年度の出題区分表改定をまとめた記事で、3級・2級の変更点と判断表を用意しています。

まとめ

  • 2級は商業簿記・工業簿記の5題以内を90分、合格基準は70%以上
  • 統一試験の合格率は15.1%〜23.6%と振れ幅が大きい。ネット試験は32.9%
  • 工業簿記は初月から立ち上げる。範囲が狭く安定した得点源になり、2027年度改定の影響も受けない
  • 6か月・週10.5時間で、商業簿記(週3日)と工業簿記(週2日)を並走させる
  • 直前2週間は誤答の上位3論点・解く順番の固定・捨てる判断の3つに絞る

次の一歩は、今週の火曜と木曜を「工業簿記の日」としてカレンダーに入れることです。曜日を決めてしまえば、何から手をつけるか迷う時間がなくなります。

次に読む

2027年度の変更点を確認する → 出題区分表の改定まとめ

原価の考え方を先に固める → 原価計算初級の出題範囲と学習内容

講座と独学を総額で比べる → 独学か通信講座かの判断手順

2級の記事をまとめて読む → 簿記2級カテゴリ

動画で学ぶ|簿記2級の講義

よくある質問

簿記2級は独学で合格できますか?

可能です。ただし3級より計画性が要求されます。商業簿記と工業簿記という性格の違う2科目を同時に仕上げる必要があり、どちらかを後回しにすると立ち上げの時間が足りなくなります。曜日で科目を分けて並走させ、5か月目からは本番形式を毎週入れる形が、独学では現実的です。

3級に合格してすぐ2級に進むべきですか?

知識が新しいうちに進むほうが有利です。3級の商業簿記の内容は2級の土台になるため、間隔が空くと復習に時間がかかります。ただし2級は3級の2倍以上の学習量が必要になるので、受験日を先に決めてから始めることをおすすめします。

工業簿記と商業簿記はどちらから始めるべきですか?

並走が最も安定します。どちらか一方を選ぶなら工業簿記を先に立ち上げてください。範囲が狭く型が決まっているため得点が安定しやすく、最初の2週間の苦しさを直前期に持ち込まずに済みます。また2027年度適用の出題区分表でも工業簿記・原価計算に変更はないため、学習内容が長く使えます。

統一試験とネット試験のどちらを受けるべきですか?

ネット試験は受験日を自分で選べるため、模擬で70%を安定して超えてから申し込めます。統一試験は日程が固定されるぶん、締切効果で学習が進みやすいという利点があります。公表されている合格率はネット試験のほうが高いものの、受験タイミングを選べる構造の違いが影響しているため、難易度差としてそのまま読むのは正確ではありません。

2027年度の改定前に受けたほうがよいですか?

すでに現行の教材で学習を進めているなら、2027年3月31日までに受験できるよう計画するほうが無駄がありません。これから学習を始めて2027年4月以降になりそうな場合は、最初から改定に対応した教材を選ぶほうが結果的に早くなります。適用は2027年4月1日からで、統一試験・ネット試験・団体試験のいずれも同じ区分表にもとづきます。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月6日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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