簿記3級の第2問は20点で、2027年4月1日以降の試験からは25点になります。2つの小問で出され、勘定記入と、補助簿の選択・伝票・固定資産台帳・語句の穴埋めなどが組み合わされる形が中心です。
第2問は、問題の「型」を見分けた時点で手順が決まります。この記事では型ごとの解き方を、勘定記入の設例と類題で確かめます。部分点の取り方と、15分で切り上げる時間の使い方もまとめます。
この記事の内容を動画で解説しています(簿記3級 #46・7:18)
7:18【簿記3級 #46】第2問対策|帳簿・伝票で20点を拾う補助簿の選択、勘定記入、伝票、固定資産台帳など出題パターン別に整理 / 部分点の取り方 / 時間配分の目安 / 捨て問の見極め▶ YouTubeで見るこの記事の結論
勘定記入は「仕訳を下書きしてから日付順に転記」、補助簿の選択は「仕訳の勘定科目から帳簿を引く」、語句は「定義とセットで覚えた言い回し」で解きます。目標は20点中12点です。15分で切り上げ、空欄は日付と相手科目から埋めて部分点を拾います。
第2問で出る問題の型
第2問は、帳簿や勘定のしくみを理解しているかを問う大問です。出題の型と、それぞれの解き方の要点を表にまとめました。
| 型 | 何を問われるか | 解き方の要点 |
|---|---|---|
| 勘定記入 | 経過勘定・引当金・固定資産・繰越利益剰余金などの勘定の空欄 | 期首→期中→決算→締切の順に仕訳を書き、日付順に転記する |
| 補助簿の選択 | 取引ごとに、どの補助簿に記入されるか | 仕訳を書き、使った勘定科目から帳簿を決める |
| 商品有高帳 | 先入先出法・移動平均法による払出単価と残高 | 受入・払出・残高の3欄を1行ずつ埋める |
| 伝票・仕訳日計表 | 3伝票制の起票と、仕訳日計表の集計 | 一部現金取引の2つの書き方を見分ける |
| 固定資産台帳 | 台帳からの減価償却費・減価償却累計額の読み取り | 取得日から月割で計算し、期首の残高から積み上げる |
| 語句の穴埋め | 簿記の用語や手続きの名前 | 用語を定義の一文とセットで覚える |
配点の大きい勘定記入と補助簿の選択から順に、手順を確認していきます。
勘定記入の解き方|仕訳を書いてから転記する
勘定記入は、空欄を直接うめようとすると迷います。次の4つの手順で進めると、日付・相手科目・金額が一度に決まります。
- 問題文の取引を、期首から決算まで日付順に並べる
- 取引ごとに仕訳を下書きする(期首の再振替仕訳を忘れない)
- 勘定に転記する。摘要には相手の勘定科目を書く
- 決算の振替(損益へ)と締切(次期繰越)を書き、借方と貸方の合計を合わせる
設例(本サイトで作成した設定です)
当社は倉庫の一部を貸し、家賃を6か月分ずつ前もって受け取っている。会計期間は4月1日から3月31日まで。前期末に、当期4月・5月分の家賃30,000円を前受家賃として繰り延べている。6月1日に6月〜11月分の家賃90,000円、12月1日に12月〜翌年5月分の家賃90,000円を、いずれも現金で受け取った。
手順2:仕訳を下書きする
4月1日(期首の再振替仕訳)(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受家賃 | 30,000 | 受取家賃 | 30,000 |
6月1日・12月1日(受取時。同じ仕訳を2回)(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 90,000 | 受取家賃 | 90,000 |
3月31日(決算整理:翌年4月・5月分を繰り延べる)(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取家賃 | 30,000 | 前受家賃 | 30,000 |
3月31日(損益への振替)(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取家賃 | 180,000 | 損益 | 180,000 |
決算で繰り延べるのは、12月1日に受け取った6か月分のうち翌期の4月・5月分です。90,000円×2か月÷6か月=30,000円になります。
手順3・4:勘定に転記して締め切る
受取家賃
| 借方 | 貸方 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 3/31 | 前受家賃 | 30,000 | 4/1 | 前受家賃 | 30,000 |
| 3/31 | 損益 | 180,000 | 6/1 | 現金 | 90,000 |
| 12/1 | 現金 | 90,000 | |||
| 210,000 | 210,000 | ||||
前受家賃
| 借方 | 貸方 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 受取家賃 | 30,000 | 4/1 | 前期繰越 | 30,000 |
| 3/31 | 次期繰越 | 30,000 | 3/31 | 受取家賃 | 30,000 |
| 60,000 | 60,000 | ||||
損益へ振り替える180,000円は、月15,000円の家賃の12か月分です。勘定の数字が「1年分の収益」に一致していれば、転記と決算整理が正しいと確かめられます。この確かめ方は、本番の見直しでもそのまま使えます。
ポイント
摘要は「相手の勘定科目」です。受取家賃勘定の6月1日の行には「現金」と書きます。収益・費用の勘定は「損益」で締め切り、資産・負債の勘定は「次期繰越」で締め切ります。
補助簿の選択の解き方|勘定科目から帳簿を引く
補助簿の選択は、取引を見て帳簿を思い浮かべるのではなく、仕訳の勘定科目から帳簿を決めます。主な対応は次のとおりです。
| 仕訳に出てくる勘定科目 | 記入する補助簿 |
|---|---|
| 現金 | 現金出納帳 |
| 当座預金 | 当座預金出納帳 |
| 小口現金 | 小口現金出納帳 |
| 仕入 | 仕入帳・商品有高帳(商品の受け入れ) |
| 売上 | 売上帳・商品有高帳(商品の払い出し) |
| 売掛金 | 売掛金元帳(得意先元帳) |
| 買掛金 | 買掛金元帳(仕入先元帳) |
| 備品・建物など | 固定資産台帳 |
2027年3月までの試験では、受取手形・支払手形を使う取引について受取手形記入帳・支払手形記入帳も選択肢に入ります。2027年4月以降は手形が出題範囲から外れます。
類題1 補助簿の選択
次の取引は、どの補助簿に記入されるか。
① 商品60,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
② 得意先から売掛金40,000円が当座預金口座に振り込まれた。
③ 備品150,000円を購入し、代金は月末に支払うこととした。
類題1の答えと解説
① 仕入帳・商品有高帳・買掛金元帳 ② 当座預金出納帳・売掛金元帳 ③ 固定資産台帳。③の相手科目は未払金ですが、未払金には補助簿がないため、記入するのは固定資産台帳だけです。仕訳を書けば、帳簿の数は勘定科目の数から自然に決まります。
判定の手順と、迷いやすい取引(返品・発送費・値引きなど)は補助簿の選択問題の解き方で詳しく扱います。
伝票・固定資産台帳・商品有高帳が出たとき
この3つは、3級の別の論点の知識をそのまま使う型です。第2問のために新しく覚えることは少なく、各論点の手順を本番の形式で再現できるかが問われます。
| 型 | つまずく点 | 確認先 |
|---|---|---|
| 伝票・仕訳日計表 | 一部現金取引を、取引を分解して書くか、全額を掛け取引とみなして書くか | 3伝票制と仕訳日計表 |
| 固定資産台帳 | 期中に取得した資産の月割と、期首の減価償却累計額の読み取り | 減価償却の計算(定額法・定率法・月割) |
| 商品有高帳 | 払出欄に売価を書いてしまう。払出は原価で書く | 商品有高帳の書き方(先入先出法・移動平均法) |
語句の穴埋めでよく問われる用語
語句の問題は、用語を一文の定義とセットで覚えておくと、文章の中の空欄から逆算できます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 主要簿 | すべての取引を記録する帳簿。仕訳帳と総勘定元帳の2つ |
| 補助簿 | 特定の取引や勘定の明細を記録する帳簿。補助記入帳と補助元帳に分かれる |
| 試算表 | 総勘定元帳の金額を集めた表。借方と貸方の合計が一致するかで、転記の誤りを確かめる |
| 再振替仕訳 | 前期末に計上した経過勘定を、当期首に逆の仕訳で元の勘定へ戻す仕訳 |
| 英米式決算法 | 資産・負債・純資産の勘定を次期繰越で締め切り、繰越試算表で正しさを確かめる方法 |
| 統制勘定 | 得意先ごとの人名勘定をまとめた売掛金勘定のように、補助元帳の合計を表す勘定 |
15分で切り上げる時間の使い方と部分点
第2問は、第1問(仕訳)と第3問(決算)を先に解き、最後に取り組むのがおすすめです。配点の大きい第3問に時間を残すためです。第2問に使える時間は15分を目安にします。
- 2つの小問のうち、見慣れた型から先に解く
- 勘定記入は、日付と相手科目の欄を先に埋める(金額が出なくても部分点の可能性がある)
- 計算が重い空欄は印をつけて後回しにする
- 仕訳が3分考えても書けない取引は、いったん飛ばして他の空欄を埋める
大問ごとの順番と時間配分の考え方は簿記3級の大問ごとの解き方と60分の使い方にまとめています。
よくある間違いと、なぜ間違えるのか
| 間違い | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 摘要に自分の勘定科目を書く | 「何の勘定か」と「何と取引したか」を混同する | 摘要は相手科目。仕訳の反対側の科目を書く |
| 期首の再振替仕訳を書き忘れる | 問題文に4月1日の取引として書かれていない | 前期繰越がある経過勘定は、まず4月1日に戻す |
| 収益の勘定を損益の貸方で締める | 損益勘定のどちら側に入るかを先に考える | 収益の勘定は借方に「損益」と書いて締める |
| 次期繰越を残高と同じ側に書く | 「残っている側」に書きたくなる | 次期繰越は、残高と反対側に書いて貸借を合わせる |
| 発送費を商品有高帳に記入する | 売上と一緒に起きた取引だから | 商品有高帳は商品の数量が動いたときだけ |
まとめ
- 第2問は20点(2027年4月から25点)。目標は12点
- 勘定記入は、仕訳を下書きしてから日付順に転記し、摘要には相手科目を書く
- 補助簿の選択は、仕訳の勘定科目から帳簿を引く
- 語句は用語を一文の定義とセットで覚える
- 15分で切り上げ、日付と相手科目の欄から部分点を拾う
類題2 勘定記入
会計期間は4月1日〜3月31日。期首に前払保険料8,000円(当期4月〜7月分)がある。8月1日に1年分の保険料24,000円を現金で支払った。決算で、翌期4月〜7月分を前払保険料に振り替える。保険料勘定から損益へ振り替える金額はいくらか。
類題2の答えと解説
24,000円です。保険料勘定には、4月1日の再振替8,000円と8月1日の支払24,000円が借方に入り、決算で翌期分8,000円(24,000円×4か月÷12か月)が貸方に出ます。8,000+24,000−8,000=24,000円で、月2,000円の12か月分と一致します。
決算の流れ全体は決算整理の仕訳と経過勘定の覚え方で確認できます。講義は簿記3級の講義一覧から順に進めてください。
よくある質問
簿記3級の第2問は何点ですか?
2027年3月までの試験は20点です。2027年4月1日以降の試験からは25点になります。第1問は45点のまま、第3問は35点から30点に変わります。
第2問は捨ててもいいですか?
おすすめしません。20点のうち12点を取れれば、第1問と第3問の負担が軽くなります。全部を解こうとせず、見慣れた型の空欄から部分点を拾う方針が現実的です。
勘定記入の摘要に「諸口」と書くのはどんなときですか?
仕訳の相手科目が2つ以上あるときです。たとえば借方が現金、貸方が売上と受取手数料なら、現金勘定の摘要は「諸口」になります。
ネット試験でも第2問の形式は同じですか?
出題の範囲と配点は同じです。ネット試験では、勘定科目や語句は選択肢から選び、金額は数字を入力して答えます。
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執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年10月3日(試験の概要と配点は 日本商工会議所の簿記検定ページ、出題範囲は 出題区分表のページ でご確認ください)
設例と類題は本サイトが作成したもので、実際の試験問題ではありません。
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