原価計算初級の例題と解き方|CVP・配賦・差異分析を練習

原価計算初級のCVP分析・配賦・差異分析を例題で練習する記事のアイキャッチ

本サイトの記事には、広告(アフィリエイトプログラム)が含まれる場合があります。広告を含む記事では、記事の冒頭にその旨を明記しています。Amazonのアソシエイトとして、ぼきの森学校は適格販売により収入を得ています。

原価計算初級は、ネット試験だけで実施される試験時間40分・選択式の入門の試験です(100点満点で70点以上が合格、受験料2,200円・税込)。出題範囲は「原価計算の基礎概念」「利益の計画と統制」「製品別の期間損益計算」の3つで、どれも決まった式に数字を入れれば解ける計算が中心です。

この記事では、3つの分野からオリジナルの例題を6問用意し、式の立て方と検算のしかたまで解説します。出題範囲の全体像や合格率は原価計算初級の出題範囲と学習内容にまとめています。

この記事の結論

原価計算初級で覚える式は多くありません。損益分岐点は「固定費÷貢献利益率」、配賦は「配賦率×各製品の基準」、差異分析は「価格の差×実際の数量」と「数量の差×予算の単価」。式を書いてから数字を入れ、最後に合計が一致するかを確かめます。

目次

出題範囲と、この記事の例題の対応

分野主な内容(日本商工会議所の出題範囲より)例題
原価計算の基礎概念原価の分類(材料費・労務費・経費、直接費と間接費)、製造原価・販売費及び一般管理費・売上総利益・営業利益例題1・2
利益の計画と統制CVP分析(変動費と固定費、貢献利益、損益分岐点)、予算と実績の売上高の差異分析(販売数量差異と販売価格差異)例題3・6
製品別の期間損益計算直接費の直課と間接費の配賦、月末仕掛品・月末製品の原価、製品別の損益計算書例題4・5

基礎概念|原価の分類と利益の計算

例題1 原価の分類

家具工場で次の支出があった。それぞれを「材料費・労務費・経費」と「直接費・間接費」に分類せよ。
(1)テーブルの天板に使う木材 (2)組立を担当する工員の賃金 (3)工場全体の電気代 (4)工場長の給料 (5)脚の塗装を外部に頼んだ外注加工賃

例題1の答えと解説
支出分類判断の理由
(1)天板の木材直接材料費製品に使った量がわかる材料
(2)組立工員の賃金直接労務費どの製品の作業かがわかる人件費
(3)工場の電気代間接経費工場全体で使い、製品ごとに分けられない
(4)工場長の給料間接労務費工場全体の管理のための人件費
(5)外注加工賃直接経費特定の製品の加工のために支払っている

直接費か間接費かは、「どの製品のための支出か」を特定できるかで決まります。材料・人・それ以外、の順に分けると迷いません。

例題2 売上総利益と営業利益

売上高1,200,000円、売上原価720,000円、販売費及び一般管理費300,000円のとき、売上総利益と営業利益はいくらか。

例題2の答えと解説

売上総利益は 1,200,000−720,000=480,000円、営業利益は 480,000−300,000=180,000円です。売上原価は製品をつくるためにかかった原価、販売費及び一般管理費は売るため・会社を管理するための費用で、引く順番が決まっています。

利益の計画|CVP分析と損益分岐点

CVP分析は、売上高(Volume)が変わると原価(Cost)と利益(Profit)がどう変わるかを見る方法です。売上高から変動費を引いた「貢献利益」で固定費をまかなえるかどうかを考えます。

例題3 損益分岐点と目標利益

製品Xの販売単価は1,000円、1個あたりの変動費は600円、固定費は月200,000円である。(1)損益分岐点の販売数量と売上高、(2)営業利益100,000円を得るための売上高を求めよ。

例題3の答えと解説

1個あたりの貢献利益は 1,000−600=400円、貢献利益率は 400÷1,000=40%です。

(1)損益分岐点の販売数量は 200,000÷400=500個、売上高は 500×1,000=500,000円(または 200,000÷0.4)。(2)目標の売上高は(200,000+100,000)÷0.4=750,000円(750個)です。

検算:750個なら貢献利益は 750×400=300,000円、固定費200,000円を引くと営業利益100,000円になり、目標と一致します。

製品別の損益|配賦と在庫の原価

例題4 間接費の配賦

当月の製造間接費は120,000円である。直接作業時間を基準に、製品A(300時間)と製品B(100時間)に配賦せよ。

例題4の答えと解説

配賦率は 120,000÷(300+100)=1時間あたり300円です。製品Aは 300×300=90,000円、製品Bは 300×100=30,000円。検算として、90,000+30,000=120,000円で元の間接費と一致します。

例題5 月末仕掛品・月末製品・売上原価

当月、3つの注文(製造指図書)に次の原価を集計した(月初の在庫はない)。No.1は完成して販売済み、No.2は完成したが未販売、No.3は作業の途中である。売上原価、月末製品、月末仕掛品の金額を求めよ。
No.1:直接材料費80,000円・直接労務費50,000円・製造間接費30,000円
No.2:直接材料費60,000円・直接労務費40,000円・製造間接費20,000円
No.3:直接材料費30,000円・直接労務費10,000円・製造間接費10,000円

例題5の答えと解説

まず注文ごとに合計します。No.1は160,000円、No.2は120,000円、No.3は50,000円です。販売済みのNo.1が売上原価(160,000円)、完成して倉庫にあるNo.2が月末製品(120,000円)、途中のNo.3が月末仕掛品(50,000円)になります。

検算:当月の製造原価の合計 330,000円=160,000+120,000+50,000 で、どこにも行き先のない原価が残っていないことを確かめます。

利益の統制|予算と実績の差異分析

例題6 売上高の差異分析

予算は販売単価500円で1,000個(売上高500,000円)、実績は販売単価480円で1,100個(売上高528,000円)だった。売上高の差異を、販売価格差異と販売数量差異に分けよ。

例題6の答えと解説
差異式金額
販売価格差異(実際の単価480−予算の単価500)×実際の数量1,100−22,000円(不利)
販売数量差異(実際の数量1,100−予算の数量1,000)×予算の単価500+50,000円(有利)
売上高の差異の合計528,000−500,000+28,000円(有利)

−22,000+50,000=+28,000円で、2つの差異の合計が売上高の差と一致します。価格の差には実際の数量を、数量の差には予算の単価を掛けるのが決まりです。

よくある間違いと、なぜ間違えるのか

間違いなぜ起きるか防ぎ方
損益分岐点で固定費を販売単価で割る「売上で固定費をまかなう」と考えてしまう固定費をまかなうのは貢献利益。割るのは貢献利益(率)
工場の電気代を直接経費にする工場で使った=製品のため、と考える製品ごとに金額を分けられるかで判断する
差異分析で単価と数量の組み合わせを逆にする式を覚えずに感覚で掛ける価格差×実際数量、数量差×予算単価、と書いてから計算する
完成品を全部売上原価にする完成と販売を同じと考える完成しても未販売なら月末製品。売れた分だけが売上原価

まとめ

  • 原価計算初級はネット試験のみ・40分・選択式・70点以上で合格
  • 原価の分類は「材料・人・それ以外」と「製品ごとに分けられるか」の2段階で判断する
  • 損益分岐点は固定費÷貢献利益率。目標利益があれば固定費に足してから割る
  • 配賦・在庫の原価・差異分析は、最後に合計が元の金額と一致するかを必ず検算する

原価計算初級の内容は、簿記2級の工業簿記の入口です。2級に進む人は、簿記2級の講義一覧の工業簿記の回で、同じ考え方がどう広がるかを確認できます。講義の一覧は簿記初級・原価計算初級の講義一覧へ。

よくある質問

原価計算初級に仕訳の問題は出ますか?

公表されている出題範囲は、原価の分類、利益の計算、CVP分析、差異分析、原価の集計と在庫の原価の計算が中心で、仕訳の記帳は範囲に挙がっていません。計算の考え方を身につけることが中心の試験です。

簿記の知識がなくても受けられますか?

受けられます。受験資格はなく、簿記3級を持っていなくても受験できます。売上・費用・利益の関係がわかっていれば、計算の式から入って問題ありません。

どのくらいの勉強時間が必要ですか?

本サイトの講義は14本・1本あたり6分前後です。1日1〜2本と、この記事のような例題を1問ずつ進めると、1〜2週間が目安です。計算に慣れていない人は、例題3・6を繰り返すと得点が安定します。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月30日(試験の概要と出題範囲は 日本商工会議所「原価計算初級」、出題区分表のページ でご確認ください)

例題は本サイトが作成したもので、実際の試験問題ではありません。記事中の会社・金額はすべて説明のための設定です。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

内容の誤りにお気づきの際は お問い合わせフォーム からお知らせください。運営者情報・監修体制 もあわせてご覧ください。

この記事が役に立ったらシェアしてください
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

コメント

コメントする

目次