簿記3級の本番60分で、どの大問から何分ずつ解くか決めていますか。おすすめは、第1問(仕訳)→第3問(決算)→第2問(帳簿など)の順に20分・20分・15分を目安に進め、最後の5分を見直しに残す方法です。第3問のコツは、決算整理仕訳を先に書き出し、修正のない欄から埋めて部分点を積み上げることです。
この記事では、公式の試験の形を確認したうえで、大問ごとの解き方と「捨てない範囲」を具体的に整理します。
この記事の内容を動画で解説しています(簿記3級 #47・6:44)
6:44【簿記3級 #47】第3問対策|決算で35点を取り切る決算整理事項を処理する順番 / 精算表・財務諸表・後T/Bのどれで問われても同じ手順▶ YouTubeで見る簿記3級の試験の形|公式の条件と一般的な構成
日本商工会議所の3級の試験概要に書かれている条件は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験科目 | 商業簿記(3題以内) |
| 試験時間 | 60分 |
| 合格基準 | 70%以上 |
| 電卓 | 計算機能(四則演算)のみのもの |
大問ごとの配点は、これまで公式の試験概要には書かれていませんでした。近年の出題では、第1問が仕訳15題で45点、第2問が20点、第3問が35点という構成が一般的です。なお日本商工会議所は2026年9月25日、2027年4月1日以降の試験から配点を第1問45点・第2問25点・第3問30点にすると発表しました。2027年3月31日までの試験はこれまでどおりで、この記事の目標点や時間配分はこの構成を前提にした目安です。変更の詳細は簿記3級の配点変更(2027年4月から)にまとめています。
| 大問 | よく出る内容 | 一般的な配点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 仕訳15題(勘定科目は各問の候補から選ぶ) | 45点(1題3点) |
| 第2問 | 補助簿の選択、勘定記入、伝票、語群選択など | 20点 |
| 第3問 | 精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表のいずれか | 35点 |
条件の原文は日本商工会議所の3級の試験概要で確認できます。2027年3月31日までに受ける試験は、2026年11月15日(第174回)と2027年2月28日(第175回)の統一試験も含めて、現行(2022年度適用)の出題区分表の範囲です。試験日と申込の流れは簿記3級の試験日と申込にまとめています。
解く順番はなぜ第1問→第3問→第2問なのか?
配点の大きい大問から、取りやすいところを先に取るためです。一般的な構成なら第1問と第3問で80点分あり、この2つだけで合格ラインの70点を超えられる配分です。第2問は回によって形が変わりやすく、見慣れない形だと時間を吸われやすいので最後に回します。
| 時間 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 0〜20分 | 第1問(仕訳15題) | 1題80秒。2分考えて決まらなければ印をつけて次へ |
| 20〜40分 | 第3問(決算) | 5分で決算整理仕訳、10分で表、5分で検算 |
| 40〜55分 | 第2問(帳簿など) | 取れる小問・取れる欄から |
| 55〜60分 | 見直し | 空欄、印をつけた問題、桁、借方と貸方の合計 |
目標点は、第1問39点(13題正解)、第3問25点、第2問10点で合計74点を目安にします。満点を狙わず、大問ごとに「ここまでは取る」ラインを決めておくと、途中で焦っても判断がぶれません。
想定ケース(解説のための設定です。実在の人物ではありません)
模擬試験で第1問に25分かかった場合、第3問の20分は削らずに確保し、第2問を10分に縮めて取れる欄だけを拾います。反対に第1問が15分で終わったら、浮いた5分を第3問の検算に回します。どちらも、配点の大きい第3問の時間を守るという考え方です。
第1問(仕訳15題)の解き方|型で読み、候補から選ぶ
第1問は、1題ずつ独立した仕訳問題です。迷った1題に時間をかけるより、次の題で点を取るほうが合計点は伸びます。出題される取引は、次の型に分けて読むと論点をつかみやすくなります。
| 型 | 読むときのチェック |
|---|---|
| 商品売買 | 諸掛りの負担者、返品、クレジット払いか |
| 現金・預金 | 現金過不足・当座借越・普通預金など、どの勘定の話か |
| 債権・債務 | 売掛金か未収入金か、電子記録債権か(2026年度までは手形も) |
| 固定資産 | 取得原価に含める付随費用、売却時の帳簿価額 |
| 給料・税金 | 預り金・立替金、租税公課・法人税等・消費税の区別 |
| 株式会社 | 株式の発行、繰越利益剰余金からの配当 |
| 訂正 | 誤った仕訳の取り消しと正しい仕訳を合わせる |
勘定科目は、各問に示された候補の中から選びます。候補に「未払金」と「未払費用」が並んでいれば、どちらを使う取引かが問われている合図です。候補から逆に論点を読むこともできます。
見直しでは、借方と貸方の合計が一致しているか、科目名が候補のとおりか、金額の桁が合っているかの3点だけを確認します。15題すべてを解き直す時間はないので、印をつけた題を優先します。
2027年度からは、3級の出題区分表で手形が削除され、売上原価対立法・固定資産の除却・定率法(基本的な仕組み)が2級から移ります。移ってくる論点は、入門・基礎の段階に配慮した出題とされています。仕訳の演習には簿記3級の仕訳問題20問が使えます。
第2問の解き方|パターン別の攻め方と捨てない範囲
第2問は、小問2つ程度の組み合わせで出ることが多く、形が回によって変わります。たいていの形で、取引を仕訳に戻せば解ける欄があります。全部を捨てるのではなく、次の「捨てない範囲」だけは取りにいきます。
| パターン | 攻め方 | 捨てない範囲 |
|---|---|---|
| 補助簿の選択 | 取引ごとに仕訳を書き、出てきた科目から補助簿を決める | 全部(仕訳が書ければ解ける) |
| 勘定記入 | 日付順に仕訳して転記する。摘要は相手の科目 | 期中の転記と、前期繰越・次期繰越 |
| 伝票・仕訳日計表 | 伝票を仕訳に戻してから集計する | 日計表の合計と主な科目の金額 |
| 商品有高帳 | 先入先出法か移動平均法で払出単価を決める | 月末の残高と売上原価 |
| 語群選択 | 用語の意味を1文で言えるかで判断する | 全部(考え込まず即答) |
2026年度までは、受取手形記入帳・支払手形記入帳も補助簿の選択肢に入ります。2027年度からは3級で手形が削除されます。伝票の起票と集計は3伝票制と仕訳日計表、商品有高帳は商品有高帳の書き方で練習できます。
英米式決算法とは?締め切りは第2問の得点源
英米式決算法とは、収益・費用の勘定は損益勘定へ振り替えて締め切り、資産・負債・純資産の勘定は「次期繰越」と書いて締め切る方法です。第2問では、損益勘定や繰越利益剰余金勘定の記入が問われることがあります。
例として、決算整理後の収益が売上900,000円・受取手数料30,000円、費用が仕入(売上原価)610,000円・給料180,000円・減価償却費40,000円、繰越利益剰余金の前期繰越が250,000円だったとします。
①収益を損益勘定へ振り替える(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売上 | 900,000 | 損益 | 930,000 |
| 受取手数料 | 30,000 | ||
②費用を損益勘定へ振り替える(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 損益 | 830,000 | 仕入 | 610,000 |
| 給料 | 180,000 | ||
| 減価償却費 | 40,000 | ||
③当期純利益を繰越利益剰余金へ振り替える(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 損益 | 100,000 | 繰越利益剰余金 | 100,000 |
| 損益(借方) | 金額 | 損益(貸方) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 3/31 仕入 | 610,000 | 3/31 売上 | 900,000 |
| 3/31 給料 | 180,000 | 3/31 受取手数料 | 30,000 |
| 3/31 減価償却費 | 40,000 | ||
| 3/31 繰越利益剰余金 | 100,000 | ||
| 合計 | 930,000 | 合計 | 930,000 |
| 繰越利益剰余金(借方) | 金額 | 繰越利益剰余金(貸方) | 金額 |
|---|---|---|---|
| 3/31 次期繰越 | 350,000 | 4/1 前期繰越 | 250,000 |
| 3/31 損益 | 100,000 | ||
| 合計 | 350,000 | 合計 | 350,000 |
損益勘定の差額100,000円が当期純利益で、繰越利益剰余金は250,000+100,000=350,000円を次期繰越として締め切ります。資産・負債・純資産の次期繰越の金額を集めた繰越試算表の貸借が一致すれば、締め切りは正しくできています。
第3問のコツ|3つの形に共通する5ステップと部分点
第3問は、精算表・財務諸表(貸借対照表と損益計算書)・決算整理後残高試算表のどれかの形で出ます。形は違っても、決算整理仕訳を書いて残高を直すところまでは同じ手順です。
- 未処理事項・訂正事項を先に仕訳し、試算表の残高を直す
- 決算整理仕訳をすべてメモに書く
- 科目ごとに整理後の残高を出す(同じ側なら足す・反対側なら引く)
- 問われた形の表に書く
- 当期純利益と借方・貸方の合計で検算する
| 形 | ステップ4でやること | 注意点 |
|---|---|---|
| 精算表 | 損益計算書欄・貸借対照表欄へ横に流す | 当期純利益は独立した行に書く |
| 財務諸表 | 表示の名前に直して並べる | 繰越利益剰余金に当期純利益を足す |
| 決算整理後残高試算表 | 勘定科目のまま整理後の残高を並べる | 当期純利益の行はない |
未処理事項を先に片づけるのは、貸倒引当金などの計算に修正後の残高を使うからです。試算表の売掛金520,000円のうち20,000円の回収が未記帳なら、設定額は500,000円×2%=10,000円です。先に直さないと520,000円×2%=10,400円になり、売掛金・貸倒引当金・繰入額の3か所がずれます。
部分点は、修正のない行や科目から埋めて積み上げます。分からない決算整理が1つあっても、その仕訳だけを飛ばせば、関係のない欄は正解のまま残ります。目標は35点中25点程度(一般的な構成の場合)です。
貸借が合わないときは、差額と同じ金額の書き忘れか、差額の半分の金額を反対側に書いていないかを探します。探すのは2〜3分までにして、第2問へ進みます。形ごとの詳しい手順は精算表の書き方と財務諸表の作り方、決算整理の型は簿記3級の決算整理仕訳の8つの型で確認できます。
本番でよくある間違いと、なぜ起きるのか
- 第2問から解いて時間が足りなくなる:問題の順番どおりに解こうとするのが原因です。第2問は見慣れない形の回もあり、最初に取りかかると残り時間の見通しが立ちません。
- 第1問の1題に5分以上かける:あと少しで解けそうな感覚が原因です。2分で決まらなければ印をつけて次へ進み、見直しの時間に戻ります。
- 第3問で未処理事項を後回しにする:決算整理から手をつけたくなるためです。修正前の残高で貸倒引当金などを計算すると、複数の欄がまとめて不正解になります。
- 見直しの時間が残らない:大問ごとの終了時刻を決めていないためです。「20分・40分・55分」の区切りを、解き始める前に決めておきます。
練習問題|時間配分・締め切り・未処理事項
練習問題1
試験開始から28分たったところで、第1問が終わった。この記事のモデルに沿うと、残りの32分をどう使えばよいか答えなさい。
練習問題1の解答と解説を見る
第3問に20分を使って48分まで、第2問は55分までの7分で取れる欄だけを拾い、最後の5分を見直しに使います。配点の大きい第3問の時間を守り、遅れは第2問で吸収するのが基本です。
練習問題2
決算整理後の収益の合計は1,240,000円、費用の合計は1,105,000円だった。繰越利益剰余金の前期繰越は320,000円で、期中の増減はない。損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替える仕訳と、繰越利益剰余金勘定の次期繰越の金額を答えなさい。
練習問題2の解答と解説を見る
当期純利益の振替(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 損益 | 135,000 | 繰越利益剰余金 | 135,000 |
当期純利益は1,240,000−1,105,000=135,000円です。繰越利益剰余金の次期繰越は320,000+135,000=455,000円になります。
練習問題3
決算整理前残高試算表の売掛金は630,000円、貸倒引当金は4,000円だった。決算にあたり、売掛金30,000円が普通預金に振り込まれていたのに未記帳だと判明した。売掛金の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法で設定する。必要な仕訳を答えなさい。
練習問題3の解答と解説を見る
未処理事項:売掛金の回収(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 30,000 | 売掛金 | 30,000 |
貸倒引当金の設定:600,000×2%−4,000=8,000(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貸倒引当金繰入 | 8,000 | 貸倒引当金 | 8,000 |
先に売掛金を630,000−30,000=600,000円に直してから、600,000×2%=12,000円の設定額を計算します。残高4,000円との差額8,000円を繰り入れます。未処理事項を後回しにすると、630,000×2%−4,000=8,600円となり誤りです。
まとめ
- 公式の条件は60分・3題以内・70%以上。大問別の配点は公式には書かれていないが、45点・20点・35点の構成が一般的
- 解く順番は第1問→第3問→第2問。20分・20分・15分・見直し5分をモデルに、第3問の時間を守る
- 第1問は型で読み、候補の科目から論点を逆算する。2分で決まらなければ印をつけて次へ
- 第2問は仕訳に戻せば解ける欄から取る。英米式決算法の締め切りは得点源
- 第3問は未処理事項→決算整理仕訳→残高→表→検算の順。修正のない欄から部分点を積み上げる
講義#47(第3問対策)では決算整理事項を処理する順番と貸借が合わないときの立て直し方を、#45・#46では第1問・第2問の対策を扱っているので、文字で読んだあとに動画で流れを見ると定着します。次の一歩として、第3問で問われる経過勘定を経過勘定の覚え方で固めておくと、第2問の勘定記入にも同時に対応できます。学習全体の計画は簿記3級の勉強時間と3か月スケジュール、講義の順番は簿記3級の全50本の講義一覧にまとめています。
動画で学ぶ|簿記3級の大問別対策の講義
この記事の講義(簿記3級 #47・6:44)
6:44【簿記3級 #47】第3問対策|決算で35点を取り切る決算整理事項を処理する順番 / 精算表・財務諸表・後T/Bのどれで問われても同じ手順 / 貸借が合わないときのリカバリー / 35点の内訳と部分点戦略▶ YouTubeで見るあわせて見たい動画
よくある質問
簿記3級の大問ごとの配点は決まっていますか?
公式の試験概要には、大問ごとの配点は書かれていません。公表されているサンプル問題や近年の出題では、第1問45点・第2問20点・第3問35点の構成が一般的なので、時間配分や目標点はこの構成を目安に考えます。
第2問は捨ててもいいですか?
全部を捨てるのはおすすめしません。補助簿の選択や語群選択、勘定記入の転記など、仕訳が書ければ取れる欄があります。時間が足りないときも、取れる欄だけは拾うようにします。
第3問が精算表でも財務諸表でも、解き方は同じですか?
決算整理仕訳を書いて残高を直すところまでは同じです。違うのは最後に書く表の形だけで、精算表は横に流し、財務諸表は表示の名前に直し、決算整理後残高試算表は勘定科目のまま並べます。
60分で解き終わらないときはどうすればいいですか?
大問ごとの終了時刻を先に決め、時間が来たら次へ進みます。遅れたときは第3問の時間を守り、第2問で調整します。1題に2分以上止まったら印をつけて飛ばす、というルールも効果があります。
執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)
記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。
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