3伝票制と仕訳日計表|一部現金取引の起票から転記まで

3伝票制と仕訳日計表、一部現金取引の起票から元帳への転記までと書かれた「簿記3級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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3伝票制は、取引を入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類に書き分ける方法です。現金が増えたら入金伝票、減ったら出金伝票、現金が動かなければ振替伝票を使います。一部だけ現金の取引は、取引を分けて書く方法と、いったん全額を掛けにする方法の2通りで起票します。

この記事では、伝票の使い分けと推定問題の解き方を確認します。そのうえで、1日分の伝票から仕訳日計表を作り、総勘定元帳と得意先元帳へ転記するまでを同じ設例で追います。

目次

3伝票制とは?入金・出金・振替伝票の使い分け

伝票とは、取引を1件ずつ記録する用紙で、仕訳帳の代わりに使います。3伝票制では、現金が動いたかどうかで伝票を選びます。

伝票使う取引仕訳の形伝票に書く科目
入金伝票現金が増える取引借方がすべて現金貸方の相手科目だけ
出金伝票現金が減る取引貸方がすべて現金借方の相手科目だけ
振替伝票現金が動かない取引ふつうの仕訳と同じ借方・貸方の両方

入金伝票に「現金」と書かないのは、借方が現金と決まっているからです。たとえば売掛金30,000円を現金で回収したら、入金伝票の科目欄に「売掛金」、金額欄に30,000と書きます。これは仕訳の「現金30,000/売掛金30,000」と同じ意味です。

▶ 動画で確認する(初級講義 2:50〜 伝票は、1枚に1取引)

迷いやすい取引の判定

取引使う伝票(書く科目)理由
売掛金が普通預金口座に振り込まれた振替伝票(普通預金/売掛金)普通預金は現金ではないので、現金は動いていない
事務用の文房具を現金で買った出金伝票(消耗品費)現金が減る
普通預金口座から現金を引き出した入金伝票(普通預金)現金が増え、普通預金が減る
商品を掛けで仕入れた振替伝票(仕入/買掛金)現金は動いていない
売掛金を他人振出の小切手で回収した入金伝票(売掛金)他人振出の小切手は、簿記では現金として扱う

3伝票制の「入金・出金」は、現金の増減だけを指します。預金口座への入金は、言葉につられず振替伝票にします。なお、小切手の例は2026年度(2027年3月まで)の試験を前提にしています。2027年度以降は紙の小切手の廃止が前提です。受験する年度の出題区分表と教材で扱いを確認してください(2027年度の出題区分表改定のまとめ)。

▶ 動画で確認する(初級講義 3:25〜 例題:豆80,000円を現金で仕入れたら?)

一部現金取引は2通り|分けるか、全額を掛けにするか

例

B商店に商品150,000円を売り上げ、代金のうち30,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。

取引全体の仕訳(単位:円)

借方貸方
現金30,000売上150,000
売掛金120,000

1枚の伝票に、現金の取引と現金以外の取引を一緒には書けません。そこで2枚の伝票に分けて起票します。分け方は次の2つです。

方法1:取引を分解する

現金で受け取った30,000円と、掛けの120,000円を、別々の取引として起票します。

伝票記入内容仕訳にすると
入金伝票売上 30,000現金30,000/売上30,000
振替伝票売掛金 120,000/売上 120,000売掛金120,000/売上120,000

方法2:いったん全額を掛けにする

全額150,000円を掛けで売り上げたことにし、そのうち30,000円をすぐに現金で回収したと考えます。

伝票記入内容仕訳にすると
振替伝票売掛金 150,000/売上 150,000売掛金150,000/売上150,000
入金伝票売掛金 30,000現金30,000/売掛金30,000
比べる点方法1(分解)方法2(全額を掛け)
入金伝票の科目売上売掛金
振替伝票の金額120,000150,000
売上の合計150,000150,000
売掛金の借方/貸方120,000/0150,000/30,000
売掛金の増加額120,000120,000

どちらの方法でも、現金は30,000円、売上は150,000円、売掛金は差し引き120,000円増え、総勘定元帳の残高は同じになります。違うのは売掛金の借方・貸方の合計で、方法2では両側に金額が出ます。この違いは、あとで仕訳日計表を作るときに効いてきます。

▶ 動画で確認する(初級講義 3:53〜 現金と掛けが混ざった取引は?)

仕入側も同じ考え方です。商品を仕入れて代金の一部を現金で払ったときは、出金伝票と振替伝票に分けます。出金伝票の科目は、方法1なら「仕入」、方法2なら「買掛金」です。講義#35でも、2つの書き方を順に扱っています。

伝票から元の取引を推定するには?

第2問では、2枚のうち1枚の伝票が示され、もう1枚の記入を答える形で出ることがあります。手がかりは、入金伝票・出金伝票に書かれた科目です。

示された伝票判定もう1枚の振替伝票
入金伝票の科目が「売上」方法1(分解)売掛金/売上を、掛けの部分の金額で
入金伝票の科目が「売掛金」方法2(全額を掛け)売掛金/売上を、取引全体の金額で
出金伝票の科目が「仕入」方法1(分解)仕入/買掛金を、掛けの部分の金額で
出金伝票の科目が「買掛金」方法2(全額を掛け)仕入/買掛金を、取引全体の金額で

入金伝票に売掛金が出てくるのは、いったん売掛金を計上してから回収した場合だけです。だから入金伝票が売掛金なら、振替伝票は取引全体の金額で起票されていると判断できます。反対に、振替伝票の金額が取引全体と同じなら方法2なので、入金伝票の科目は売掛金です。

仕訳日計表の作り方|伝票の集計から元帳への転記まで

仕訳日計表とは、1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表です。伝票から総勘定元帳へ1枚ずつ転記する代わりに、日計表の合計額をまとめて転記するので、転記の回数とミスを減らせます。次の設例で手順を追います(No.102とNo.301は、前の章のB商店への売上を方法1で起票したものです)。

設例:6月1日の伝票

入金伝票 No.101 売掛金(A商店)60,000
入金伝票 No.102 売上 30,000
出金伝票 No.201 買掛金(C商店)45,000
出金伝票 No.202 旅費交通費 6,000
振替伝票 No.301 売掛金(B商店)120,000/売上 120,000
振替伝票 No.302 仕入 90,000/買掛金(C商店)90,000
振替伝票 No.303 普通預金 50,000/売掛金(A商店)50,000

手順1:伝票を仕訳の形に直し、科目ごとに集計する

入金伝票は借方に現金を、出金伝票は貸方に現金を補って考えます。そのうえで、同じ科目の借方と貸方を別々に合計します。

  • 現金:借方60,000+30,000=90,000/貸方45,000+6,000=51,000
  • 売掛金:借方120,000/貸方60,000+50,000=110,000
  • 買掛金:借方45,000/貸方90,000
  • 売上:貸方30,000+120,000=150,000
  • 普通預金・仕入・旅費交通費:借方50,000・90,000・6,000

手順2:仕訳日計表に記入し、貸借の合計を確かめる

集計した金額を、勘定科目ごとに借方・貸方へ記入します。この日計表のページ番号は61とします。

借方元丁勘定科目元丁貸方
90,0001現金151,000
50,0002普通預金
120,0004売掛金4110,000
45,00012買掛金1290,000
売上21150,000
90,00031仕入
6,00035旅費交通費
401,000合計401,000

借方合計401,000円と貸方合計401,000円が一致しました。伝票7枚の金額の合計(60,000+30,000+45,000+6,000+120,000+90,000+50,000=401,000円)とも一致します。1枚に1行ずつの伝票なら、この方法で手早く検算できます。

元丁欄には、総勘定元帳へ転記したときに、その勘定の口座番号を書きます。転記が済んだ印になり、転記漏れを防げます。表の番号は説明のための例です。

手順3:総勘定元帳へ合計額を転記する

総勘定元帳へは、日計表の借方合計・貸方合計を勘定ごとにまとめて転記します。摘要欄は「仕訳日計表」、仕丁欄は日計表のページ番号(ここでは61)です。売掛金勘定(前月繰越200,000円)の記入例を示します。日付はすべて6月1日です。

摘要仕丁借方貸方借/貸残高
前月繰越✓200,000借200,000
仕訳日計表61120,000借320,000
仕訳日計表61110,000借210,000

手順4:得意先元帳・仕入先元帳へは伝票から1枚ずつ転記する

得意先元帳(売掛金元帳)と仕入先元帳(買掛金元帳)は、取引先ごとの残高を管理する補助元帳です。日計表には科目ごとの合計しかないので、補助元帳へは伝票から1枚ずつ転記します。摘要欄と仕丁欄は、たとえば伝票の種類と番号を書きます(答案用紙の形に合わせます)。前月繰越はA商店130,000円、B商店70,000円とします。

得意先摘要仕丁借方貸方残高
A商店前月繰越✓130,000130,000
A商店入金伝票10160,00070,000
A商店振替伝票30350,00020,000
B商店前月繰越✓70,00070,000
B商店振替伝票301120,000190,000

得意先元帳の残高の合計は20,000+190,000=210,000円で、総勘定元帳の売掛金の残高210,000円と一致します。この一致を確かめるのが、補助元帳の検算です。講義#36では、日計表からの合計転記と、得意先元帳への個別転記の違いを扱っています。

ポイント

B商店への売上を方法2で起票していたら、日計表の売掛金は借方150,000円・貸方140,000円になり、合計も431,000円に変わります。それでも売掛金の残高210,000円とB商店の残高190,000円は変わりません。

伝票の問題でよくある間違いと原因

  1. 入金伝票の科目欄に「現金」と書く:仕訳の借方を書く感覚で記入してしまうためです。入金伝票は借方が現金と決まっているので、書くのは相手科目だけです。
  2. 普通預金への入金を入金伝票にする:「入金」という言葉から、預金への入金も含めてしまうためです。3伝票制の入金・出金は現金の増減だけです。
  3. 一部現金取引の推定で、振替伝票の金額を取り違える:方法を判定せずに差額で考えるためです。入金伝票が売掛金なら全額、売上なら掛けの部分の金額です。
  4. 日計表の集計で、入金伝票の科目を借方に入れる:伝票の金額欄の位置につられるためです。入金伝票の科目は貸方、出金伝票の科目は借方に集計します。
  5. 得意先元帳へ日計表から転記する:総勘定元帳と同じ流れで考えるためです。日計表には取引先ごとの内訳がないので、補助元帳へは伝票から転記します。

第2問での出題の形と解き方のコツ

伝票と仕訳日計表は、第2問の帳簿の問題として出題されることがあります。代表的な形と解き方のコツをまとめます。

出題の形問われること解き方のコツ
伝票の空欄補充一部現金取引のもう1枚の伝票入金・出金伝票の科目で方法を判定する
仕訳日計表の作成日計表の各科目の金額と合計額伝票を仕訳の形に直し、借方と貸方を分けて集計する
元帳への転記総勘定元帳や得意先元帳の記入・残高総勘定元帳は日計表から合計で、補助元帳は伝票から1枚ずつ

集計の前に、伝票の科目に借方・貸方の印をつけておくと向きを取り違えません。入金伝票の科目は貸方、出金伝票の科目は借方です。借方・貸方の判定そのものに迷う人は借方・貸方の覚え方から確認してください。日計表の貸借一致は試算表と同じ検算の考え方で、試算表の作り方でも扱っています。大問ごとの時間配分は簿記3級の大問別の解き方にまとめています。

練習問題|伝票の判定・推定・日計表

練習問題1

次の取引は、どの伝票に起票するか答えなさい(一部現金取引は2枚)。
(1) 事務用の文房具3,000円を現金で購入した。
(2) 買掛金80,000円を普通預金口座から振り込んだ。
(3) 商品60,000円を仕入れ、代金のうち15,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
(4) 普通預金口座から現金20,000円を引き出した。

練習問題1の解答と解説を見る

(1) 出金伝票(消耗品費3,000)。(2) 振替伝票(買掛金80,000/普通預金80,000)で、現金は動いていません。(3) 出金伝票と振替伝票の2枚です。方法1なら、出金伝票(仕入15,000)と振替伝票(仕入45,000/買掛金45,000)。方法2なら、振替伝票(仕入60,000/買掛金60,000)と出金伝票(買掛金15,000)です。(4) 入金伝票(普通預金20,000)です。

練習問題2

商品96,000円を売り上げ、代金のうち24,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。この取引について、入金伝票に(売掛金)24,000円と記入されていた。振替伝票の記入を答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の振替伝票(単位:円)

借方貸方
売掛金96,000売上96,000

入金伝票の科目が売掛金なので、いったん全額を掛けにする方法2です。振替伝票は取引全体の96,000円で起票します。もし入金伝票が(売上)24,000円なら方法1です。振替伝票は96,000−24,000=72,000円(売掛金72,000/売上72,000)になります。

練習問題3

次の4枚の伝票から仕訳日計表を作る。(a) 現金の借方・貸方の金額、(b) 仕入の借方の金額、(c) 日計表の借方合計を答えなさい。
入金伝票 No.101 売上 18,000
入金伝票 No.102 売掛金 42,000
出金伝票 No.201 仕入 25,000
振替伝票 No.301 仕入 60,000/買掛金 60,000

練習問題3の解答と解説を見る
借方勘定科目貸方
60,000現金25,000
売掛金42,000
買掛金60,000
売上18,000
85,000仕入
145,000合計145,000

(a) 現金は借方18,000+42,000=60,000円、貸方25,000円。(b) 仕入は出金伝票と振替伝票の25,000+60,000=85,000円。(c) 借方合計は60,000+85,000=145,000円です。貸方合計25,000+42,000+60,000+18,000=145,000円、伝票4枚の合計とも一致します。

まとめ

  • 入金伝票は借方が現金、出金伝票は貸方が現金で、書くのは相手科目だけ。現金が動かない取引は振替伝票
  • 一部現金取引は「取引を分解する」か「いったん全額を掛けにする」。総勘定元帳の残高はどちらも同じ
  • 推定問題は入金・出金伝票の科目で判定する。売掛金・買掛金なら、振替伝票は取引全体の金額
  • 仕訳日計表は1日分の伝票を科目ごとに集計した表。総勘定元帳へは合計で転記し、元丁欄に口座番号を書く
  • 得意先元帳・仕入先元帳へは伝票から1枚ずつ転記し、残高の合計が総勘定元帳と一致するか確かめる

次の一歩として、簿記3級の無料講義 全50本の一覧の#35(3伝票制)と#36(仕訳日計表)を続けて見ると、起票から転記までの流れが定着します。帳簿の種類から復習したい人は、簿記初級・原価計算初級の講義一覧の#04(帳簿と伝票)がやさしい入口です。

動画で学ぶ|伝票と仕訳日計表の講義

よくある質問

入金伝票と出金伝票には、何を書けばいいですか?

相手科目と金額だけを書きます。入金伝票は借方、出金伝票は貸方が必ず現金なので、「現金」とは書きません。

一部現金取引は、2つの方法のどちらで書けばいいですか?

問題文の指示や、すでに記入されている伝票に合わせます。どちらでも総勘定元帳の残高は同じですが、仕訳日計表の売掛金・買掛金の金額と合計額は変わるので、問題の前提を先に確認します。

仕訳日計表の元丁欄には何を書きますか?

総勘定元帳へ転記した勘定の口座番号を書きます。転記が済んだ印になり、転記漏れの確認に使えます。

得意先元帳へは、仕訳日計表から転記しますか?

しません。仕訳日計表には取引先ごとの内訳がないため、得意先元帳・仕入先元帳へは伝票から1枚ずつ転記します。

普通預金への入金は、入金伝票に書きますか?

書きません。3伝票制の入金伝票・出金伝票は現金の増減だけに使うので、普通預金への入金は振替伝票に書きます。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

内容の誤りにお気づきの際は お問い合わせフォーム からお知らせください。運営者情報・監修体制 もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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