リース取引の仕訳|利子込み法と利子抜き法の違い(2級)

リース取引の仕訳、利子込み法と利子抜き法は計上額が違うだけと書かれた「簿記2級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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リース取引の仕訳で迷うのは、リース資産をいくらで計上するかです。利子込み法はリース料総額、利子抜き法は見積現金購入価額で計上し、差額の利息は利子抜き法だけが定額法で支払利息に配分します。

この記事では同じ設例で2つの方法を並べ、返済スケジュール表とリース債務の流動・固定、期中開始の月割まで検算つきで確認します。2026年度までと2027年度からで変わる勘定科目も、対比表で整理しました。

目次

利子込み法と利子抜き法の違いは?計上額と支払利息だけ

ファイナンス・リース取引は、形は「借りる」契約でも、中身は代金を分割で払って買うのと同じです。そこで借手は、リースを始めた日にリース資産とリース債務を計上します。その後はリース料を払うたびに債務を減らし、決算で資産を減価償却します。

比べる点利子込み法利子抜き法
リース資産・リース債務の計上額リース料総額(利息を含む)見積現金購入価額(利息を含まない)
利息相当額の扱い区別しない(資産の金額に含める)毎期、定額法で支払利息にする
減価償却の出発点リース料総額見積現金購入価額

利息相当額 = リース料総額 − 見積現金購入価額

違うのは、利息を資産の金額に含めるかどうかだけです。「込み」は資産に利息を込める、「抜き」は利息を抜く、と資産の金額の話として覚えると、計上額を取り違えません。

ファイナンス・リースに当たるかどうかの判定基準は、講義動画で解説しています。この記事では、判定したあとの仕訳に集中します。

▶ 動画で確認する(2:40〜 ファイナンス・リースの判定基準)

同じ設例で比べる|開始・支払・決算の仕訳

ここからは1つの設例で、2つの方法の仕訳を横に並べます。数字はすべて編集部が作成したものです。

設例

当期首(4月1日)に、備品について次の条件でリース契約を結んだ。このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。決算日は3月31日。

・リース期間:4年
・リース料:年額300,000円(毎年3月31日に普通預金から後払い)
・見積現金購入価額:1,080,000円
・減価償却:定額法、耐用年数はリース期間の4年、残存価額ゼロ、間接法

リース料総額は300,000×4年=1,200,000円です。利息相当額は1,200,000−1,080,000=120,000円です。利子抜き法では、これを4年で割った30,000円を毎年の支払利息にします。

場面利子込み法(単位:円)利子抜き法(単位:円)
開始(4月1日)リース資産1,200,000/リース債務1,200,000リース資産1,080,000/リース債務1,080,000
支払(3月31日)リース債務300,000/普通預金300,000リース債務270,000・支払利息30,000/普通預金300,000
決算(3月31日)減価償却費300,000/リース資産減価償却累計額300,000減価償却費270,000/リース資産減価償却累計額270,000
1年間の費用300,000300,000(270,000+30,000)

利子抜き法の支払時の仕訳は、借方が2行になります。仕訳表でも確認しておきましょう。

利子抜き法:リース料の支払い(単位:円)

借方貸方
リース債務270,000普通預金300,000
支払利息30,000

表の最後の行のとおり、1年間の費用はどちらも300,000円です。利子込み法では利息が減価償却費の中に含まれ、利子抜き法では支払利息として別に出てくるだけです。リース期間で定額法償却し、利息も定額法で配分するこの設例では、毎年この関係が成り立ちます。

▶ 動画で確認する(7:54〜 利子込み法と利子抜き法の比較)

返済スケジュール表とリース債務の流動・固定

利子抜き法では、毎回の支払額300,000円を利息30,000円と元本270,000円に分け、元本の分だけリース債務を減らします。これを一覧にしたものが返済スケジュール表です。

年度支払利息(円)元本の返済(円)年度末のリース債務(円)
開始時−−1,080,000
1年目30,000270,000810,000
2年目30,000270,000540,000
3年目30,000270,000270,000
4年目30,000270,0000
合計120,0001,080,000−

検算は3か所です。元本の合計は見積現金購入価額1,080,000円と、利息の合計は利息相当額120,000円と一致します。最後の残高がゼロになれば、表は正しくできています。

▶ 動画で確認する(1:12〜 返済スケジュール表を作る)

流動負債と固定負債はどこで切る?

決算日の翌日から1年以内に返す元本は流動負債、それより後に返す元本は固定負債に表示します(一年基準)。1年目の決算日のリース債務810,000円なら、2年目に返す元本270,000円が流動負債、残りの540,000円が固定負債です。

方法1年目末の残高(円)流動負債(円)固定負債(円)
利子抜き法810,000270,000540,000
利子込み法900,000300,000600,000

利子抜き法で「来年払うのは300,000円だから、流動負債も300,000円」としてはいけません。帳簿に載っていない利息30,000円まで含めてしまうからです。リース債務に入っているのは元本だけなので、切り分けるのも元本だけです。利子込み法はリース債務に利息が含まれているため、翌年の支払額300,000円がそのまま流動負債になります。

▶ 動画で確認する(2:15〜 決算の表示──流動と固定はどこで切る?)

期中に始まったリース|月割の減価償却と利息の見越し

リースが期の途中で始まると、支払日と決算日がずれます。設例の条件のうち、開始日を10月1日、支払日を毎年9月30日(後払い)に変えて、1年目の決算(3月31日)を見てみます。

減価償却は、使った10月〜3月の6か月分を月割で計上します。利子抜き法では、まだ払っていない6か月分の利息を見越して、未払利息を計上します。

利子抜き法:1年目の決算①減価償却(単位:円)

借方貸方
減価償却費135,000リース資産減価償却累計額135,000

利子抜き法:1年目の決算②利息の見越し(単位:円)

借方貸方
支払利息15,000未払利息15,000

減価償却費は1,080,000÷4年×6/12=135,000円、見越す利息は30,000×6/12=15,000円です。利子込み法では、利息がリース債務に含まれているので見越しは不要です。減価償却費は1,200,000÷4年×6/12=150,000円になります。135,000円と15,000円を足すと150,000円になり、ここでも費用の合計は一致します。

利子抜き法の1年目末のリース債務は、まだ1回も払っていないので1,080,000円のままです。翌年9月30日に返す元本270,000円が流動負債、残りの810,000円が固定負債になります。見越した未払利息は翌期首に再振替します。経過勘定の扱いは経過勘定の覚え方と再振替仕訳で整理しています。

間違えやすい5か所|なぜそう書いてしまうのか

  1. 利子込み法と利子抜き法の計上額を逆にする:「込み・抜き」を支払額の話だと思うためです。資産の金額に利息を込めるか抜くか、と覚えます。
  2. 利子抜き法の流動負債を、翌年の支払額にする:支払額がいちばん目に入る数字だからです。リース債務は元本だけなので、流動負債も元本で切ります。
  3. 利子込み法で支払利息や未払利息を書く:利子抜き法の仕訳を覚えた勢いで書いてしまうためです。利子込み法では、利息は減価償却費の中に入っています。
  4. 支払リース料で処理するリースに、リース資産を計上する:「リース=資産に計上」と一律に覚えているためです。2026年度まではオペレーティング・リース、2027年度からは短期リース・少額リースが、支払時に支払リース料とする対象です。
  5. 期中開始なのに、減価償却費を1年分計上する:決算の減価償却は12か月分、という感覚が残っているためです。開始した月から決算の月まで、両端を含めて数えます。

減価償却の月割に不安があれば、減価償却の計算(定額法・定率法・月割)で確認してください。前の章の圧縮記帳と火災未決算の仕訳も、減価償却の出発点を先に決めてから計算する点は同じです。

2026年度まで/2027年度からで変わる科目と区分

2027年度(2027年4月1日〜2028年3月31日)に行われる試験では、出題区分表の改定により、リースの扱いが変わります。企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」などが、2027年4月から強制適用されるためです。2026年度(2027年3月31日まで)の試験は現行の区分表のままなので、受験する時期に合わせて科目を使い分けてください。

項目2026年度まで2027年度から
リースの区分ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分ける区分を廃止。借手は原則として資産・負債に計上(オンバランス)
資産の科目リース資産使用権資産
減価償却累計額リース資産減価償却累計額使用権資産減価償却累計額
負債の科目リース債務リース負債
利子込み法・利子抜き法出題される(利息相当額は定額法で配分)引き続き出題される(利息相当額は定額法で配分)
支払リース料で処理するものオペレーティング・リース短期リース・少額リース(賃貸借処理を容認)

この記事の設例(利子抜き法)を、2027年度からの科目で書き直すと次のとおりです。4年・定額法・残存価額ゼロという設例の前提はそのままで、金額の計算も変わりません。

場面2026年度までの科目(単位:円)2027年度からの科目(単位:円)
開始リース資産1,080,000/リース債務1,080,000使用権資産1,080,000/リース負債1,080,000
支払リース債務270,000・支払利息30,000/普通預金300,000リース負債270,000・支払利息30,000/普通預金300,000
決算減価償却費270,000/リース資産減価償却累計額270,000減価償却費270,000/使用権資産減価償却累計額270,000

リースに当たるかどうかの判断(リースの識別)は、2級では出題されず、与えられたものとして扱います。

賃貸借処理になるリースは、資産も負債も計上せず、リース料を支払ったときに支払リース料とします。短期リース・少額リースに当たるかどうかは、問題文の指示に従ってください。

賃貸借処理:リース料60,000円の支払い(単位:円)

借方貸方
支払リース料60,000普通預金60,000

手形の削除なども含めた改定の全体像は、2027年度の出題区分表改定のまとめで確認できます。区分表と改定の説明書の原文は、日本商工会議所の簿記 出題区分表のページで公開されています。

▶ 動画で確認する(8:16〜 2027年度から──新しいリース会計基準)

練習問題|利子抜き法と2027年度の科目

練習問題1

ファイナンス・リース取引を利子抜き法で処理している。リース期間5年、リース料は年額180,000円(毎年度末に普通預金から後払い)、見積現金購入価額は800,000円で、利息相当額は定額法で配分する。第1回のリース料を支払ったときの仕訳を答えなさい。

練習問題1の解答と解説を見る

練習問題1 第1回のリース料の支払い(単位:円)

借方貸方
リース債務160,000普通預金180,000
支払利息20,000

利息相当額は180,000×5年−800,000=100,000円で、1年あたり100,000÷5年=20,000円です。元本の返済は180,000−20,000=160,000円になります。

練習問題2

練習問題1のリースについて、第1回の支払いを終えた決算日のリース債務のうち、流動負債と固定負債に表示する金額をそれぞれ答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

流動負債160,000円、固定負債480,000円です。支払後のリース債務は800,000−160,000=640,000円です。このうち翌期に返す元本160,000円が流動負債、残りの480,000円が固定負債になります。翌期の支払額180,000円で切ると、利息まで含めてしまうので誤りです。

練習問題3

2027年度からの試験の科目を使って、練習問題1のリースを利子込み法で処理するときの、リース開始時の仕訳を答えなさい。

練習問題3の解答と解説を見る

練習問題3 リース開始時・利子込み法(単位:円)

借方貸方
使用権資産900,000リース負債900,000

利子込み法では、リース料総額180,000×5年=900,000円で計上します。2027年度からは、資産は使用権資産、負債はリース負債です。

まとめ

  • 利子込み法はリース料総額、利子抜き法は見積現金購入価額で計上する。違いは利息を資産の金額に含めるかどうかだけ
  • 利子抜き法は利息相当額を定額法で配分し、支払のつど利息と元本に分ける
  • リース債務は元本だけ。翌期に返す元本が流動負債、残りが固定負債
  • 期中に始まったリースは減価償却を月割にし、利子抜き法では未払利息を見越す
  • 2027年度からは使用権資産・使用権資産減価償却累計額・リース負債を使う。利子込み法・利子抜き法は引き続き出題される

次の一歩として、簿記2級の無料講義 全66本の一覧から、リースの前後の回(固定資産、無形固定資産)を続けて見ておきましょう。第3問の決算整理でまとめて問われても、慌てずに済みます。学習の進め方は簿記2級の独学スケジュールを参考にしてください。

動画で学ぶ|リース取引の講義

よくある質問

利子込み法と利子抜き法は、どちらで答えればいいですか?

問題文で指定された方法で答えます。計上額を取り違えないよう、最初に方法名に印を付けてから仕訳を書くと安全です。

リース資産の耐用年数は何年で計算しますか?

所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース期間を耐用年数とし、残存価額ゼロで償却するのが基本です。問題文に条件が書かれていれば、その条件に従います。

2027年度から、利子込み法と利子抜き法はなくなりますか?

なくなりません。2027年度適用の出題区分表でも、利子込み法・利子抜き法(利息相当額の配分は定額法)は引き続き出題されます。変わるのは科目名で、リース資産は使用権資産、リース債務はリース負債になります。

オペレーティング・リースの仕訳はどう書きますか?

2026年度までの試験では、契約時は仕訳なしで、リース料を支払ったときに支払リース料を計上します。決算日に未払いや前払いの分があれば、見越し・繰延べを行います。2027年度からは区分がなくなり、短期リース・少額リースについて同じ賃貸借処理が認められます。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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