経過勘定の覚え方|前払・未払・前受・未収と再振替仕訳

経過勘定の覚え方、前払・未払・前受・未収と再振替仕訳と書かれた「簿記3級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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前払・未払・前受・未収のどれが資産で、仕訳の借方・貸方はどっちだったか、問題を解くたびに迷っていませんか。覚えることは2つだけです。当期の費用・収益を「前は減らす・未は足す」で直して反対側に経過勘定を書くこと、そして翌期首に逆の仕訳(再振替仕訳)で元に戻すことです。

この記事では、4つの経過勘定を2軸の表で整理し、月割の4例、第2問で出る支払家賃の勘定記入、切手・収入印紙の貯蔵品まで、検算つきで確認します。

目次

経過勘定とは?4つを「費用・収益」×「繰延べ・見越し」で覚える

経過勘定とは、お金を受け払いした時期と、費用・収益が発生する期間がずれているときに、決算で当期の費用・収益を正しい金額に直すために使う勘定です。前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の4つがあります。

必要になる理由は、損益計算書には「当期に対応する分」だけを載せるからです。たとえば11月に1年分の保険料を払っても、3月決算の会社で当期に対応するのは11月〜3月の5か月分です。残りの7か月分は翌期の費用なので、決算で翌期へ送ります。

区分繰延べ(お金のやりとりが先)見越し(お金のやりとりが後)
費用前払費用(資産)
例:前払保険料・前払家賃
未払費用(負債)
例:未払利息・未払家賃
収益前受収益(負債)
例:前受地代・前受家賃
未収収益(資産)
例:未収利息・未収手数料
決算でやること当期分を超えた金額を減らす足りない当期分を足す

縦の軸は「費用の話か、収益の話か」、横の軸は「お金のやりとりが先に済んでいるか(繰延べ)、まだか(見越し)」です。問題文を読んだら、この2つを判定するだけで4つのどれかに決まります。

資産か負債かは「これから受け取れる側か」で決まる

前払費用は、先にお金を払ったので、これからサービスを受け取れる権利です。未収収益は、サービスを提供済みで、これからお金を受け取れる権利です。どちらも「これから受け取れる側」なので資産になります。

反対に、未払費用はこれからお金を払う義務です。前受収益は先にお金をもらったので、これからサービスを提供する義務です。どちらも「これから差し出す側」なので負債です。

ポイント

覚えるのは2つです。①前は減らす・未は足す(前払・前受は当期の費用・収益を減らし、未払・未収は足す)。②これから受け取れる側が資産、差し出す側が負債。

仕訳は「前は減らす・未は足す」|月割の4例

決算整理仕訳は、次の3手順で組み立てます。4つの経過勘定すべてに共通です。

  1. 費用の話か収益の話かを決め、もとの科目(保険料・受取利息など)を特定する
  2. 前払・前受なら当期分を超えた金額を減らし、未払・未収なら足りない金額を足す
  3. もとの科目の反対側に経過勘定を書く(名前は「前払・未払・前受・未収」+もとの科目の名前)

費用は借方で増えて貸方で減り、収益は貸方で増えて借方で減ります。費用を減らすならもとの科目は貸方、収益を減らすなら借方に書き、空いた側に経過勘定が入ります。

次の4例で確認します。会計期間は4月1日〜翌年3月31日で、数字はすべて解説用に作成したものです。

設例A(決算日は3月31日)

(1) 11月1日に1年分の保険料36,000円を支払い、全額を保険料として処理した。

(2) 12月1日に取引先へ600,000円を貸し付けた。年利率は2%で、利息は1年後の返済時に受け取る。

(3) 1月1日から倉庫を借りている。家賃は月20,000円で、6か月分を6月末に後払いする契約のため、決算日までは支払っていない。

(4) 12月1日に土地の賃貸料1年分48,000円を受け取り、全額を受取地代として処理した。

(1) 保険料の前払い:翌期分7か月=36,000×7/12(単位:円)

借方貸方
前払保険料21,000保険料21,000

(2) 利息の未収:当期分4か月=600,000×2%×4/12(単位:円)

借方貸方
未収利息4,000受取利息4,000

(3) 家賃の未払い:当期分3か月=20,000×3(単位:円)

借方貸方
支払家賃60,000未払家賃60,000

(4) 地代の前受け:翌期分8か月=48,000×8/12(単位:円)

借方貸方
受取地代32,000前受地代32,000

(1)と(4)は「前」なので、もとの科目を減らします。保険料は費用なので貸方、受取地代は収益なので借方です。(2)と(3)は「未」なので、もとの科目を足します。受取利息は収益なので貸方、支払家賃は費用なので借方に書きます。

(1)の保険料は、問題によっては支払保険料という科目名で出てきます。名前が違っても処理は同じです。

月数は「取引した月を含めて」書き出して数える

月割でよくあるミスは、月数が1か月ずれることです。11月1日に1年分を払った(1)なら、当期分は11月・12月・1月・2月・3月の5か月です。「3−11」のような引き算をするとずれやすいので、月の名前を書き出して数えます。

例数える月月数仕訳の金額
(1) 保険料(繰延べ)翌期の4〜10月7か月3,000×7=21,000円
(2) 受取利息(見越し)当期の12〜3月4か月1,000×4=4,000円
(3) 支払家賃(見越し)当期の1〜3月3か月20,000×3=60,000円
(4) 受取地代(繰延べ)翌期の4〜11月8か月4,000×8=32,000円

繰延べは翌期へ送る分を、見越しは当期に足す分を数える、と決めておくと迷いません。1年契約の繰延べなら「当期分+翌期分=12か月」で検算できます。(1)は5か月+7か月、(4)は4か月+8か月で、どちらも12か月です。

なぜ翌期首に再振替仕訳をするのか?

再振替仕訳とは、翌期の最初の日(期首)に、前期末の決算整理仕訳と貸借を逆にした仕訳をして、経過勘定をもとの費用・収益の勘定に戻す仕訳です。目的は、翌期に費用・収益を二重に計上しないことです。

設例Aの(3)倉庫の家賃で確かめます。前期末に1〜3月分60,000円を未払家賃として計上しました。翌期の6月30日に1〜6月分120,000円を支払ったとき、支払家賃を120,000円と記帳するだけでは、1〜3月分を前期と今期の2回、費用にしてしまいます。

翌期首(4月1日)の再振替仕訳(単位:円)

借方貸方
未払家賃60,000支払家賃60,000

6月30日に6か月分を支払ったとき(単位:円)

借方貸方
支払家賃120,000普通預金120,000
6月30日時点再振替仕訳あり再振替仕訳なし
支払家賃の残高120,000−60,000=60,000円(4〜6月の3か月分)120,000円(1〜3月分が前期と二重)
未払家賃の残高0円(支払済みの事実と一致)60,000円(払い終えたのに残る)

期首に逆仕訳で戻しておけば、支払ったときは支払額どおりに記帳するだけで、差し引きで今期の分だけが費用に残ります。期中の記帳をいつもどおりに保つための仕組み、と考えると覚えやすくなります。

毎年同額を払う契約は、試算表に1年分より多い金額が入る

保険料のように毎年同じ日に1年分を払う契約では、期首の再振替仕訳で前期の前払分が保険料に戻ります。そのため、決算整理前の試算表の保険料は1年分より多くなります。

設例Aの(1)が「毎年11月1日に同額を支払っている契約」だったとします。試算表の保険料は、再振替で戻った前期の7か月分21,000円+11月に支払った36,000円=57,000円(19か月分)です。決算で翌期分7か月21,000円を前払保険料に振り替えると、残る保険料は36,000円で、ちょうど12か月分になります。

第3問で「毎年同額を支払っている」とあったら、試算表の金額が何か月分かを先に数えるのがコツです。57,000÷19か月=3,000円と1か月分が出れば、あとは月数を掛けるだけです。

第2問の勘定記入|支払家賃と前払家賃の1年間を追う

経過勘定は、第2問の勘定記入でも出題されます。1年間の取引を日付順に仕訳し、勘定に転記して締め切る形です。仕訳が書ければ、勘定は転記するだけで埋まります。

設例B(会計期間は4月1日〜3月31日)

店舗の家賃は月30,000円で、毎年6月1日と12月1日に、向こう6か月分180,000円を普通預金から支払っている。前期末の決算では、4〜5月分60,000円を前払家賃に振り替えた。当期の支払家賃勘定と前払家賃勘定を完成させる。

日付仕訳(単位:円)内容
4/1支払家賃 60,000/前払家賃 60,000再振替仕訳
6/1支払家賃 180,000/普通預金 180,0006〜11月分の支払い
12/1支払家賃 180,000/普通預金 180,00012〜5月分の支払い
3/31前払家賃 60,000/支払家賃 60,000翌期の4〜5月分を繰延べ
3/31損益 360,000/支払家賃 360,000当期12か月分を損益へ振替

仕訳を勘定に転記すると、次のようになります。摘要には相手の勘定科目を書きます(単位:円)。

支払家賃(借方)金額支払家賃(貸方)金額
4/1 前払家賃60,0003/31 前払家賃60,000
6/1 普通預金180,0003/31 損益360,000
12/1 普通預金180,000
合計420,000合計420,000
前払家賃(借方)金額前払家賃(貸方)金額
4/1 前期繰越60,0004/1 支払家賃60,000
3/31 支払家賃60,0003/31 次期繰越60,000
合計120,000合計120,000

検算は支払家賃の損益振替額で行います。60,000+180,000+180,000−60,000=360,000円で、月30,000円×12か月と一致します。第2問で合計欄が合わないときは、4月1日の再振替仕訳の行が抜けていないかを最初に確認します。

締め切り方は、費用の勘定(支払家賃)は残高を損益勘定へ振り替え、資産の勘定(前払家賃)は「次期繰越」で締めて翌期首に「前期繰越」と書き直します。この締め切り方(英米式決算法)は、簿記3級の大問別の解き方の第2問の節でも扱っています。

なお、2027年度適用の出題区分表の改定は、リースに関する会計基準の適用も理由の1つですが、3級では不動産の賃借は引き続き支払家賃・支払地代で処理します(賃貸借処理)。家賃・地代の経過勘定は、2026年度・2027年度のどちらの試験でも同じ考え方で解けます。改定の全体像は2027年度の出題区分表改定のまとめで整理しています。

貯蔵品も同じリズム|切手・収入印紙の決算振替と再振替

郵便切手や収入印紙は、買ったときに費用で処理します。切手は通信費、収入印紙は租税公課です。決算日に使い残しがあれば、その分を貯蔵品(資産)に振り替え、翌期首に再振替仕訳でもとの費用に戻します。

貯蔵品は経過勘定ではありませんが、「当期に使っていない分を翌期へ送り、期首に戻す」リズムは前払費用と同じです。セットで覚えると、第3問で見落としにくくなります。

設例C

期中に郵便切手8,400円と収入印紙30,000円を購入し、それぞれ通信費・租税公課で処理した。決算日に、切手1,680円分と収入印紙6,000円分が未使用で残っていた。

決算整理仕訳:未使用分を貯蔵品へ(単位:円)

借方貸方
貯蔵品7,680通信費1,680
租税公課6,000

翌期首の再振替仕訳(単位:円)

借方貸方
通信費1,680貯蔵品7,680
租税公課6,000

決算後の通信費は8,400−1,680=6,720円、租税公課は30,000−6,000=24,000円で、当期に使った分だけが費用に残ります。収入印紙を通信費にしてしまう間違いには注意が必要です。印紙は印紙税などの納付に使うものなので租税公課、と理由で覚えると迷いません。税金に関する科目の区別は税金の仕訳(租税公課・法人税等・消費税)で整理しています。

経過勘定でよくある間違いと、なぜ間違えるのか

  1. 前払と未払の仕訳の向きを逆にする:科目名だけを暗記して、「当期の金額が多すぎるのか、足りないのか」を考えていないのが原因です。前は減らす・未は足す、に戻ってから借方・貸方を決めます。
  2. 未収利息を未収入金、未払家賃を未払金と書く:どちらも「まだ受け取っていない・払っていない」ので似て見えます。家賃や利息のように契約に従って時の経過とともに発生するサービスの対価は経過勘定、備品の売却代金のような1回きりの取引の未決済は未収入金・未払金です。
  3. 月数を1か月少なく数える:月の引き算をしているためです。取引した月を含めて月の名前を書き出し、繰延べは翌期分、見越しは当期分を数えます。
  4. 再振替仕訳を忘れる:期首の仕訳は取引の発生とは関係なく行うので、意識から抜けやすいのが原因です。第2問の勘定記入では4月1日の行が空欄になり、合計が合わなくなります。

未収入金・未払金との違いは売掛金と未収入金・買掛金と未払金の違い、前払金との違いは前払金と前払費用の違いで、判定の順番つきで解説しています。

練習問題|月割と再振替仕訳を3問で確認

練習問題1

当期の8月1日に、銀行から900,000円を借り入れた。年利率は2%で、利息は1年後の返済時に元金とともに支払う。決算日(3月31日)に必要な決算整理仕訳を答えなさい。

練習問題1の解答と解説を見る

練習問題1の決算整理仕訳(単位:円)

借方貸方
支払利息12,000未払利息12,000

当期分は8月〜3月の8か月です。900,000×2%=18,000円が1年分なので、18,000×8/12=12,000円です。利息はまだ払っていない(見越し)ので費用を足し、反対側に未払利息(負債)を書きます。

練習問題2

決算整理前残高試算表の支払地代は70,000円である。これは毎年6月1日に向こう1年分(毎年同額)を支払っているもので、期首に再振替仕訳を行っている。決算日(3月31日)の決算整理仕訳を答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の決算整理仕訳(単位:円)

借方貸方
前払地代10,000支払地代10,000

試算表の70,000円は、再振替で戻った前期の4〜5月分(2か月)と、6月1日に支払った1年分(12か月)の合計で、14か月分です。1か月分は70,000÷14=5,000円なので、翌期の4〜5月分は5,000×2=10,000円です。決算後の支払地代は60,000円で、ちょうど12か月分になります。

練習問題3

2月1日に、建物の一部を貸した家賃6か月分90,000円を受け取り、全額を受取家賃として処理した。決算日(3月31日)の決算整理仕訳と、翌期首の再振替仕訳を答えなさい。

練習問題3の解答と解説を見る

決算整理仕訳(単位:円)

借方貸方
受取家賃60,000前受家賃60,000

翌期首の再振替仕訳(単位:円)

借方貸方
前受家賃60,000受取家賃60,000

受け取った6か月分は2月〜7月です。翌期分は4月〜7月の4か月なので、90,000÷6×4=60,000円を前受家賃(負債)として翌期へ送ります。収益を減らすので、受取家賃は借方です。

まとめ

  • 経過勘定は「費用・収益」×「繰延べ・見越し」の4つ。これから受け取れる側の前払費用・未収収益が資産、差し出す側の未払費用・前受収益が負債
  • 仕訳は「前は減らす・未は足す」。もとの科目を直し、反対側に経過勘定を書く
  • 月数は取引した月を含めて書き出す。繰延べは翌期分、見越しは当期分を数える
  • 翌期首の再振替仕訳は二重計上を防ぐためのもの。毎年同額の契約は、試算表に1年分より多い金額が入る
  • 切手・収入印紙の貯蔵品も、決算で資産へ送り、期首に戻す同じリズム

講義#41では、繰延べと見越しの4パターンと月数の数え方を順を追って説明しているので、文字で読んだあとに動画で流れを見ると定着します。次の一歩として、経過勘定が精算表でどの欄に入るかを精算表の書き方で、前払保険料が貸借対照表で「前払費用」になる理由を財務諸表の作り方で確認しておくと、第3問まで一気につながります。決算整理の全体像は簿記3級の決算整理仕訳の8つの型、講義の順番は簿記3級の全50本の講義一覧にまとめています。

動画で学ぶ|経過勘定と再振替仕訳の講義

よくある質問

経過勘定の簡単な覚え方はありますか?

「前は減らす・未は足す」と「これから受け取れる側が資産」の2つで足ります。仕訳の向きは前者で、資産か負債かは後者で決まるので、科目名の暗記に頼らずに済みます。

再振替仕訳はいつ、なぜ行うのですか?

翌期首に、前期末の決算整理仕訳と逆の仕訳として行います。行わないと、翌期にお金を受け払いしたとき、前期に計上済みの分まで費用・収益に入り、二重計上になるためです。

前払費用と前払金の違いは何ですか?

前払費用は、保険料や家賃のように契約に従って続けて受けるサービスについて、翌期分を先に払ったものです。前払金は、商品を受け取る前に支払う手付金などで、決算で月割する対象ではありません。

貯蔵品は経過勘定ですか?

経過勘定ではありません。未使用の切手や収入印紙というモノを表す資産の勘定です。ただし、決算で未使用分を資産へ振り替え、翌期首に費用へ戻す流れは前払費用と同じなので、セットで覚えると効率的です。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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