消費税の仕訳と法人税等・租税公課の違い|簿記3級

消費税・法人税等・租税公課、税金を3つに分ければ仕訳は迷わないと書かれた「簿記3級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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簿記3級の税金の仕訳は、税金を3つに分けると迷いません。固定資産税や印紙税は費用になる租税公課、利益にかかる法人税・住民税・事業税は「法人税、住民税及び事業税」(法人税等)、消費税は預かって納める税金です。消費税(税抜方式)は、支払った分を仮払消費税、受け取った分を仮受消費税にし、決算で差額を未払消費税にします。

この記事では、判定表と仕訳の流れで、3つの違いを順に整理します。

目次

税金は3種類|租税公課・法人税等・消費税の違いとは?

会社が関わる税金は、仕訳の上では3つのグループに分かれます。分けるときの問いは「その税金は会社の費用か、利益にかかるものか、預かっているだけか」の1つです。

グループ主な税金使う勘定科目損益計算書では
費用になる税金固定資産税・自動車税・印紙税など租税公課費用として計上する
利益にかかる税金法人税・住民税・事業税法人税、住民税及び事業税(法人税等)利益を計算したあとに差し引く
預かって納める税金消費税仮払消費税・仮受消費税・未払消費税出てこない(税抜方式)

迷ったら、税額が何によって決まるかを考えます。固定資産税は持っている資産に、印紙税は契約書などの文書にかかるので、利益とは関係なく発生する費用です。法人税等は、会社のもうけをもとに計算されます。消費税は、客から受け取った分から自分が支払った分を差し引いて納めるので、税抜方式では会社の損益になりません。

この記事は簿記の処理としての説明です。税率や税額は問題文で与えられる前提で扱い、実際の税務の判断には立ち入りません。

ポイント

給料から差し引く所得税は、会社が従業員から預かって納めるもので、会社自身の税金ではありません。この3分類とは別に、預り金の勘定で処理します。

給料の支払いと預り金の流れは、立替金・預り金と給料の仕訳で解説しています。

消費税の仕訳(税抜方式)|仕入・売上・決算・納付の4場面

3級で学ぶ消費税の処理は税抜方式です。税抜方式では、商品の本体価格と消費税を分けて記帳し、仕入や売上の金額には消費税を含めません。税率は問題文で示されるので、その指示どおりに消費税額を計算します。ここでは消費税額そのものを示して、4つの場面を順に追います。

設例(4つの場面で共通)

①商品を仕入れ、本体価格300,000円と消費税30,000円の合計を掛けとした。

②商品を売り上げ、本体価格500,000円と消費税50,000円の合計を掛けとした。

③決算で、消費税の納付額を計上した(当期の取引は①②だけとする)。

④翌期に、確定した消費税を普通預金から納付した。

①仕入れたとき:支払った消費税は仮払消費税

①仕入(単位:円)

借方貸方
仕入300,000買掛金330,000
仮払消費税30,000

支払った消費税は、あとで納める消費税から差し引けるので、仮払消費税(資産)にします。仕入は本体価格の300,000円です。

②売り上げたとき:受け取った消費税は仮受消費税

②売上(単位:円)

借方貸方
売掛金550,000売上500,000
仮受消費税50,000

受け取った消費税は、あとで国に納める預かり分なので、仮受消費税(負債)にします。売掛金は、客から受け取る合計額の550,000円です。

③決算:相殺して、差額を未払消費税にする

未払消費税=仮受消費税−仮払消費税

③決算(単位:円)

借方貸方
仮受消費税50,000仮払消費税30,000
未払消費税20,000

仮受消費税50,000円と仮払消費税30,000円をどちらもゼロにし、差額の20,000円を未払消費税(負債)にします。残高を消すので、仮受消費税は借方、仮払消費税は貸方と、①②とは逆の側に書きます。

④納付したとき:未払消費税を消す

④納付(単位:円)

借方貸方
未払消費税20,000普通預金20,000

4つの場面を通して、損益計算書に消費税は一度も出てきません。売上500,000円と仕入300,000円は、どちらも本体価格のままです。

なぜ仮払消費税は資産、仮受消費税は負債なのか?

消費税を最終的に負担するのは、商品を買った消費者です。会社は売上のときに消費税を預かり、仕入などで支払った消費税を差し引いて、差額だけを納めます。支払った分は「納める額から差し引ける権利」なので資産、預かった分は「納める義務」なので負債です。

科目分類出てくる場面決算での扱い
仮払消費税資産商品の仕入・備品の購入・経費の支払い仮受消費税と相殺してゼロにする
仮受消費税負債商品の売上など仮払消費税と相殺してゼロにする
未払消費税負債決算翌期に納付して消す

講義#31では、本体価格と消費税を分けて記帳する流れを、仕入・売上・決算・納付の順に扱っています。

法人税等の仕訳|中間納付・決算・納付の3場面

法人税・住民税・事業税は、会社の利益をもとに計算される税金です。勘定科目表では「法人税、住民税及び事業税」が標準の科目で、「法人税等」は許容の科目です。試験では、問題文で示された勘定科目を使います。

流れは、期中に前払いする中間納付、決算で1年分の税額を計上する場面、決算後の納付の3つです。税額は問題文で与えられます。

設例

①期中に、法人税等の中間納付として180,000円を普通預金から納付した。

②決算で、当期の法人税、住民税及び事業税が420,000円と計算された。

③翌期に、未払分を普通預金から納付した。

①中間納付(単位:円)

借方貸方
仮払法人税等180,000普通預金180,000

中間納付の時点では1年分の税額が決まっていないので、費用にせず、仮払法人税等(資産)にしておきます。

②決算(単位:円)

借方貸方
法人税、住民税及び事業税420,000仮払法人税等180,000
未払法人税等240,000

未払法人税等=1年分の税額−中間納付額(仮払法人税等)

決算では1年分の税額420,000円を計上し、すでに払った180,000円の仮払法人税等を消して、残りの240,000円を未払法人税等(負債)にします。中間納付がない場合は、貸方が未払法人税等だけになります。

③翌期の納付(単位:円)

借方貸方
未払法人税等240,000普通預金240,000

消費税と法人税等は、同じ形でも中身が違う

消費税と法人税等は、どちらも「仮払→決算で未払→翌期に納付」という似た形をしています。違いは、損益計算書に出るかどうかです。

場面消費税(税抜方式)法人税等
期中支払い時に仮払消費税、受取り時に仮受消費税中間納付を仮払法人税等にする
決算仮受−仮払の差額を未払消費税にする1年分を費用に計上し、中間納付との差額を未払法人税等にする
翌期未払消費税を納付して消す未払法人税等を納付して消す
損益計算書出てこない法人税、住民税及び事業税として出る

講義#30では、中間納付を仮払法人税等にして決算で相殺する流れと、費用になる税金・ならない税金の区別を扱っています。

租税公課の仕訳|固定資産税・印紙税・自動車税

固定資産税・自動車税・印紙税のように、利益とは関係なくかかる税金は、租税公課(費用)で処理します。問題文の勘定科目によっては、固定資産税や印紙税といった科目名を使うこともあります。

取引(単位:円)仕訳
固定資産税の第1期分45,000円を現金で納付した租税公課45,000/現金45,000
収入印紙12,000円を購入し、現金で支払った租税公課12,000/現金12,000
営業用の自動車の自動車税38,000円を普通預金から納付した租税公課38,000/普通預金38,000

収入印紙は、買った時点で全額を租税公課にします。決算日に使い残しがあれば、その分を貯蔵品(資産)に振り替えて翌期に繰り越し、翌期首に租税公課へ戻します。郵便切手(通信費)も同じ考え方です。振替と再振替の仕訳は、経過勘定の記事(収入印紙・切手の貯蔵品への振替)で解説しています。

よくある間違いと、なぜ間違えるのか

  1. 中間納付を仮払金で処理する:「仮に払った=仮払金」と連想するためです。法人税等の中間納付は、専用の仮払法人税等を使います。仮払金は、出張旅費の概算払いのように内容や金額が決まっていない支出の置き場です。
  2. 決算で、中間納付との差額だけを費用にする:払い残しだけが費用だと考えるためです。費用は1年分の税額の全額で、中間納付分は仮払法人税等を消して調整します。
  3. 消費税込みの金額で仕入・売上を書く:請求書の合計額をそのまま写すためです。税抜方式では、仕入と売上は本体価格だけです。
  4. 決算の相殺で、仮払消費税と仮受消費税の向きを逆にする:①②と同じ側に書いてしまうためです。残高を消すので、仮受消費税は借方、仮払消費税は貸方です。
  5. 固定資産税を法人税等に入れる:「会社が払う税金」を1つにまとめて考えるためです。利益をもとに計算される税金かどうかで分けます。
  6. 備品の購入や経費の支払いで仮払消費税を忘れる:消費税は商品の仕入のときだけと思い込むためです。税抜方式では、消費税を支払うたびに仮払消費税を分けて記帳します。

とくに差がつく2つを、この記事の設例の金額で誤答と正答に並べます。

場面誤った仕訳正しい仕訳
中間納付180,000円仮払金180,000/普通預金180,000仮払法人税等180,000/普通預金180,000
決算(1年分420,000円・中間納付180,000円)法人税、住民税及び事業税240,000/未払法人税等240,000法人税、住民税及び事業税420,000/仮払法人税等180,000と未払法人税等240,000

仮払金との違いは、仮払金・仮受金の仕訳で確認できます。

練習問題で確認する

練習問題1

次の税金の支払いを、租税公課・法人税等(法人税、住民税及び事業税)・消費税のどれで処理するか答えなさい。

ア 本社建物の固定資産税
イ 契約書に貼る収入印紙
ウ 決算で確定した事業税
エ 商品を仕入れたときの代金に含まれる消費税
オ 営業用の自動車の自動車税

練習問題1の解答と解説を見る

ア・イ・オは租税公課、ウは法人税等、エは消費税(仕入のときは仮払消費税)です。ウの事業税は、3級では法人税・住民税とあわせて法人税等として処理します。

練習問題2

決算にあたり、仮払消費税の残高は70,000円(商品の仕入分64,000円と、消耗品などの経費の支払い分6,000円の合計)、仮受消費税の残高は97,000円である。決算の仕訳を示しなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の決算整理仕訳(単位:円)

借方貸方
仮受消費税97,000仮払消費税70,000
未払消費税27,000

仮受消費税97,000円と仮払消費税70,000円をどちらも消し、差額の97,000−70,000=27,000円を未払消費税にします。経費の支払い分6,000円も仮払消費税に含まれている点がポイントです。

練習問題3

決算にあたり、当期の法人税、住民税及び事業税が356,000円と計算された。仮払法人税等の残高は150,000円である。決算の仕訳を示しなさい。

練習問題3の解答と解説を見る

練習問題3の決算整理仕訳(単位:円)

借方貸方
法人税、住民税及び事業税356,000仮払法人税等150,000
未払法人税等206,000

1年分の356,000円を費用に計上し、仮払法人税等150,000円を消します。残りの356,000−150,000=206,000円が未払法人税等です。費用を206,000円にしないよう注意します。

まとめ

  • 税金は「費用になる」「利益にかかる」「預かって納める」の3つに分ける
  • 固定資産税・印紙税・自動車税などは租税公課(費用)。使い残した収入印紙は決算で貯蔵品へ
  • 法人税等は、中間納付=仮払法人税等、決算=1年分を計上して差額を未払法人税等、翌期に納付
  • 消費税(税抜方式)は、支払い=仮払消費税、受取り=仮受消費税、決算で相殺して差額を未払消費税
  • 税率や税額は問題文の指示に従う。実際の税務の判断は専門家に確認する

税金の処理は、第3問の決算整理事項としても問われる論点です。決算整理全体の流れは簿記3級の決算整理仕訳(8つの型)、損益計算書・貸借対照表での表示は財務諸表の作り方で確認できます。講義で流れを見たい人は、簿記3級の無料講義 全50本の一覧から#30と#31を続けて見てください。2級では、会計と税務の差を調整する方法を税効果会計の記事で学びます。

動画で学ぶ|租税公課・法人税等・消費税の講義

よくある質問

仮払消費税と仮受消費税はどう使い分けますか?

支払ったときの消費税は仮払消費税、受け取ったときの消費税は仮受消費税です。仕入や経費の支払いでは仮払消費税(資産)、売上では仮受消費税(負債)を使い、決算で相殺します。

未払消費税はいつ計上しますか?

決算のときです。仮受消費税から仮払消費税を差し引いた差額を未払消費税(負債)として計上し、翌期に納付したときに消します。

法人税等と租税公課の違いは何ですか?

法人税等は会社の利益をもとに計算される税金で、租税公課は固定資産税や印紙税のように利益と関係なくかかる税金です。租税公課は費用として処理し、法人税等は利益を計算したあとに差し引きます。

中間納付した法人税等は、決算でどう処理しますか?

1年分の税額を法人税、住民税及び事業税として計上し、中間納付で計上した仮払法人税等を消します。1年分の税額から中間納付額を引いた残りが、未払法人税等になります。

消費税の税率は覚える必要がありますか?

簿記の問題では、税率や消費税額は問題文で示されるのが前提です。まずは仮払・仮受・未払の仕訳の形をしっかり押さえ、計算は問題文の指示どおりに行います。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

税金に関する記述は簿記の試験学習のための一般的な説明です。実際の税務上の取扱いは個別の事情により異なるため、税務署または税理士にご確認ください。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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