試算表は、総勘定元帳(勘定科目ごとに金額を記録する帳簿)の各勘定の金額を1枚に集め、借方と貸方の合計が一致するかを確かめる表です。合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類は、元帳から「合計」を写すか「残高」を写すか、その両方かの違いにすぎません。
この記事では、同じ設例で3種類を作って比べます。そのうえで、集計の手順と電卓での確かめ方、貸借が合わないときの探し方、試験での出され方まで確認します。
この記事の内容を動画で解説しています(簿記3級 #04・8:15)
8:15【簿記3級 #04】試算表で確かめる|合計・残高・合計残高の違い試算表は転記が正しいかを確かめる表 / 合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類▶ YouTubeで見る試算表とは?目的は転記ミスの発見と決算の出発点
試算表は、月末や決算の前に、元帳の数字が正しく集計できているかを確かめるために作ります。目的は次の2つです。
- 転記ミスを見つける:仕訳は必ず左右が同じ金額なので、正しく転記できていれば、全勘定を集めた左右の合計も一致します(貸借平均の原理)
- 決算の出発点にする:決算整理は試算表の残高から始まり、精算表や財務諸表もここを土台に作ります
記録の流れの中で見ると、試算表は日々の記録と決算のつなぎ目にあります。
| 流れ | やること | 使う帳簿・表 |
|---|---|---|
| 取引 | 何が起きたかを確かめる | 請求書・領収書などの証ひょう |
| 仕訳 | 左右に分けて記録する | 仕訳帳 |
| 転記 | 勘定科目ごとに書き写す | 総勘定元帳 |
| 試算表 | 左右の合計が一致するか確かめる | 試算表 |
| 決算 | 決算整理をして成績と財産をまとめる | 精算表・財務諸表 |
3種類の違いを同じ設例で比べる
ある会社の10月31日時点の総勘定元帳を集計すると、各勘定の借方合計と貸方合計は次の合計試算表のとおりでした(単位:円。金額は解説用に作ったものです)。この数字から3種類を作ります。

合計試算表|借方合計と貸方合計をそのまま写す
| 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 |
|---|---|---|
| 520,000 | 現金 | 310,000 |
| 900,000 | 普通預金 | 420,000 |
| 760,000 | 売掛金 | 450,000 |
| 380,000 | 買掛金 | 590,000 |
| 資本金 | 700,000 | |
| 売上 | 960,000 | |
| 870,000 | 仕入 | |
| 3,430,000 | 合計 | 3,430,000 |
合計試算表は、各勘定の借方の合計と貸方の合計をそのまま写す表です。合計額の3,430,000円は、原則として仕訳帳の合計金額と一致します。そのため、転記漏れの確認に向いています。
残高試算表|多いほうの側に差額だけ書く
| 借方残高 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 210,000 | 現金 | |
| 480,000 | 普通預金 | |
| 310,000 | 売掛金 | |
| 買掛金 | 210,000 | |
| 資本金 | 700,000 | |
| 売上 | 960,000 | |
| 870,000 | 仕入 | |
| 1,870,000 | 合計 | 1,870,000 |
残高試算表は、各勘定の差額(残高)だけを、金額の多いほうの側に書く表です。現金なら520,000−310,000=210,000円を借方に書きます。買掛金なら590,000−380,000=210,000円を貸方に書きます。決算整理は、この残高から出発します。
合計残高試算表|合計と残高を1枚に並べる
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 210,000 | 520,000 | 現金 | 310,000 | |
| 480,000 | 900,000 | 普通預金 | 420,000 | |
| 310,000 | 760,000 | 売掛金 | 450,000 | |
| 380,000 | 買掛金 | 590,000 | 210,000 | |
| 資本金 | 700,000 | 700,000 | ||
| 売上 | 960,000 | 960,000 | ||
| 870,000 | 870,000 | 仕入 | ||
| 1,870,000 | 3,430,000 | 合計 | 3,430,000 | 1,870,000 |
合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表を1枚にまとめた表です。内側の2列が合計、外側の2列が残高です。合計の列どうし、残高の列どうしで、左右の合計がそれぞれ一致します。
| 種類 | 書く金額 | この設例の合計額 | 主な使い道 |
|---|---|---|---|
| 合計試算表 | 借方合計と貸方合計 | 3,430,000円 | 転記漏れの確認 |
| 残高試算表 | 差額だけ(多いほうの側) | 1,870,000円 | 決算整理の出発点 |
| 合計残高試算表 | 合計と残高の両方 | 3,430,000円と1,870,000円 | 両方を1枚で確認 |
ポイント
残高試算表の合計は、合計試算表の合計より小さくなります。各勘定で借方と貸方の重なる部分を差し引き、差額だけを残すからです。
試算表の作り方|Tの字で集計して写す5つの手順
- 仕訳を確認する(問題によっては自分で仕訳を書く)
- 勘定科目ごとに、借方の金額と貸方の金額をTの字に集める
- 合計試算表なら各側の合計を、残高試算表なら差額を多いほうの側に写す
- 各列を縦に合計する
- 借方の合計と貸方の合計が一致するかを確かめる
取引の回数が多い現金や預金はTの字で集計し、1回しか出てこない勘定はTの字を作らずに直接写すと時間を節約できます。残高を書く側に迷ったら、定位置を思い出します。資産・費用はふつう借方残高、負債・純資産・収益はふつう貸方残高です。
電卓はメモリーとGTで一致を確かめる
左右の一致は、電卓のメモリー機能を使うと、合計を2回出さずに確かめられます。始める前にメモリーを消しておき(MCまたはCM)、借方の金額はM+、貸方の金額はM−で入力します。現金なら「520,000 M+」「310,000 M−」です。
これを全勘定で続けて、最後にメモリーを呼び出します(MRまたはRM)。0と表示されれば一致です。0でなければ、表示された金額がそのまま貸借の差額になり、次の章の探し方に使えます。
GTは、「=」で出した答えを自動で足し上げる機能です。GTの記憶を消してから、各勘定の残高を「借方合計−貸方合計=」で出していくと、借方残高はプラス、貸方残高はマイナスのまま積み上がります。資本金のように片側だけの勘定も「0−700,000=」と計算に通せば、最後にGTを押して0なら残高の貸借も一致しています。
キーの表示や、GTを使うための設定は機種によって違います。手元の電卓での操作は電卓の使い方(GTとメモリー)で確認してください。
貸借が一致しないときの探し方|差額÷2と差額÷9
合計が一致しないときに、すべての転記を最初から見直すのは時間がかかります。まず差額を出し、差額の特徴から疑う場所を絞ります。
| 差額の特徴 | 考えられるミス | 探し方 |
|---|---|---|
| 差額と同じ金額の取引がある | 片側だけの転記漏れ・書き漏れ | その金額の仕訳が両側に転記されているか見る |
| 差額÷2と同じ金額の取引がある | 借方と貸方を逆に転記した | ÷2の金額の転記の左右を見る |
| 差額が9で割り切れる | 桁の書き間違い、数字の入れ替え | ÷9の答えを手がかりに桁と並びを見る |
| どれにも当てはまらない | 集計や足し算の誤り | 勘定ごとに合計を出し直す |
たとえば、売掛金の増加130,000円を誤って貸方に転記すると、借方が130,000円少なく、貸方が130,000円多くなります。差額は260,000円で、260,000÷2=130,000円なので、130,000円の転記を探せば見つかります。
仕入870,000円を87,000円と書き写した場合、差額は870,000−87,000=783,000円です。783,000÷9=87,000円と割り切れるので、87,000円か870,000円の桁を疑います。450,000円を540,000円と書くような数字の入れ替えも、差額90,000円が9で割り切れます。
なぜ9で割ると見つかるの?
ゼロを1つ多く書くと金額は10倍になり、差額は元の金額の9倍です。ゼロを1つ少なく書いた場合も、差額は書いた金額の9倍になります。隣り合う数字を入れ替えたときも、差は必ず9の倍数になります。だから、差額が9で割り切れたら、桁か並びの誤りを先に疑います。
一致しても見つからないミスがある
試算表の合計が一致しても、帳簿が正しいとは限りません。次のミスは左右に同じ影響が出るので、試算表では見つかりません。
| ミス | 例 | 見つけ方 |
|---|---|---|
| 取引の記帳漏れ | 仕訳そのものを書き忘れた | 請求書や通帳と帳簿を照らし合わせる |
| 二重記帳 | 同じ仕訳を2回書いた | 同じ日付・金額の仕訳がないか見る |
| 勘定科目の誤り | 未払金とすべきところを買掛金と書いた | 取引の内容と科目名を照らし合わせる |
| 左右とも同じ金額の誤り | 68,000円を86,000円と両側に書いた | 証ひょうの金額と照合する |
| 転記先の勘定の誤り | 売掛金の借方に書くべき金額を現金の借方に書いた | 現金の実際の有高や取引先の残高と比べる |
見つかった誤りは、消さずに訂正仕訳で直します。直し方は訂正仕訳のやり方で解説しています。
試験での出方|「○日現在」の試算表に期間の取引を足す
試算表を作らせる問題では、「○日現在の合計試算表」と「その後の期間の取引」が与えられ、月末の試算表を完成させる形がよくあります。講義では第2問対策に入れている形です。第3問でも、決算整理前の残高試算表に決算整理仕訳を加えて、決算整理後残高試算表を作る問題があります。「試算表に仕訳を足す」という考え方は同じです。
ここでは、先ほどの10月31日の試算表を、25日時点から作り直してみます。10月25日現在の合計試算表は次のとおりです(単位:円)。
| 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 |
|---|---|---|
| 470,000 | 現金 | 240,000 |
| 710,000 | 普通預金 | 320,000 |
| 630,000 | 売掛金 | 300,000 |
| 280,000 | 買掛金 | 470,000 |
| 資本金 | 700,000 | |
| 売上 | 780,000 | |
| 720,000 | 仕入 | |
| 2,810,000 | 合計 | 2,810,000 |
26日から31日までの取引は次のとおりです。
- 26日 商品120,000円を仕入れ、代金は掛けとした
- 27日 商品180,000円を売り上げ、代金のうち50,000円は現金で受け取り、残りは掛けとした
- 28日 売掛金150,000円が普通預金口座に振り込まれた
- 29日 買掛金100,000円を普通預金口座から支払った
- 30日 現金40,000円を普通預金口座に預け入れた
- 31日 商品30,000円を仕入れ、代金は現金で支払った
手順1:期間の取引だけを仕訳して、勘定ごとに集計する
「25日現在」の試算表には、25日の取引まで含まれています。足すのは26日から31日までの取引だけです。まず6つの取引を仕訳します。
| 日付 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 26日 | 仕入 120,000 | 買掛金 120,000 |
| 27日 | 現金 50,000、売掛金 130,000 | 売上 180,000 |
| 28日 | 普通預金 150,000 | 売掛金 150,000 |
| 29日 | 買掛金 100,000 | 普通預金 100,000 |
| 30日 | 普通預金 40,000 | 現金 40,000 |
| 31日 | 仕入 30,000 | 現金 30,000 |
次に、勘定ごとに期間の金額を集計します。27日のように相手が2つある取引は、仕訳が3行になります。現金と売掛金の両方に集計するのを忘れないでください。
27日の仕訳(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 売上 | 180,000 |
| 売掛金 | 130,000 | ||
| 勘定科目 | 26〜31日の借方 | 26〜31日の貸方 |
|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 70,000(40,000+30,000) |
| 普通預金 | 190,000(150,000+40,000) | 100,000 |
| 売掛金 | 130,000 | 150,000 |
| 買掛金 | 100,000 | 120,000 |
| 売上 | 180,000 | |
| 仕入 | 150,000(120,000+30,000) | |
| 合計 | 620,000 | 620,000 |
期間の借方と貸方は、どちらも620,000円で一致しています。ここで一致を確かめておくと、最後に合わなかったとき、原因が集計なのか足し算なのかを切り分けられます。
手順2:25日の合計に足して、月末の残高を出す
25日現在の合計に、期間の金額を足します。現金は借方470,000+50,000=520,000円、貸方240,000+70,000=310,000円で、残高は借方に210,000円です。
すべての勘定を同じように計算すると、前の章で作った10月31日の合計残高試算表と同じ数字になります。合計欄は2,810,000+620,000=3,430,000円、残高欄は1,870,000円で、左右とも一致します。解答用紙の見出しにある日付も、最後に確認してください。
よくある間違いと、その理由
- 残高を借方と貸方の両方に書く:合計試算表の感覚のまま、残高も両側に写してしまうためです。残高は差額を1つ、多いほうの側にだけ書きます。
- 貸方残高の勘定を借方に書く:差額を出したあと、どちらが多かったかを確かめないためです。資本金・売上・買掛金のように定位置が右の勘定は、ふつう貸方残高です。
- 期間の前の取引まで足してしまう:「○日現在」の試算表に、その日の取引まで含まれていることを見落とすためです。
- 合計が一致したので安心する:一致しても見つからないミスがあることを忘れるためです。記帳漏れや科目の誤りは、証ひょうとの照合で見つけます。
左右の判定そのものがあやしい人は、借方・貸方の覚え方で5要素の定位置を確認しておくと、残高の側の書き間違いが減ります。
練習問題で手順を確認する
練習問題1
ある勘定の借方合計は430,000円、貸方合計は510,000円だった。残高試算表では、どちらの欄にいくら記入するか。また、この勘定として考えやすいのは、売掛金と買掛金のどちらか。
練習問題1の解答と解説を見る
貸方に80,000円を記入します。510,000−430,000=80,000円で、貸方のほうが多いからです。定位置が右(負債)の買掛金なら、貸方残高になるのが自然です。売掛金は資産なので、ふつうは借方残高になります。
練習問題2
合計試算表を作ったところ、借方合計が1,284,000円、貸方合計が1,356,000円で一致しなかった。差額から、最初に疑うべき可能性を3つ答えなさい。
練習問題2の解答と解説を見る
差額は1,356,000−1,284,000=72,000円で、借方が少ない状態です。疑うのは次の3つです。
- 72,000円の借方への転記漏れ
- 72,000÷2=36,000円の借方の金額を、貸方に転記した誤り
- 72,000÷9=8,000円なので、8,000円と80,000円の桁の誤り
3つ目の桁の誤りには2通りあります。借方の80,000円を8,000円と書いた場合と、貸方の8,000円を80,000円と書いた場合で、どちらも差額は72,000円です。
練習問題3
3月20日現在の合計試算表で、売掛金は借方合計540,000円、貸方合計310,000円だった。21日から31日までに、次の取引があった。3月31日の合計残高試算表の、売掛金の各欄の金額を答えなさい。
・商品90,000円を掛けで売り上げた
・売掛金120,000円が普通預金口座に振り込まれた
・掛けで売り上げた商品のうち6,000円分が返品された
練習問題3の解答と解説を見る
| 欄 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 借方合計 | 540,000+90,000 | 630,000円 |
| 貸方合計 | 310,000+120,000+6,000 | 436,000円 |
| 借方残高 | 630,000−436,000 | 194,000円 |
返品は売掛金の減少なので、回収と同じく貸方に集計します。売掛金は資産なので、残高は借方に出ます。
まとめ
- 試算表は、元帳の各勘定を集めて左右の一致を確かめる表。転記ミスの発見と決算の出発点の2つの役割がある
- 合計試算表は合計を、残高試算表は差額を多いほうの側に、合計残高試算表は両方を書く
- 合わないときは差額を出し、同じ金額・÷2・÷9の順に疑う場所を絞る
- 一致しても、記帳漏れ・二重記帳・科目の誤りなどは見つからない
- 「○日現在」の問題は、期間の取引だけを集計して足し、期間の左右の一致も確かめる
次の一歩として、簿記3級の無料講義 全50本の一覧から講義#03(仕訳帳と総勘定元帳)と#04(試算表)を見てください。転記から試算表までの流れを、動画でも確認できます。試算表から先の作業は、決算整理仕訳の8つの型と精算表の書き方につながります。
動画で学ぶ|試算表の講義
この記事の講義(簿記3級 #04・8:15)
8:15【簿記3級 #04】試算表で確かめる|合計・残高・合計残高の違い試算表は転記が正しいかを確かめる表 / 合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類 / 作成手順と、貸借が合わないときの探し方 / 試算表から読み取れること▶ YouTubeで見るあわせて見たい動画
よくある質問
試算表は何のために作るのですか?
転記の誤りを見つけることと、決算の出発点にすることの2つが目的です。仕訳は左右が同じ金額なので、正しく転記していれば、全勘定の左右の合計も一致します。
合計試算表と残高試算表の違いは何ですか?
合計試算表は各勘定の借方合計と貸方合計をそのまま書き、残高試算表は差額(残高)だけを多いほうの側に書きます。両方を1枚にまとめたものが合計残高試算表です。
試算表の貸借が合わないときは、どこから探せばいいですか?
まず差額を出し、差額と同じ金額の取引、差額の半分の金額の取引、9で割り切れるかの順に確かめます。どれにも当てはまらなければ、勘定ごとに合計を出し直します。
試算表の貸借が一致すれば、帳簿は正しいといえますか?
いいえ、正しいとは限りません。取引の記帳漏れ、二重記帳、勘定科目の誤りなどは左右に同じ影響が出るので、試算表では見つかりません。
残高試算表の合計が、合計試算表の合計より小さいのはなぜですか?
各勘定で借方と貸方の重なる部分を差し引き、差額だけを書くからです。合計試算表は重なる部分も含めて写すので、合計額が大きくなります。
執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)
記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。
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