仕損と減損の違い|度外視法の負担者判定と仕損品評価額

仕損と減損の違いと度外視法、負担者は発生点と月末進捗度で決まると書かれた「簿記2級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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仕損と減損の違いは、物が残るかどうかです。仕損は不合格品という物が残り、売れれば評価額があります。減損は蒸発などで量そのものが消え、評価額はありません。度外視法での計算の型は同じで、負担者は「発生点が月末仕掛品の進捗度より手前なら両者負担、後なら完成品のみ負担」で決まります。この記事では同じ資料で両方の負担を計算し、仕損品評価額と先入先出法の分母まで検算つきで整理します。

目次

仕損と減損の違いは?物が残るか、消えるか

仕損とは、加工に失敗して品質や規格に合わない不合格品が出ることです。減損とは、加工の途中で材料が蒸発したり粉散(粉になって飛び散ること)したりして、量そのものが減ることです。

比べる点仕損減損
何が起きるか不合格品が出る投入した量が目減りする
物は残るか残る(仕損品)残らない
評価額売却や再利用ができればあるない
例割れた瓶・寸法違いの部品煮詰めて水分が蒸発する
度外視法での計算評価額を差し引く以外は同じ評価額がないだけで同じ

▶ 動画で確認する(1:20〜 仕損と減損 ── 目減りには2種類)

正常か異常かで、原価に入れるかが変わる

仕損にも減損にも、正常と異常の区別があります。正常なものは、製品を作るうえで避けられない程度に発生する分です。その原価は良品(完成品や月末仕掛品)の原価に含めます。異常なものは、機械の故障など通常では起きない原因による分で、原価に含めない非原価項目として切り離します。

区分原価に含めるか処理
正常仕損・正常減損含める良品が負担する(度外視法)
異常仕損・異常減損含めない非原価項目として原価から除く(処理は1級の論点)

日本商工会議所の出題区分表では、2級の範囲は正常仕損費と正常減損費の処理(度外視法)です。異常仕損費・異常減損費の処理と、仕損費を別に計算する非度外視法は1級の範囲です。2級では「異常なものは原価に含めない」という考え方を押さえたうえで、正常仕損・正常減損の計算を固めましょう。

負担者の判定|発生点と月末の進捗度を数直線で比べる

正常仕損の原価を誰が負担するかは、月末仕掛品が仕損の発生点を通過しているかで決まります。仕損は、工程のある地点(検査点など)で見つかります。月末仕掛品がその地点を通過していれば、完成品と同じく仕損が出る工程を経てきたので、一緒に負担します(両者負担)。まだ通過していなければ、その仕損とは関係がないので負担しません(完成品のみ負担)。

  1. 横に1本の線を引き、左端を始点(0%)、右端を終点とする
  2. 月末仕掛品の加工進捗度に印をつける
  3. 仕損(減損)の発生点に印をつける
  4. 発生点が月末の印より左なら両者負担、右なら完成品のみ負担と判定する

たとえば月末仕掛品の進捗度が50%、仕損の発生点が20%なら、数直線は次のようになります。

0%(始点)20%50%終点
材料を投入仕損が発生月末仕掛品完成品

20%の印は50%の印より左にあるので、月末仕掛品は発生点を通過済みです。判定は両者負担になります。月末仕掛品の進捗度を50%に固定して、発生点だけを動かすと次の表のとおりです。

仕損の発生点月末仕掛品(50%)は通過したか負担者
始点(0%)通過している両者負担
20%通過している両者負担
80%通過していない完成品のみ負担
終点通過していない完成品のみ負担
不明/工程を通じて平均的に発生判定できない両者負担として扱う

▶ 動画で確認する(3:35〜 負担者の判定 ── 数直線で比べる)

ポイント

発生点が月末仕掛品の進捗度より手前なら両者負担、後なら完成品のみ負担。発生点が分からないときは両者負担。減損でも判定は同じです。

度外視法の計算|同じ資料で2つの負担を比べる

度外視法とは、正常仕損費を別に計算せず、良品(完成品や月末仕掛品)の原価に含めてしまう方法です。両者負担なら仕損の数量を分母から外すだけで、仕損の原価が完成品と月末仕掛品に自動で割り振られます。発生点だけが違う2つのケースを、同じ資料で解いてみます。数字はすべて編集部が作成したものです。

設例

次の資料から、平均法により月末仕掛品原価と完成品総合原価を求めなさい。材料は工程の始点で投入し、仕損はすべて正常仕損で評価額はない。

月初仕掛品:200個(加工進捗度50%)直接材料費48,000円・加工費28,000円
当月投入:1,300個 直接材料費372,000円・加工費440,000円
完成品:1,000個 正常仕損:100個
月末仕掛品:400個(加工進捗度50%)
ケースA:仕損は工程の20%の点で発生/ケースB:仕損は工程の終点で発生

数量は200+1,300=1,500個=完成品1,000個+仕損100個+月末400個で一致します。原価の総額は48,000+28,000+372,000+440,000=888,000円です。

ケースA(両者負担)|仕損を分母から外す

発生点20%は月末の50%より手前なので、両者負担です。仕損100個を分母に入れずに単価を出すと、仕損の原価が完成品と月末仕掛品に自然に割り振られます。

ケースA 平均法直接材料費加工費
月初+当月48,000+372,000=420,000円28,000+440,000=468,000円
分母1,000+400=1,400個1,000+200=1,200個
単価300円390円
月末仕掛品400個×300円=120,000円200個×390円=78,000円

月末仕掛品原価は198,000円、完成品総合原価は888,000−198,000=690,000円です。

ケースB(完成品のみ負担)|仕損を分母に入れる

終点で出る仕損は、50%の月末仕掛品がまだ通過していないので完成品のみ負担です。仕損を分母に含めて月末仕掛品の原価を先に確定させ、残りをすべて完成品に回します。終点で見つかる仕損は加工がすべて済んでいるので、加工費の換算量も個数と同じ100個です。

ケースB 平均法直接材料費加工費
分母1,000+100+400=1,500個1,000+100+200=1,300個
単価280円360円
月末仕掛品400個×280円=112,000円200個×360円=72,000円

月末仕掛品原価は184,000円、完成品総合原価は888,000−184,000=704,000円です。完成品には仕損100個分の原価(100個×280円+100個×360円=64,000円)が含まれています。良品1,000個分の640,000円に64,000円を足すと704,000円になり、検算が合います。

▶ 動画で確認する(6:16〜 完成品のみ負担の計算(平均法))

項目ケースA(両者負担)ケースB(完成品のみ負担)
仕損を分母に入れない入れる
月末仕掛品原価198,000円184,000円
完成品総合原価690,000円704,000円

発生点が違うだけで、月末と完成品の金額が14,000円ずつ動きました。判定を誤ると両方の答えがずれるので、計算の前に必ず数直線で確かめます。

先入先出法なら、変わるのは分母だけ

先入先出法でも判定と手順は同じです。単価を当月製造費用だけで作るので、分母は当月投入量をもとに組み立てます。2級で使うのは修正先入先出法で、完成品原価は月初分と当月分をまとめて求めます。

方法・負担者直接材料費の分母加工費の分母
平均法・両者負担完成品+月末完成品+月末の換算量
平均法・完成品のみ負担完成品+仕損+月末完成品+仕損の換算量+月末の換算量
先入先出法・両者負担完成品−月初+月末完成品−月初の換算量+月末の換算量
先入先出法・完成品のみ負担完成品−月初+仕損+月末完成品−月初の換算量+仕損の換算量+月末の換算量

ケースA(両者負担)を先入先出法で解くと、次のようになります。月初仕掛品原価は単価の計算に入れません。

ケースA 先入先出法直接材料費加工費
当月製造費用372,000円440,000円
分母1,000−200+400=1,200個1,000−100+200=1,100個
単価310円400円
月末仕掛品400個×310円=124,000円200個×400円=80,000円

月末仕掛品原価は204,000円、完成品総合原価は888,000−204,000=684,000円です。内訳でも確かめます。当月の作業で完成品に入った分は、直接材料費800個×310円=248,000円と加工費900個×400円=360,000円です。月初分76,000円を足すと684,000円で一致します。

▶ 動画で確認する(2:59〜 先入先出法 ── 分母だけが違う)

仕損品評価額はどこから引く?負担者で変わる

仕損品に売却価値などがある場合、その評価額は仕損の原価のうち回収できる分です。そこで負担者の原価から差し引きますが、差し引くタイミングは負担者によって変わります。

負担者差し引くタイミング差し引く相手
両者負担配分する前直接材料費(問題文に指示がなければ)
完成品のみ負担月末仕掛品を計算した後完成品総合原価

さきほどの設例で、仕損品の評価額が1個70円(100個で7,000円)だったとします。ケースAでは、直接材料費の単価が(420,000−7,000)÷1,400個=295円に下がります。月末は400個×295円+78,000円=196,000円、完成品は888,000−7,000−196,000=685,000円です。

ケースBでは月末仕掛品184,000円は変わらず、完成品が888,000−184,000−7,000=697,000円になります。どちらも完成品+月末+評価額7,000円=888,000円で総額と一致します。評価額は仕損品勘定に振り替えます。

仕損品の評価額を仕掛品から振り替える(単位:円)

借方貸方
仕損品7,000仕掛品7,000

直接材料費から引くのは、仕損品の売却価値が主に材料としての価値だからです。加工費から引くと単価がずれ、月末仕掛品と完成品の両方の答えがずれます。

▶ 動画で確認する(2:07〜 仕損品に評価額があるとき)

異常仕損の処理|1級の論点(参考)

この節は1級の論点です。出題区分表で異常仕損費・異常減損費の処理は1級の範囲とされているので、2級の学習では参考として読んでください。異常仕損は良品に負担させず、その原価を計算して仕掛品から抜き出します。そのため異常仕損の数量は分母に含め、完成品や月末仕掛品と同じように原価を割り当てます。

例として、次の工程を考えます。月初仕掛品なし、当月投入1,000個(直接材料費300,000円・加工費470,000円)、完成品800個、月末仕掛品150個(加工進捗度60%)。異常仕損50個は終点で発生しました。

直接材料費の単価は300,000円÷1,000個(800+50+150)=300円です。加工費の単価は470,000円÷940個(800+50+90)=500円です。

行き先計算金額
異常仕損費50個×300円+50個×500円40,000円
月末仕掛品150個×300円+90個×500円90,000円
完成品770,000−40,000−90,000640,000円

異常仕損費を仕掛品から抜き出す(単位:円)

借方貸方
異常仕損費40,000仕掛品40,000

異常仕損品に1個100円の評価額があれば、評価額5,000円を仕損品とし、残りの35,000円を異常仕損費とします。

評価額がある異常仕損(単位:円)

借方貸方
仕損品5,000仕掛品40,000
異常仕損費35,000

異常仕損費は非原価項目なので製造原価には含めず、損益計算書では原因に応じて営業外費用または特別損失に表示します。

よくある間違いと、なぜ間違えるのか

  1. 完成品のみ負担なのに仕損を分母から外す:「度外視法=仕損を無視する」と覚えているのが原因です。分母から外すのは両者負担のときだけです。完成品のみ負担では分母に入れ、月末仕掛品を先に確定させます。
  2. 完成品原価を単価×完成品数量で出す:完成品のみ負担では、仕損の原価が完成品に上乗せされます。単価×数量では仕損費が抜け落ちるので、完成品は総額からの差引きで出します。
  3. 仕損の加工費換算量に月末の進捗度を使う:仕損は発生点で見つかった品物です。換算量は個数×発生点の進捗度で計算し、終点で発生したなら個数のままです。
  4. 評価額をいつも同じタイミングで引く:「評価額は材料費から」とだけ覚えているのが原因です。両者負担は配分前に直接材料費から、完成品のみ負担は配分後に完成品から引きます。
  5. 減損を別の計算だと思い込む:減損は評価額がないだけで、判定も分母の作り方も仕損と同じです。

仕損のない基本形に不安がある人は、先に総合原価計算のボックス図と平均法・先入先出法で型を固めてください。仕損の問題では、分母の違いだけに集中できるようになります。

練習問題で確認する

練習問題1

次の正常仕損(減損)の負担者を答えなさい。
ア 発生点30%、月末仕掛品の進捗度60%
イ 工程の終点で発生、月末仕掛品の進捗度80%
ウ 発生点70%、月末仕掛品の進捗度40%
エ 工程を通じて平均的に発生する正常減損

練習問題1の解答と解説を見る

アは両者負担、イとウは完成品のみ負担、エは両者負担です。アは30%が60%より手前なので、月末仕掛品は通過済みです。イの終点とウの70%は、月末仕掛品の進捗度より後にあります。エは発生点を特定できないので、両者負担として扱います。

練習問題2

平均法で月末仕掛品原価と完成品総合原価を求めなさい。材料は始点投入。月初仕掛品100個(進捗度40%)直接材料費26,000円・加工費12,000円。当月投入900個 直接材料費234,000円・加工費458,000円。完成品800個。正常仕損50個は工程の終点で発生し、評価額は1個100円。月末仕掛品150個(進捗度60%)。

練習問題2の解答と解説を見る

月末仕掛品原価は84,000円、完成品総合原価は641,000円です。終点発生なので完成品のみ負担で、仕損を分母に入れます。直接材料費は260,000円÷1,000個(800+50+150)=260円です。加工費は470,000円÷940個(800+50+90)=500円です。

月末は150個×260円+90個×500円=39,000+45,000=84,000円。総額730,000円から月末84,000円を引き、最後に評価額5,000円(50個×100円)を完成品から差し引いて641,000円です。

練習問題3

先入先出法で月末仕掛品原価と完成品総合原価を求めなさい。材料は始点投入。月初仕掛品200個(進捗度50%)直接材料費50,000円・加工費30,000円。当月投入1,000個 直接材料費270,000円・加工費368,000円。完成品900個。正常減損100個は工程の30%の点で発生。月末仕掛品200個(進捗度60%)。

練習問題3の解答と解説を見る

月末仕掛品原価は108,000円、完成品総合原価は610,000円です。30%は月末の60%より手前なので両者負担で、減損を分母から外します。直接材料費は270,000円÷900個(900−200+200)=300円です。加工費は368,000円÷920個(900−100+120)=400円です。

月末は200個×300円+120個×400円=60,000+48,000=108,000円。総額718,000円−108,000円=610,000円が完成品です。減損でも手順は仕損と変わりません。

まとめ

  • 仕損は物が残り評価額がありうる、減損は量が消え評価額がない。度外視法の計算の型は同じ
  • 負担者は数直線で判定。発生点が月末の進捗度より手前なら両者負担、後なら完成品のみ負担、不明なら両者負担
  • 両者負担は仕損を分母から外し、完成品のみ負担は分母に入れる。完成品は必ず差引きで出す
  • 評価額は、両者負担なら配分前に直接材料費から、完成品のみ負担なら配分後に完成品から差し引く
  • 先入先出法でも判定は同じで、変わるのは分母だけ。異常仕損の処理は1級の論点(参考)

次の一歩として、簿記2級の無料講義 全66本の一覧で仕損・減損の前後編を見ておきましょう。続く工程別・組別総合原価計算の講義まで進むと、総合原価計算の問題を通しで練習できます。仕損品が原価の流れのどこに出るかは勘定連絡図の書き方で確認できます。工業簿記全体の学ぶ順番は簿記2級の工業簿記とはに、学習時期の目安は簿記2級の独学スケジュールにまとめています。

動画で学ぶ|仕損・減損の講義

よくある質問

仕損と減損の違いは何ですか?

物が残るかどうかです。仕損は不合格品が物として残り、売却などができれば評価額があります。減損は蒸発や粉散で量そのものが消えるので、評価額はありません。度外視法での判定と計算の手順は同じです。

度外視法とは何ですか?

正常仕損費や正常減損費を別に計算せず、良品の原価に含めて計算する方法です。両者負担なら仕損の数量を分母から外し、完成品のみ負担なら分母に含めて月末仕掛品を先に計算してから、残りを完成品に回します。

仕損の発生点が分からないときはどうしますか?

両者負担として計算します。工程を通じて平均的に発生する場合も同じです。発生点が示されていれば、月末仕掛品の進捗度と比べて判定します。

仕損品評価額は直接材料費と加工費のどちらから引きますか?

両者負担で問題文に指示がなければ、直接材料費から差し引きます。完成品のみ負担のときは、月末仕掛品を計算したあとで完成品総合原価から差し引きます。

正常仕損と異常仕損の違いは何ですか?

発生の原因と程度が違います。正常仕損は製品を作るうえで避けられない程度に発生するもので、その原価は良品が負担します。異常仕損は機械の故障など通常では起きない原因によるもので、原価に含めない非原価項目です。異常仕損費の処理は、出題区分表では1級の範囲です。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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