手形・電子記録債権の割引と裏書の仕訳(2級)

手形・電子記録債権の割引と裏書、手形は2027年3月までの受験者向けと書かれた「簿記2級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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手形や電子記録債権を割り引いたとき、差額を支払利息と書いて失点していませんか。割引の差額は利息ではなく、債権を売った損失なので「手形売却損」「電子記録債権売却損」で処理します。支払いに充てる裏書・譲渡は、債権を減らすだけです。この記事では、電子記録債権とファクタリング、手形の裏書・割引・不渡り・更改の仕訳を設例で確認します。手形は2027年度から出題区分表で削除されるため、手形の論点は2027年3月31日までに受験する人向けです。

目次

受験時期で読む範囲が変わる|手形は2027年3月までの論点

日本商工会議所の出題区分表は2027年4月1日以降の試験から改定され、2級では手形関係の勘定科目がすべて削除されます。一方で、売掛債権の譲渡(ファクタリング)が追加されます。紙の手形・小切手を廃止する政府の方針が、改定の理由の一つです。

論点2027年3月31日までの試験2027年4月1日以降の試験
電子記録債権・債務(発生・決済・譲渡・割引)出題範囲出題範囲
売掛債権の譲渡(ファクタリング)改定で追加される論点出題範囲(追加)
手形(裏書・割引・不渡手形・更改・営業外手形・手形貸付金など)出題範囲手形関係の勘定科目はすべて削除

第174回(2026年11月15日)・第175回(2027年2月28日)と、2027年3月31日までのネット試験は現行の範囲です。これらを受ける人は、この記事の全部が対象です。2027年4月以降に受ける人は、電子記録債権とファクタリングの2つの見出しと、営業外の区別を読めば足ります。改定の全体像は2027年度の出題区分表改定のまとめで整理しています。

電子記録債権の譲渡と割引|差額はなぜ売却損?

電子記録債権は、売掛金などの債権を電子記録の形にしたものです(実務では「でんさい」と呼ばれることが多いです)。発生記録で売掛金を電子記録債権に振り替える流れは3級と同じなので、不安な人は電子記録債権・債務の仕訳(3級)で確認してください。2級で加わるのは、期日前に手放す2つの場面です。

場面何をするか仕訳の形
譲渡(支払いに充てる)仕入先への支払いのために、電子記録債権を譲り渡す買掛金など/電子記録債権
割引(銀行で現金化する)期日前に銀行へ譲り渡し、割引料を差し引いた額を受け取る当座預金+電子記録債権売却損/電子記録債権

例1:買掛金300,000円の支払いのため、電子記録債権の譲渡記録を行った(単位:円)

借方貸方
買掛金300,000電子記録債権300,000

次は割引です。電子記録債権800,000円を取引銀行で割り引き、割引料を差し引いた残額を当座預金とします。割引料は年3.65%で、割引日から支払期日までの60日分を日割り計算します。割引料は800,000×3.65%×60÷365=4,800円です。

例2:電子記録債権800,000円の割引(割引料4,800円/単位:円)

借方貸方
当座預金795,200電子記録債権800,000
電子記録債権売却損4,800

▶ 動画で確認する(3:18〜 譲渡記録──支払いに充てる・割り引く)

割引料は日数と利率で計算するので利息に見えますが、会社は債権そのものを銀行に売り渡し、手元から消えています。お金を借りたわけではないので支払利息ではなく、額面より安く売った差額として売却損にします。電子記録債権売却損は営業外費用で、2027年度適用の勘定科目表にも載っている科目です。

債務者(支払う側)の仕訳は、譲渡や割引があっても変わりません。期日に電子記録債務を当座預金で支払うだけで、支払先が変わったことは記帳しません。また、電子記録債権は一部だけを分割して譲渡できる点が、手形との違いです。

売掛債権の譲渡(ファクタリング)の仕訳

ファクタリングは、売掛金を期日前にファクタリング会社へ売り渡して現金化する取引です。考え方は電子記録債権の割引と同じで、額面と受取額の差額を売却損にします。

例3:売掛金500,000円をファクタリング会社に490,000円で譲渡し、普通預金に入金された(単位:円)

借方貸方
普通預金490,000売掛金500,000
債権売却損10,000

差額の科目は、問題文の指定勘定科目に合わせます。売掛金を減らす相手が電子記録債権ではなく売掛金そのものになる点以外は、例2と同じ形です。売上は動かさず、動くのは債権と差額だけ、と覚えておくと迷いません。

▶ 動画で確認する(6:57〜 売掛債権の譲渡──ファクタリング)

手形の裏書・割引・不渡手形・更改(2027年3月までに受験する人向け)

ここからは、2027年3月31日までに受験する人向けの論点です。裏書と割引は、電子記録債権の譲渡・割引と同じ形なので、並べて覚えると負担が減ります。

場面手形電子記録債権
支払いに充てる裏書譲渡:受取手形を減らす譲渡記録:電子記録債権を減らす(分割もできる)
銀行で現金化する割引:差額は手形売却損割引:差額は電子記録債権売却損
支払う側の仕訳期日に支払手形を決済するだけ期日に電子記録債務を決済するだけ

裏書譲渡と割引

裏書譲渡は、受け取った約束手形の裏に署名して支払いに充てることです。買掛金250,000円の支払いに手形を裏書したなら「買掛金250,000/受取手形250,000」で終わりです。割引は、約束手形600,000円を銀行で割り引き、割引料(年2.92%、73日分)を差し引かれた場合で確認します。割引料は600,000×2.92%×73÷365=3,504円です。

例4:約束手形600,000円の割引(割引料3,504円/単位:円)

借方貸方
当座預金596,496受取手形600,000
手形売却損3,504

不渡手形|請求にかかった費用も含める

持っている手形が期日に支払われなかった(不渡りになった)ときは、受取手形を不渡手形に振り替えて、支払いを請求します(償還請求)。請求にかかった費用は支払手数料にせず、相手に請求する金額として不渡手形に含めます。

例5:所有する約束手形400,000円が不渡りとなり、償還請求の費用3,000円を現金で支払った(単位:円)

借方貸方
不渡手形403,000受取手形400,000
現金3,000

後日、延滞利息1,200円とともに当座預金で回収できたら「当座預金404,200/不渡手形403,000・受取利息1,200」です。回収できなくなったときは、前期以前に発生した債権の分だけ貸倒引当金を取り崩し、足りない分を貸倒損失にします(貸倒引当金の仕訳参照)。裏書や割引をした手形が不渡りになった場合も、支払いを肩代わりした金額(延滞利息や費用を含む)を不渡手形にして、振出人に請求します。

▶ 動画で確認する(5:40〜 手形の不渡りと償還請求)

手形の更改|旧手形を消して新手形を立てる

更改は、支払人の申し出で支払期日を延ばすため、古い手形を新しい手形に取り替えることです。延長分の利息4,000円を新しい手形の金額に含める場合、両者の仕訳は次のとおりです。

例6:受け取る側(旧手形500,000円→新手形504,000円/単位:円)

借方貸方
受取手形504,000受取手形500,000
受取利息4,000

例7:支払う側(旧手形500,000円→新手形504,000円/単位:円)

借方貸方
支払手形500,000支払手形504,000
支払利息4,000

同じ受取手形どうしだからと相殺して「受取手形4,000/受取利息4,000」とまとめず、旧手形の消滅と新手形の受取りを両建てで書きます。利息を現金で受け払いする場合は、新手形は500,000円のままで、利息の相手科目が現金になります。

▶ 動画で確認する(7:34〜 手形の更改──旧手形を消して新手形を立てる)

営業外の手形・電子記録債権の区別

手形や電子記録債権の科目は、受け取った原因で決まります。商品の売買なら受取手形・電子記録債権ですが、固定資産の売却など商品以外の取引なら「営業外」を付けた科目、お金の貸し借りなら手形貸付金・手形借入金です。売掛金と未収入金の区別と同じ考え方で、売掛金と未収入金の違いが土台になります。

取引の原因手形(2027年3月まで)電子記録債権・債務
商品の売買受取手形・支払手形電子記録債権・電子記録債務
固定資産など商品以外の売買営業外受取手形・営業外支払手形営業外電子記録債権・営業外電子記録債務
お金の貸し借り手形貸付金・手形借入金-

例8:土地(帳簿価額2,000,000円)を2,300,000円で売却し、代金について電子記録債権の発生記録を行った(単位:円)

借方貸方
営業外電子記録債権2,300,000土地2,000,000
固定資産売却益300,000

区別が必要なのは、貸借対照表での分け方が違うからです。商品売買から生じた受取手形・電子記録債権は、期日にかかわらず流動資産です。営業外のものは一年基準で、決算日の翌日から1年以内に期日が来るものが流動資産、それより先のものが固定資産になります。

▶ 動画で確認する(5:01〜 営業外電子記録債権・債務)

よくある間違いと、なぜ間違えるか

  1. 割引の差額を支払利息にする:割引料が利率と日数で計算されるため、借入の利息に見えるからです。例2で「支払利息4,800」と書くと失点します。債権を売って手放しているので、手形売却損・電子記録債権売却損にします。
  2. 電子記録債権の発生記録で売上を計上する:「発生」という言葉から新しい収益に見えるためです。売上は販売時に計上済みで、発生記録は売掛金を振り替えるだけです。
  3. 償還請求の費用を支払手数料にする:費用を支払った事実に目が向くためです。振出人に請求する金額なので、不渡手形に含めます。
  4. 貸付けで受け取った手形を受取手形にする:「約束手形を受け取った」という文だけで判断するためです。「現金300,000円を貸し付け、約束手形を受け取った」なら、借方は受取手形ではなく手形貸付金300,000円です。直前の動詞(貸し付けた・売却した)で原因を確かめます。

練習問題で確認する

練習問題1

電子記録債権450,000円を取引銀行で割り引き、割引料を差し引いた残額を当座預金とした。割引料は年2.92%、割引日から支払期日までは50日で、日割りで計算する。仕訳を答えなさい。

練習問題1の解答と解説を見る

練習問題1の仕訳(単位:円)

借方貸方
当座預金448,200電子記録債権450,000
電子記録債権売却損1,800

割引料は450,000×2.92%×50÷365=1,800円です。差額は支払利息ではなく電子記録債権売却損にします。

練習問題2

期首に備品(取得原価900,000円、減価償却累計額540,000円、間接法で記帳)を380,000円で売却し、代金は翌月末に受け取るため、電子記録債権の発生記録を行った。仕訳を答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の仕訳(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額540,000備品900,000
営業外電子記録債権380,000固定資産売却益20,000

備品の帳簿価額は900,000−540,000=360,000円で、380,000円で売ったので売却益は20,000円です。商品以外の売却代金なので、電子記録債権ではなく営業外電子記録債権になります。期首の売却なので、当期の減価償却費はありません。売却の3ステップは固定資産の売却・除却の仕訳で確認できます。

練習問題3(2027年3月までに受験する人向け)

(1) 以前に銀行で割り引いた約束手形500,000円が不渡りとなり、銀行から償還請求を受けたため、延滞利息1,500円とともに当座預金から支払い、振出人に請求した。(2) 後日、振出人から(1)の金額と、その後の延滞利息2,000円を現金で回収した。それぞれの仕訳を答えなさい。

練習問題3の解答と解説を見る

(1) 割り引いた手形の不渡り(単位:円)

借方貸方
不渡手形501,500当座預金501,500

(2) 不渡手形の回収(単位:円)

借方貸方
現金503,500不渡手形501,500
受取利息2,000

割り引いた手形は手元にありませんが、不渡りになると割引をした会社が銀行に支払う義務を負います。肩代わりした500,000+1,500=501,500円を不渡手形にして、振出人に請求します。回収時に新たに受け取った延滞利息2,000円だけが受取利息です。

まとめ

  • 割引・ファクタリングの差額は、債権を売った損失なので売却損(手形売却損・電子記録債権売却損・債権売却損)。支払利息ではない
  • 支払いに充てる裏書・譲渡は、受取手形・電子記録債権を減らすだけ。電子記録債権は分割して譲渡できる
  • 不渡手形は、償還請求の費用や延滞利息も含めて請求額で計上する。更改は旧手形と新手形を両建て
  • 科目は取引の原因で決める。商品以外なら営業外、貸付けなら手形貸付金。営業外は一年基準で表示する
  • 手形は2027年3月31日までの試験の論点。2027年4月以降は電子記録債権とファクタリングを押さえる

次の一歩として、簿記2級の無料講義 全66本の一覧から、債権の前後の講義(商品売買・貸倒引当金)も続けて見ておきましょう。第1問の債権の仕訳がまとめて固まります。受験日に合わせてどの講義を見るかは簿記2級の無料講義66本の使い方で整理しています。

動画で学ぶ|電子記録債権と手形の講義

よくある質問

手形を割り引いたときの割引料は何の勘定科目ですか?

手形売却損です。割引は手形を銀行に売り渡す取引なので、額面と受取額の差額は利息ではなく売却の損失として扱います。電子記録債権を割り引いた場合は電子記録債権売却損を使います。

2027年度の簿記2級で手形は出題されますか?

2027年4月1日以降の試験では、手形関係の勘定科目がすべて出題区分表から削除されます。2027年3月31日までの試験(第174回・第175回を含む)は現行の範囲なので、手形も出題範囲です。

電子記録債権の譲渡と割引の違いは何ですか?

譲渡は仕入先などへの支払いに充てること、割引は銀行に譲り渡して期日前に現金化することです。譲渡は電子記録債権を減らすだけで、割引は受け取った金額との差額を電子記録債権売却損にします。

不渡手形の償還請求費用は支払手数料ですか?

支払手数料ではなく、不渡手形に含めます。償還請求の費用は、相手に請求する金額の一部だからです。裏書や割引をした手形の不渡りで支払いを肩代わりした場合も、延滞利息や費用を含めた支払額を不渡手形にします。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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