固定資産の売却・除却・廃棄の仕訳|売却損益の出し方

固定資産の売却・除却・廃棄、減価償却→帳簿価額→差額の3ステップと書かれた「簿記3級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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固定資産を売ったときの仕訳で、売却益と売却損のどちらになるのか、金額が合わずに迷っていませんか。売却損益は3ステップで決まります。①当期分の減価償却を計上し、②売却時点の帳簿価額を出し、③売却価額との差額を固定資産売却益か固定資産売却損にします。

この記事では、期首売却と期中売却を3級の記帳方法である間接法で解き、除却・廃棄との違い(2027年度から3級)と固定資産台帳の読み方までまとめます。

目次

手放し方は3つ|売却・除却・廃棄の違いとは?

固定資産を手放す方法は、売る(売却)、使うのをやめる(除却)、捨てる(廃棄)の3つです。どれも「帳簿から資産を消し、帳簿価額との差を損益にする」点は同じです。違うのは、帳簿価額と比べる相手です。

手放し方帳簿価額と比べるもの差額の科目3級の範囲
売却売却価額(受け取る代金)固定資産売却益・固定資産売却損2026年度・2027年度とも
除却処分価値(貯蔵品で計上)固定資産除却損2027年度から
廃棄なし(廃棄費用は損失に加える)固定資産廃棄損2027年度から

除却・廃棄は、2027年度適用の出題区分表で2級から3級へ移る論点です。2026年度(2027年3月31日まで)の試験は、現行の区分表で行われます。2026年11月15日の第174回と2027年2月28日の第175回の3級では、除却・廃棄は範囲外です。移行する論点は、入門・基礎の段階に配慮した出題とされています。改定の全体像は2027年度の出題区分表改定のまとめで整理しています。

ポイント

手放す取引は、どれも「当期分の減価償却→帳簿価額→差額」の順に考えます。売却も除却も廃棄も、この型1つで解けます。

売却損益の出し方|3ステップと期首売却の仕訳

売却損益は、売った金額と、売った時点の帳簿価額の差です。帳簿価額は取得原価から減価償却累計額を引いた金額で、期中に売ったときは当期分の減価償却費も引きます。

固定資産売却損益=売却価額−売却時点の帳簿価額
(プラスなら売却益、マイナスなら売却損)

  1. 当期分の減価償却費を計上する(期首に売却したときは不要)
  2. 売却時点の帳簿価額を出す(取得原価−減価償却累計額−当期分の減価償却費)
  3. 売却価額から帳簿価額を引き、プラスなら固定資産売却益、マイナスなら固定資産売却損にする

例1(期首に売却)

当期首(4月1日)に、車両運搬具(取得原価1,800,000円、前期末までの減価償却累計額900,000円、間接法で記帳)を850,000円で売却し、代金は普通預金に振り込まれた。

期首の売却なので、当期分の減価償却はありません。帳簿価額は1,800,000−900,000=900,000円です。売却価額との差は850,000−900,000=−50,000円で、50,000円の売却損になります。

例1:期首売却・間接法(単位:円)

借方貸方
車両運搬具減価償却累計額900,000車両運搬具1,800,000
普通預金850,000
固定資産売却損50,000

3級で出題される間接法では、車両運搬具勘定に取得原価がそのまま残っています。そのため、車両運搬具を取得原価で貸方に書き、減価償却累計額を借方に書いて、両方を帳簿から消します。

参考:直接法で記帳している場合(2級の論点)

直接法は2級の論点で、3級の問題は間接法で出題されます(2026年度・2027年度とも)。ここでは2級に進む人のための参考として、例1を直接法で示します。

直接法では、減価償却のたびに資産の金額そのものを減らしているので、車両運搬具勘定の残高がすでに帳簿価額の900,000円になっています。累計額の行はなく、資産を帳簿価額で消します。

参考:例1を直接法で記帳している場合(単位:円)

借方貸方
普通預金850,000車両運搬具900,000
固定資産売却損50,000

売却損の50,000円は、直接法でも間接法でも同じです。変わるのは資産を消す金額だけで、間接法は取得原価、直接法は帳簿価額になります。記帳方法の違いは減価償却の仕訳(直接法と間接法)で確認できます。

期中に売却したら、当期分の減価償却を月割で入れる

期の途中で売却したときは、期首から売却した月までの減価償却費を先に計上します。売るまでの期間も資産を使っていたので、その分を費用にしてから帳簿価額を出す、という順番です。

例2(期中に売却)

決算日は3月31日。10月31日に、備品(取得原価480,000円、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法、期首の減価償却累計額120,000円、間接法で記帳)を350,000円で売却し、代金は月末に受け取ることにした。

ステップ計算金額(円)
①当期分の減価償却費480,000÷8×7÷12(4月〜10月の7か月)35,000
②売却時点の帳簿価額480,000−120,000−35,000325,000
③売却損益350,000−325,00025,000(売却益)

例2:期中売却・間接法(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額120,000備品480,000
減価償却費35,000固定資産売却益25,000
未収入金350,000

月数は、期首の4月から売却した10月まで、両端を含めて数えます。月の途中で売却した場合も、その月を含めて数えるのが試験での一般的な扱いです。月割の数え方は減価償却の計算(定額法・定率法・月割)で詳しく整理しています。

ここで当期分の35,000円を忘れると、帳簿価額が360,000円になり、差額は−10,000円の売却損になってしまいます。金額だけでなく、益と損の向きまで逆転する点に注意してください。

代金を後で受け取るなら売掛金ではなく未収入金

備品や車両の売却は、商品の販売(本業)ではありません。代金を後日受け取るときは、売掛金ではなく未収入金で記録します。判定の考え方は売掛金と未収入金の違いで解説しています。講義#25でも、帳簿価額を先に出してから差額を求める組み立て順を扱っています。

除却と廃棄の仕訳|貯蔵品が出るのはどっち?

除却は、固定資産の使用をやめて帳簿から外すことです。まだ売れる価値(処分価値)が残っていれば、その見積売却価額で貯蔵品という資産に置き換えます。廃棄は、固定資産を捨てることです。価値は残らないので貯蔵品は出てこず、帳簿価額がそのまま損失になります。

例3(除却)

当期首に、パソコン(備品、取得原価360,000円、減価償却累計額270,000円、間接法で記帳)を除却した。処分価値は30,000円と見積もられた。

帳簿価額は360,000−270,000=90,000円です。処分価値の30,000円を貯蔵品にし、残りの90,000−30,000=60,000円が固定資産除却損になります。

例3:除却(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額270,000備品360,000
貯蔵品30,000
固定資産除却損60,000

例4(廃棄)

当期首に、陳列棚(備品、取得原価250,000円、減価償却累計額200,000円、間接法で記帳)を廃棄し、廃棄のための費用15,000円を現金で支払った。

帳簿価額は250,000−200,000=50,000円です。処分価値はないので、帳簿価額50,000円に廃棄費用15,000円を加えた65,000円が固定資産廃棄損になります。

例4:廃棄(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額200,000備品250,000
固定資産廃棄損65,000現金15,000
比べる点除却廃棄
資産の状態使用をやめて保管している捨てて手元に残らない
処分価値貯蔵品(資産)で計上なし
損失の金額帳簿価額−処分価値帳簿価額+廃棄費用
損失の科目固定資産除却損固定資産廃棄損

期の途中で除却・廃棄したときも、売却と同じく、期首から除却した月までの減価償却費を先に計上します。形は練習問題4で確認できます。勘定科目表では固定資産除却損が標準の科目で、固定資産廃棄損は許容の科目とされています。試験では、問題文で示された勘定科目の中から選んで答えます。講義#26では、除却と廃棄の違いと、廃棄に費用がかかる場合の処理を扱っています。

固定資産台帳の読み方|売却の問題で拾う数字

固定資産台帳は、固定資産を1つずつ、取得日・取得原価・減価償却の状況とあわせて記録する補助簿です。売却や除却の問題で台帳が示されたら、拾う数字は取得原価、期首の減価償却累計額、1年分の減価償却費の3つです。次の台帳で読み方を確認します。

例:固定資産台帳(備品)

当期は×4年4月1日から×5年3月31日まで。すべて定額法・残存価額ゼロ・間接法で記帳している。金額の単位は円。

名称(取得日・耐用年数)取得原価期首の減価償却累計額当期の減価償却費
展示台(×1年4月1日・5年)300,000180,00060,000
冷蔵ケース(×3年4月1日・8年)720,00090,00090,000
事務机(×4年10月1日・4年)240,000030,000
合計1,260,000270,000180,000
  1. 経過年数を確かめる:期首の累計額÷1年分で出ます。展示台は180,000÷60,000=3年で、×1年4月から×4年3月までの3年と一致します。
  2. 当期に取得した資産は、期首の累計額がゼロで、当期の減価償却費が月割になります。事務机は240,000÷4=60,000円の6か月分(10月〜3月)で30,000円です。
  3. 翌期首の累計額は「期首の累計額+当期の減価償却費」です。冷蔵ケースなら90,000+90,000=180,000円になります。
  4. 合計行は総勘定元帳と一致します。備品勘定の期末残高は1,260,000円、備品減価償却累計額勘定の期末残高は270,000+180,000=450,000円です。

台帳の数字を拾えれば、あとは売却の3ステップに入れるだけです。講義#27では、台帳から総勘定元帳を復元する手順と、第2問での出題パターンを扱っています。

よくある間違いと、なぜ間違えるのか

  1. 期中売却で当期分の減価償却を忘れる:減価償却は決算でまとめて行うもの、という思い込みがあるためです。売った資産は決算日には残っていないので、売却の仕訳の中で当期分を計上します。例2で忘れると、25,000円の売却益が10,000円の売却損に変わります。
  2. 間接法なのに、資産を帳簿価額で消してしまう:2級で学ぶ直接法の形と混同しているためです。間接法の資産勘定は取得原価のまま残っているので、取得原価で消し、累計額も借方で消します。
  3. 売却代金の未収分を売掛金にする:「後で受け取る=売掛金」と覚えているためです。売掛金は商品の代金に使い、固定資産の代金は未収入金です。
  4. 除却で貯蔵品を計上し忘れる:「使わなくなった=価値ゼロ」と考えるためです。処分価値が示されていれば、その分は資産として残ります。
  5. 廃棄費用を別の費用にしてしまう:処分にかかった支出を、廃棄とは別の取引と見てしまうためです。廃棄に伴う費用は固定資産廃棄損に含めます。
  6. 差額の符号を逆にする:「帳簿価額−売却価額」で計算してしまうためです。「売却価額−帳簿価額」でプラスなら益、マイナスなら損と、式の向きを固定します。

練習問題で確認する

練習問題1

当期首に、備品(取得原価400,000円、減価償却累計額240,000円、間接法で記帳)を180,000円で売却し、代金は現金で受け取った。仕訳を示しなさい。

練習問題1の解答と解説を見る

練習問題1の仕訳(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額240,000備品400,000
現金180,000固定資産売却益20,000

帳簿価額は400,000−240,000=160,000円です。売却価額180,000円との差は+20,000円なので、固定資産売却益になります。期首の売却なので、当期分の減価償却はありません。

練習問題2

決算日は3月31日。9月30日に、車両運搬具(取得原価1,200,000円、耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法、期首の減価償却累計額480,000円、間接法で記帳)を560,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。仕訳を示しなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の仕訳(単位:円)

借方貸方
車両運搬具減価償却累計額480,000車両運搬具1,200,000
減価償却費120,000
未収入金560,000
固定資産売却損40,000

1年分は1,200,000÷5=240,000円で、当期分は4月〜9月の6か月なので240,000×6÷12=120,000円です。帳簿価額は1,200,000−480,000−120,000=600,000円なので、560,000−600,000=−40,000円の売却損になります。代金は後日受け取るので未収入金です。

練習問題3

上の固定資産台帳の冷蔵ケースを、翌期(×5年4月1日〜×6年3月31日)の6月30日に500,000円で売却し、代金は普通預金に振り込まれた。仕訳を示しなさい。

練習問題3の解答と解説を見る

練習問題3の仕訳(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額180,000備品720,000
減価償却費22,500
普通預金500,000
固定資産売却損17,500

翌期首の累計額は90,000+90,000=180,000円です。翌期分は4月〜6月の3か月で、90,000×3÷12=22,500円です。帳簿価額は720,000−180,000−22,500=517,500円なので、500,000−517,500=−17,500円の売却損になります。

練習問題4(2027年度から3級の範囲)

決算日は3月31日。7月31日に、業務用冷凍庫(備品、取得原価540,000円、耐用年数6年、残存価額ゼロ、定額法、期首の減価償却累計額360,000円、間接法で記帳)を除却した。処分価値は25,000円と見積もられた。仕訳を示しなさい。

練習問題4の解答と解説を見る

練習問題4の仕訳(単位:円)

借方貸方
備品減価償却累計額360,000備品540,000
減価償却費30,000
貯蔵品25,000
固定資産除却損125,000

当期分は540,000÷6=90,000円の4か月分(4月〜7月)で、90,000×4÷12=30,000円です。帳簿価額は540,000−360,000−30,000=150,000円です。処分価値25,000円を貯蔵品にし、残りの125,000円が固定資産除却損になります。

まとめ

  • 売却・除却・廃棄は、どれも「当期分の減価償却→帳簿価額→差額」の順に解く
  • 売却損益=売却価額−帳簿価額。プラスなら固定資産売却益、マイナスなら固定資産売却損
  • 3級の記帳は間接法。資産を取得原価で消し、累計額も消す(直接法は2級の論点)
  • 除却は処分価値を貯蔵品に、廃棄は廃棄費用も損失に含める。除却・廃棄は2027年度から3級の範囲
  • 固定資産台帳は、取得原価・期首の累計額・1年分の3つを拾う

次の一歩として、月割の土台になる減価償却の計算の記事で月数の数え方を固めておくと、期中売却で迷わなくなります。講義で流れを見たい人は、簿記3級の無料講義 全50本の一覧から#25〜#27を続けて見ると、売却・除却・台帳が一続きでつながります。仕訳の反復には簿記3級の仕訳問題20問が使えます。2級に進むと、火災で失った資産の処理などを圧縮記帳と火災未決算の仕訳で学びます。

動画で学ぶ|固定資産の売却・除却の講義

よくある質問

固定資産売却損益はどうやって求めますか?

売却価額から売却時点の帳簿価額を引いて求めます。プラスなら固定資産売却益、マイナスなら固定資産売却損です。期中の売却では、期首から売却した月までの減価償却費を引いてから帳簿価額を出します。

期中に売却したとき、当期の減価償却費は計上しますか?

計上します。期首から売却した月までを両端を含めて数え、1年分×月数÷12で月割した金額を、売却の仕訳の中で減価償却費として書きます。

除却と売却の違いは何ですか?

売却は代金を受け取って手放すこと、除却は使用をやめて帳簿から外すことです。売却は売却価額と、除却は処分価値(貯蔵品)と帳簿価額を比べ、差額をそれぞれ売却損益・固定資産除却損にします。

除却と廃棄は簿記3級の範囲ですか?

2026年度(2027年3月31日まで)の試験では2級の範囲です。2027年4月1日以降に行われる試験から、有形固定資産の除却・廃棄が3級の範囲に移ります。

直接法と間接法で、売却損益の金額は変わりますか?

変わりません。変わるのは資産を消す金額で、間接法は取得原価で資産を消して減価償却累計額も消し、直接法は帳簿価額で資産を消します。なお、3級で出題されるのは間接法で、直接法は2級の論点です。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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