本支店会計の解き方|未達取引と合併財務諸表(簿記2級)

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本支店会計の問題で、本店勘定と支店勘定の金額が合わない、合併財務諸表の作り方がわからない、と止まっていませんか。判断の軸は、本店の帳簿の支店勘定と、支店の帳簿の本店勘定は「貸借が逆で金額が同じ」になる、という1点です。

金額がずれていれば未達取引なので、まだ記帳していない側で整理し、一致させてから相殺して合算します。2027年度適用の出題区分表でも、本支店間取引の処理と財務諸表の合併は2級の欄にあります。1つの設例で、未達整理から合併財務諸表までを通します。

目次

本支店会計とは?本店勘定と支店勘定が「貸借逆で同額」になる仕組み

本支店会計とは、支店にも独自の帳簿を持たせ、本店と支店がそれぞれ記帳する会計の方法です(支店独立会計制度)。本店と支店の間の取引は、本店の帳簿では「支店」勘定、支店の帳簿では「本店」勘定を使って記録します。

1つの取引を、本店と支店の両方が記帳します。そのため、本店の支店勘定(借方残高)と支店の本店勘定(貸方残高)は、貸借が逆で同じ金額になります。このように互いに照らし合わせる勘定を照合勘定といいます。

本支店間の取引本店の仕訳支店の仕訳
本店が支店へ現金を送った支店/現金現金/本店
本店が支店へ商品を原価で送った支店/仕入仕入/本店
支店が本店の買掛金を支払った買掛金/支店本店/現金
本店が支店の売掛金を回収した現金/支店本店/売掛金

どの行も、本店の仕訳で「支店」が借方なら、支店の仕訳では「本店」が貸方です(逆も同じ)。片方の仕訳が書ければ、もう片方は本店・支店の勘定が貸借逆になるように作れます。

▶ 動画で確認する(2:04〜 本店勘定と支店勘定は照合勘定)

2027年度も2級の範囲|出題区分表での位置づけ

本支店会計は、2級の範囲から外れていません。出題区分表の「第五 本支店会計」を見ると、2級の欄に次の2つがあります。「本支店間取引の処理」と「本支店会計における決算手続(財務諸表の合併など)」です。2026年度(2027年3月31日まで)の試験に使う現行版も、2027年4月1日以降の試験に使う2027年度版も同じです。

論点2026年度まで(現行)2027年度から
本支店間取引の処理、決算手続(財務諸表の合併など)2級の欄2級の欄
内部利益が付加されている場合1級の欄1級の欄
手形が出てくる本支店間取引手形は2級の範囲手形関係の勘定科目は削除

注意したいのは内部利益です。本店が利益を上乗せして商品を送る「内部利益が付加されている場合」は、どちらの版でも1級の欄にあります。2級の対策としては、原価で送る(内部利益がない)形の合併財務諸表を固めてください。内部利益は、この記事の後半で1級の論点(発展)として紹介します。

未達取引の整理は、本店勘定と支店勘定を一致させて財務諸表を合併するための前提となる作業です。この記事でも、決算手続の一部として扱います。区分表の本文は日本商工会議所の簿記 出題区分表のページで確認できます。

また、2027年度からは2級の手形関係の勘定科目がすべて削除されます。2027年度以降に受験する人は、手形を使った本支店間取引の問題に注意してください。受験年度の範囲かどうかを先に確かめると効率的です。改定の全体は2027年度の出題区分表改定のまとめで整理しています。

未達取引の整理|まだ記帳していない側で仕訳する

未達取引とは、本店と支店の片方だけが記帳し、もう片方にはまだ連絡や商品が届いていない取引です。決算日に未達取引があると、本店勘定と支店勘定の金額がずれます。

整理仕訳は、まだ記帳していない側の帳簿で行います。すでに記帳した側の仕訳を見て、本店・支店の勘定が貸借逆になるように書けば完成です。数字はすべて編集部が作成したものです。

設例(決算日は3月31日)

本店の支店勘定は借方残高620,000円、支店の本店勘定は貸方残高560,000円だった。未達事項は次の4つである。

(1) 本店が支店へ送った商品50,000円(原価)が、支店にまだ届いていない。
(2) 支店が本店の買掛金30,000円を支払ったが、本店に連絡が届いていない。
(3) 本店が支店の売掛金40,000円を回収したが、支店に連絡が届いていない。
(4) 支店が本店へ送った現金20,000円が、本店にまだ届いていない。

(1)(3)は本店が記帳済みなので支店の帳簿で、(2)(4)は支店が記帳済みなので本店の帳簿で整理します。

本店の帳簿で行う整理仕訳:(2)・(4)(単位:円)

借方貸方
買掛金30,000支店30,000
現金20,000支店20,000

支店の帳簿で行う整理仕訳:(1)・(3)(単位:円)

借方貸方
仕入50,000本店50,000
本店40,000売掛金40,000

整理後は、本店の支店勘定が620,000-30,000-20,000=570,000円です。支店の本店勘定は560,000+50,000-40,000=570,000円で、一致しました。一致しなければ、整理仕訳を書く帳簿か向きのどちらかを間違えています。

(1)のまだ届いていない商品(未達商品)は、支店の期末商品棚卸高に加えます。倉庫になくても、会社の商品であることに変わりはないからです。

▶ 動画で確認する(7:33〜 未達取引の4類型と整理仕訳)

本支店合併財務諸表の作り方|相殺して合算する

本支店合併財務諸表は、本店と支店の帳簿を1つの会社として合わせた財務諸表です。手順は次の4つです。

  1. 未達取引を整理し、本店勘定と支店勘定を一致させる
  2. 未達商品を含めて決算整理をする
  3. 本店勘定と支店勘定を相殺する(合併財務諸表には出さない)
  4. 同じ科目の金額を合算する

原価で送った商品を、本店が「支店/仕入」、支店が「仕入/本店」と記帳していれば、合算するだけで受け渡しが消えます。問題によっては「支店へ売上」「本店より仕入」という科目で記帳していることがあります。その場合は両者を相殺し、合併損益計算書には出しません。

設例の続き(未達整理後の金額・法人税等は考慮しない)

本店:売上5,000,000円、仕入3,400,000円、営業費700,000円、期首商品300,000円、期末商品350,000円、現金1,400,000円、売掛金900,000円、備品800,000円、買掛金620,000円、資本金2,000,000円、繰越利益剰余金450,000円

支店:売上2,400,000円、仕入1,850,000円、営業費380,000円、期首商品150,000円、期末商品180,000円(帳簿上)+未達商品50,000円、現金420,000円、売掛金460,000円、買掛金290,000円

合併損益計算書は、本店と支店の金額を横に並べて足すと作れます(単位:円)。

項目本店支店合併
売上高5,000,0002,400,0007,400,000
期首商品棚卸高300,000150,000450,000
当期商品仕入高3,400,0001,850,0005,250,000
期末商品棚卸高350,000230,000580,000
売上原価3,350,0001,770,0005,120,000
売上総利益1,650,000630,0002,280,000
営業費700,000380,0001,080,000
当期純利益950,000250,0001,200,000

支店の期末商品は、帳簿上の180,000円に未達商品50,000円を加えた230,000円です。売上原価は「期首+仕入-期末」で計算します(考え方は売上原価の計算と同じです)。合併の当期純利益1,200,000円は、本店950,000円と支店250,000円の合計と一致します。

資産金額(円)負債・純資産金額(円)
現金預金1,820,000買掛金910,000
売掛金1,360,000資本金2,000,000
商品580,000繰越利益剰余金1,650,000
備品800,000
合計4,560,000合計4,560,000

現金は、表示科目の現金預金として合算します。本店勘定と支店勘定(どちらも570,000円)は相殺したので、合併貸借対照表には出てきません。繰越利益剰余金は、期首の450,000円に当期純利益1,200,000円を加えた1,650,000円です。

▶ 動画で確認する(5:44〜 本支店合併財務諸表の作成手順)

支店の利益を本店に振り替える仕訳

本店と支店がそれぞれ帳簿を締め切る問題では、支店の当期純利益を本店に振り替えます。本店の損益勘定で、会社全体の当期純利益を計算するためです。

支店の帳簿:当期純利益250,000円の振替(単位:円)

借方貸方
損益250,000本店250,000

本店の帳簿:支店の当期純利益の受入れ(単位:円)

借方貸方
支店250,000損益250,000

振替後も、本店の支店勘定と支店の本店勘定は、どちらも820,000円で一致します。本店の損益勘定には、本店の950,000円と支店の250,000円が集まります。会社全体の1,200,000円を、繰越利益剰余金に振り替えます。

本支店会計のよくある間違いと、その原因

  1. 未達取引の整理仕訳を、記帳済みの側に書く:問題文の主語(「本店が〜した」)につられて、その帳簿に書いてしまうためです。主語の側はすでに記帳しています。整理するのは、連絡や商品がまだ届いていない側です。
  2. 未達商品を期末商品に加え忘れる:整理仕訳の「仕入」を書いて終わった気になるためです。届いていなくても会社の商品なので、期末商品棚卸高に含めます。
  3. 合併財務諸表に本店勘定・支店勘定を残す:残高試算表にある科目を全部合算しようとするためです。会社の中の貸し借りなので、相殺して消します。

1級の論点(発展)|内部利益は振替価格の11分の1

本店が支店へ、原価に一定の利益を加えた価格(振替価格)で商品を送ることがあります。このとき支店の期末商品には、本店が上乗せした利益(内部利益)が含まれています。まだ会社の外に売れていない商品の利益なので、合併財務諸表では取り除きます。出題区分表では1級の欄にある論点なので、2級の受験対策では後回しにしてかまいません。

内部利益 = 本店から仕入れた期末商品(振替価格)× 加算率 ÷(1+加算率)
原価の10%加算なら 振替価格 × 1/11

別の設例で確認します。支店の期末商品のうち、本店から仕入れた分が264,000円(振替価格・原価の10%加算、未達商品44,000円を含む)とします。内部利益は264,000×1/11=24,000円です。原価は240,000円なので、240,000×1.1=264,000円と検算できます。

264,000×10%=26,400円としてしまうのが典型的な誤りです。10%は原価に対する割合なので、振替価格から逆算するときは1.1で割ります。未達商品も振替価格で記帳されているので、内部利益の計算に含めます。

▶ 動画で確認する(3:50〜 つまずき──内部利益はなぜ11分の1?)

項目意味合併損益計算書での扱い
期首商品の内部利益(例:18,000円)前期末に控除した分が、当期に外部へ売れて実現期首商品棚卸高から差し引く
期末商品の内部利益(例:24,000円)当期末にまだ実現していない期末商品棚卸高から差し引く

期首分の18,000円は、支店の期首商品のうち本店から仕入れた198,000円に含まれる内部利益です(198,000×1/11)。合併損益計算書では、期首から18,000円、期末から24,000円を差し引きます。売上原価は差し引き6,000円増え、利益は6,000円減ります。貸借対照表の商品も、期末の内部利益24,000円を差し引いた金額です。

本店の帳簿で行う場合:期首の内部利益の戻入れ(単位:円)

借方貸方
繰延内部利益18,000繰延内部利益戻入18,000

本店の帳簿で行う場合:期末の内部利益の控除(単位:円)

借方貸方
繰延内部利益控除24,000繰延内部利益24,000

「支店へ売上」「本店より仕入」の相殺と、内部利益の控除は別の作業です。相殺は、本支店間で動いた取引の金額を消します。控除は、期末商品に残っている利益を消します。消す対象が違うので、両方行っても二重にはなりません。この考え方は連結会計の未実現利益の消去でも使います。

▶ 動画で確認する(7:37〜 つまずき──相殺と控除、二重に消してない?)

練習問題|未達の整理と照合(発展1問つき)

練習問題1

次の未達事項について、整理仕訳を行う帳簿(本店・支店)と仕訳を答えなさい。
(a) 本店が支店へ送った現金60,000円が、支店にまだ届いていない。
(b) 支店が本店の営業費18,000円を立て替えて支払ったが、本店に連絡が届いていない。

練習問題1の解答と解説を見る

(a) 支店の帳簿(単位:円)

借方貸方
現金60,000本店60,000

(b) 本店の帳簿(単位:円)

借方貸方
営業費18,000支店18,000

(a)は本店が記帳済みなので支店側で、(b)は支店が記帳済みなので本店側で整理します。(b)の支店はすでに「本店/現金」と記帳しているので、本店側は営業費を計上し、支店勘定を減らします。

練習問題2

決算日の本店の支店勘定は借方残高825,000円、支店の本店勘定は貸方残高710,000円だった。未達事項は次の2つである。(a) 本店から支店へ送った商品90,000円(原価)が未着。(b) 支店が本店の買掛金25,000円を支払ったが、本店に未通知。未達整理後の支店勘定と本店勘定の金額を答えなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

どちらも800,000円です。本店の支店勘定は、(b)の整理(買掛金/支店)で825,000-25,000=800,000円です。支店の本店勘定は、(a)の整理(仕入/本店)で710,000+90,000=800,000円です。(a)の90,000円は支店の期末商品にも加えます。

練習問題3(発展:1級の論点)

本店は支店へ、原価の20%増しの振替価格で商品を送っている。支店の期末商品のうち、本店から仕入れた分は180,000円だった。期末商品に含まれる内部利益はいくらか。

練習問題3の解答と解説を見る

30,000円です。180,000×0.2÷1.2=30,000円で、20%加算なら振替価格の6分の1です。原価は150,000円で、150,000×1.2=180,000円と検算できます。

まとめ

  • 本店の支店勘定と支店の本店勘定は照合勘定。貸借が逆で同じ金額になる
  • ずれの原因は未達取引。整理仕訳は、まだ記帳していない側で行い、未達商品は期末商品に加える
  • 合併財務諸表は、未達整理→決算整理→本店・支店勘定の相殺→合算の順
  • 出題区分表の「第五 本支店会計」は、本支店間取引の処理と決算手続(財務諸表の合併など)が2級の欄。2027年度版も同じ
  • 内部利益が付加される場合は1級の論点。計算は「振替価格×加算率÷(1+加算率)」で、10%加算なら11分の1

次の一歩として、簿記2級の無料講義 全66本の一覧から本支店会計の前編・後編の講義を続けて見ておきましょう。本店と支店の仕訳を並べて書く練習をすると、貸借逆の感覚が身につきます。本支店の合併の発想は連結会計のしくみにもつながります。2級全体の進め方は無料講義66本の使い方にまとめています。

動画で学ぶ|本支店会計の講義

よくある質問

本支店会計は簿記2級の範囲から外れましたか?

外れていません。出題区分表の「第五 本支店会計」では、本支店間取引の処理と決算手続(財務諸表の合併など)が2級の欄にあり、2027年度版でも同じです。ただし、本店が利益を上乗せして商品を送る「内部利益が付加されている場合」は1級の欄です。

本店勘定と支店勘定が一致しないのはなぜですか?

未達取引があるからです。片方だけが記帳していて、もう片方に連絡や商品が届いていない取引を整理すると、両者は一致します。整理しても一致しないときは、整理仕訳を書いた帳簿か向きを見直します。

未達取引の整理仕訳はどちらの帳簿で行いますか?

まだ記帳していない側の帳簿です。問題文の主語の側はすでに記帳しているので、連絡や商品が届いていない側で、相手の仕訳と貸借逆になるように書きます。

内部利益はなぜ11分の1なのですか?

振替価格が原価の1.1倍だからです。振替価格を11とすると原価は10、利益は1なので、振替価格に占める利益の割合は11分の1です。加算率が20%なら、同じ考え方で6分の1になります。なお、内部利益が付加される場合は、出題区分表では1級の論点です。

支店が2つ以上あるときは、どう記帳しますか?

支店どうしの取引の記帳方法には、支店分散計算制度と本店集中計算制度があります。本店集中計算制度では、各支店は本店と取引したものとして本店勘定だけを使い、本店がそれぞれの支店勘定で記帳します。どちらの方法かは問題文の指示に従います。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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