部門別原価計算の解き方|直接配賦法と相互配賦法

部門別原価計算の解き方、直接配賦法と相互配賦法を同じ設例でと書かれた「簿記2級」の記事のアイキャッチ画像(動画解説つき)

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部門別原価計算は、製造間接費を工場の部門ごとに集めてから製品へ配る計算で、手順は第1次集計と第2次集計の2段階です。第1次集計では部門個別費を賦課し、部門共通費を床面積などの基準で配賦します。第2次集計では補助部門費を製造部門へ配り、直接配賦法なら製造部門だけに、相互配賦法(簡便法)なら1回目は補助部門どうしにも配ります。

この記事では同じ設例で2つの方法を比べ、検算の方法と部門別予定配賦率・差異まで確認します。

目次

部門別原価計算とは?工場を部門に分けて製造間接費を配る

部門別原価計算とは、製造間接費を発生した部門ごとに集計し、部門ごとの配賦率で製品に配賦する計算です。工場全体で1つの配賦率を使う方法より手間はかかりますが、次の2つの利点があります。

  • 配賦が正確になる:機械中心の部門と手作業中心の部門では、製造間接費のかかり方が違います。部門ごとに率と基準を変えれば、どの部門を多く使った製品かが原価に反映されます。
  • 原価管理に使える:部門ごとに予算と実績を比べられるので、どこで使いすぎたかがわかります。

工場の部門は、製品を直接つくる製造部門と、それを支える補助部門に分かれます。

部門の種類役割例
製造部門製品の加工や組立を直接行う加工部門、組立部門
補助部門(補助経営部門)製造部門に動力や修繕などのサービスを提供する動力部門、修繕部門、運搬部門
補助部門(工場管理部門)工場全体の管理を行う工場事務部門、労務部門

2級で部門別に集計するのは製造間接費です。直接材料費や直接労務費は、どの製品にかかったかがわかるので、部門を通さずに製品へ直接賦課します。製造間接費が原価の流れのどこにあるかは勘定連絡図の書き方で確認できます。

手順は2段階|第1次集計と第2次集計の全体像

部門別の集計は第1次・第2次の2段階だけで、そのあと製造部門費を製品へ配賦します。集めるときはすべての部門で受け止め、配り終えたときには製造部門だけに残る、という流れです。

段階何を配るかどこへ配るか使う基準
第1次集計部門個別費・部門共通費すべての部門(製造部門と補助部門)個別費は賦課、共通費は床面積・従業員数など
第2次集計補助部門費製造部門(相互配賦法の1回目は補助部門にも)動力供給量・修繕時間など、サービスの使用量
製品への配賦製造部門費製品(製造指図書)機械作業時間・直接作業時間など

この計算を1枚にまとめた表が部門別配賦表です。横に部門を並べ、縦に計算の段階(部門個別費、部門共通費、補助部門費の配賦)を並べます。勘定で見ると、まず製造間接費から各部門費へ振り替えます(第1次集計)。次に補助部門費から製造部門費へ(第2次集計)、最後に製造部門費から仕掛品へ振り替えます(製品への配賦)。

第1次集計|部門個別費は賦課、部門共通費は配賦

ここからは次の設例で計算します。ある工場の月間の製造間接費予算(年間予算を12か月で割った額)で、数字はすべて編集部が作成したものです。

部門部門個別費(円)床面積従業員数
加工部門(製造)1,675,000500㎡30人
組立部門(製造)1,205,000300㎡40人
動力部門(補助)300,000150㎡5人
修繕部門(補助)260,00050㎡5人
合計3,440,0001,000㎡80人

部門共通費は、建物減価償却費600,000円(床面積で配賦)と福利施設負担額160,000円(従業員数で配賦)です。配賦率は、建物減価償却費が600,000÷1,000㎡=600円、福利施設負担額が160,000÷80人=2,000円です。

部門部門個別費(円)部門共通費の配賦額(円)第1次集計後(円)
加工部門1,675,000300,000+60,000=360,0002,035,000
組立部門1,205,000180,000+80,000=260,0001,465,000
動力部門300,00090,000+10,000=100,000400,000
修繕部門260,00030,000+10,000=40,000300,000
合計3,440,000760,0004,200,000

合計欄が3,440,000+600,000+160,000=4,200,000円になっていれば、第1次集計は正しくできています。共通費の配賦基準には、その費用の発生と関係の深いもの(建物なら床面積、福利施設なら従業員数)が問題文で与えられます。補助部門も製造間接費を受け止める点に注意してください。

▶ 動画で確認する(3:43〜 第1次集計──個別費と共通費)

第2次集計を同じ設例で比べる|直接配賦法と相互配賦法

補助部門が各部門へ提供したサービスの量は次のとおりです。動力部門は自部門でも500kWhを使っていますが、自部門の分は配賦の計算に使いません。

補助部門(配賦基準)加工部門へ組立部門へもう一方の補助部門へ
動力部門(動力供給量)6,000kWh2,000kWh修繕部門へ2,000kWh
修繕部門(修繕時間)20時間60時間動力部門へ20時間

直接配賦法|補助部門どうしのやりとりは無視する

直接配賦法は、補助部門どうしのサービスのやりとりをないものとして、補助部門費を製造部門だけに配る方法です。分母も製造部門の使用量だけで作ります。

補助部門費配賦率加工部門へ(円)組立部門へ(円)
動力部門費 400,000円400,000÷8,000kWh=50円300,000100,000
修繕部門費 300,000円300,000÷80時間=3,750円75,000225,000

製造部門費は、加工部門が2,035,000+300,000+75,000=2,410,000円です。組立部門は1,465,000+100,000+225,000=1,790,000円です。

▶ 動画で確認する(5:22〜 第2次集計①──直接配賦法)

相互配賦法(簡便法)|1回目だけ補助部門にも配る

相互配賦法は、補助部門どうしのサービスのやりとりも計算に入れる方法です。2級で使う簡便法では、1回目は補助部門どうしにも配り、2回目は1回目に受け取った額を直接配賦法で製造部門だけに配って終わります。

1回目(補助部門にも配る)加工部門へ(円)組立部門へ(円)補助部門へ(円)
動力部門費 400,000円(400,000÷10,000kWh=40円)240,00080,000修繕部門へ 80,000
修繕部門費 300,000円(300,000÷100時間=3,000円)60,000180,000動力部門へ 60,000
2回目(直接配賦法で製造部門だけへ)加工部門へ(円)組立部門へ(円)
動力部門が受け取った修繕部門費 60,000円(6,000:2,000)45,00015,000
修繕部門が受け取った動力部門費 80,000円(20:60)20,00060,000

製造部門費は、加工部門が2,035,000+240,000+60,000+45,000+20,000=2,400,000円です。組立部門は1,465,000+80,000+180,000+15,000+60,000=1,800,000円です。1回目の分母には、動力部門の自部門分500kWhを入れていない点を確認してください。

▶ 動画で確認する(6:14〜 第2次集計②──相互配賦法)

結果の比較と2つの検算

部門第1次集計後(円)直接配賦法(円)相互配賦法(円)
加工部門2,035,0002,410,0002,400,000
組立部門1,465,0001,790,0001,800,000
動力部門400,00000
修繕部門300,00000
合計4,200,0004,200,0004,200,000

検算は2つです。1つ目は、製造部門費の合計が第1次集計後の総額4,200,000円と一致すること。2つ目は、補助部門の欄が最後にゼロになることです。相互配賦法の動力部門なら、400,000+受け取った60,000−1回目に配った400,000−2回目に配った60,000=0円になります。

方法によって、加工部門と組立部門の金額は10,000円ずつ入れ替わりました。総額は変わらず、製造部門への分け方だけが変わるのが第2次集計の特徴です。相互配賦法のほうが補助部門どうしのやりとりを反映しますが、どちらで解くかは問題文の指示に従います。

部門別予定配賦率と予算差異・操業度差異

部門別予定配賦率は、第2次集計後の製造部門費予算を、その部門の基準操業度で割って求めます。分子に使うのは、補助部門費を受け入れた後の金額です。設例の相互配賦法の結果で率を作ると、次のようになります。

部門別予定配賦率 = 第2次集計後の製造部門費予算 ÷ その部門の基準操業度

製造部門基準操業度(月間)予定配賦率
加工部門1,200機械作業時間2,400,000÷1,200=2,000円
組立部門1,500直接作業時間1,800,000÷1,500=1,200円

当月の実績は、加工部門の機械作業時間が1,150時間、組立部門の直接作業時間が1,540時間でした。予定配賦額は加工部門が2,000×1,150=2,300,000円、組立部門が1,200×1,540=1,848,000円です。

部門別の予定配賦(単位:円)

借方貸方
仕掛品4,148,000加工部門費2,300,000
組立部門費1,848,000

▶ 動画で確認する(3:42〜 部門別予定配賦率)

実際の部門別配賦表で集計した当月の実際発生額は、加工部門2,368,000円、組立部門1,830,000円でした。配賦差異は、加工部門が2,300,000−2,368,000=−68,000円で不利差異です。組立部門は1,848,000−1,830,000=+18,000円で有利差異です。

加工部門の配賦差異(不利差異・単位:円)

借方貸方
製造間接費配賦差異68,000加工部門費68,000

組立部門の配賦差異(有利差異・単位:円)

借方貸方
組立部門費18,000製造間接費配賦差異18,000

加工部門の差異を予算差異と操業度差異に分ける

加工部門費の月間予算2,400,000円は、変動費1,080,000円と固定費1,320,000円からなるとします(公式法変動予算)。変動費率は1,080,000÷1,200=900円、固定費率は1,320,000÷1,200=1,100円です。部門別でも、差異の分け方は工場全体のときと同じです。

行金額(円)隣の行との差(円)
予定配賦額2,000×1,150=2,300,000−55,000(操業度差異・不利)
予算許容額900×1,150+1,320,000=2,355,000−13,000(予算差異・不利)
実際発生額2,368,000合計−68,000

操業度差異は1,100×(1,150−1,200)=−55,000円とも計算でき、2つの差異の合計−68,000円は配賦差異と一致します。この3行の表の作り方と有利・不利の判定は、シュラッター図の書き方で詳しく説明しています。

▶ 動画で確認する(5:18〜 部門別の製造間接費配賦差異)

よくある間違いと、配賦表が合わなくなる原因

  1. 直接配賦法の分母に補助部門の使用量を入れる:資料の使用量をすべて足してしまうのが原因です。直接配賦法の分母は製造部門の使用量だけです。入れてしまうと配り残しが出て、製造部門費の合計が総額に届きません。
  2. 相互配賦法で自部門の使用量を分母に入れる:資料の表に自部門の欄があると、つい合計に含めてしまいます。自分で自分にサービスを配っても意味がないので除きます。
  3. 相互配賦法の2回目も補助部門に配る:1回目と同じ比率を使い続けるためです。2回目は直接配賦法に切り替え、製造部門だけに配って終わります。
  4. 部門別予定配賦率の分子に第1次集計後の金額を使う:配賦表の途中の行を読んでしまうのが原因です。補助部門費を受け入れた後の製造部門費を使わないと、率が低くなり配賦不足が生じます。
  5. 加工部門の率に組立部門の操業度を掛ける:部門ごとに配賦基準が違うことを忘れるためです。率も量も、その部門のもの(加工は機械作業時間、組立は直接作業時間)を使います。

配賦計算は割り算と掛け算の繰り返しなので、電卓のメモリー機能を使うと途中の数字を書き写す回数が減ります。使い方は簿記の電卓の使い方(GTとメモリー)にまとめています。

練習問題|配賦表を自分で埋める

練習問題1

第1次集計後の部門費は、第1製造部900,000円、第2製造部700,000円、動力部240,000円、工場事務部120,000円である。動力部の動力供給量は第1製造部3,000kWh、第2製造部1,000kWh、工場事務部1,000kWh。工場事務部の配賦基準は従業員数で、第1製造部20人、第2製造部20人、動力部10人、工場事務部5人である。(1)直接配賦法、(2)相互配賦法(簡便法)で、第1製造部費と第2製造部費を求めなさい。

練習問題1の解答と解説を見る

(1)直接配賦法:動力部費240,000円は3,000:1,000で180,000円と60,000円に、工場事務部費120,000円は20:20で60,000円ずつに配ります。第1製造部費は900,000+180,000+60,000=1,140,000円です。第2製造部費は700,000+60,000+60,000=820,000円です。

(2)相互配賦法:1回目の動力部費の配賦率は240,000÷5,000kWh=48円です。第1製造部に144,000円、第2製造部に48,000円、工場事務部に48,000円を配ります。工場事務部費は自部門の5人を除いて120,000÷50人=2,400円とし、第1製造部に48,000円、第2製造部に48,000円、動力部に24,000円を配ります。2回目は、動力部が受け取った24,000円を3:1で18,000円と6,000円に配ります。工場事務部が受け取った48,000円は1:1で24,000円ずつです。

第1製造部費は900,000+144,000+48,000+18,000+24,000=1,134,000円です。第2製造部費は700,000+48,000+48,000+6,000+24,000=826,000円です。どちらの方法でも合計は1,960,000円で、第1次集計後の総額と一致します。

練習問題2

第2製造部の月間予算(第2次集計後)は840,000円(変動費360,000円、固定費480,000円)、月間の基準操業度は600直接作業時間である。当月の実際直接作業時間は560時間、実際発生額は812,000円だった。予定配賦の仕訳、配賦差異の仕訳を答え、予算差異と操業度差異を求めなさい。

練習問題2の解答と解説を見る

練習問題2の予定配賦(1,400円×560時間・単位:円)

借方貸方
仕掛品784,000第2製造部費784,000

練習問題2の配賦差異(不利差異・単位:円)

借方貸方
製造間接費配賦差異28,000第2製造部費28,000

予定配賦率は840,000÷600=1,400円(変動費率600円、固定費率800円)で、予定配賦額は1,400×560=784,000円です。配賦差異は784,000−812,000=−28,000円の不利差異です。予算許容額は600×560+480,000=816,000円なので、予算差異は816,000−812,000=+4,000円(有利)です。操業度差異は800×(560−600)=−32,000円(不利)で、合計は−28,000円と一致します。

練習問題3

次の文の正誤を答えなさい。
(1) 直接配賦法では、補助部門費を補助部門にも配賦する。
(2) 相互配賦法(簡便法)の2回目の配賦は、直接配賦法と同じ方法で行う。
(3) 部門別予定配賦率は、第1次集計後の製造部門費予算を基準操業度で割って求める。

練習問題3の解答と解説を見る

(1)は誤りです。直接配賦法は補助部門どうしのやりとりを無視し、製造部門だけに配賦します。(2)は正しい文です。1回目に受け取った額を製造部門だけに配って終えます。(3)は誤りです。分子は、補助部門費を受け入れた後の第2次集計後の製造部門費予算です。

まとめ

  • 部門別原価計算は、製造間接費を部門ごとに集め、部門ごとの率で製品へ配る計算。目的は配賦の正確性と原価管理
  • 第1次集計は、部門個別費を賦課し、部門共通費を床面積・従業員数などで全部門へ配賦する
  • 第2次集計は、直接配賦法なら製造部門だけへ、相互配賦法(簡便法)なら1回目は補助部門にも配り、2回目は直接配賦法で終える
  • 検算は、製造部門費の合計=総額と、補助部門の欄がゼロになることの2つ
  • 部門別予定配賦率の分子は第2次集計後の製造部門費予算。差異は部門ごとに予算差異と操業度差異に分ける

次の一歩として、簿記2級の無料講義 全66本の一覧で部門別計算の前後の講義を見ておくと、個別原価計算から総合原価計算への流れがつながります。続けて読むなら、製品別計算の次の論点である総合原価計算の解き方がおすすめです。

動画で学ぶ|部門別原価計算と部門別配賦表の講義

よくある質問

直接配賦法と相互配賦法は、どちらを使えばいいですか?

問題文で指定された方法を使います。相互配賦法のほうが補助部門どうしのやりとりを反映しますが、指定がどちらでも解けるように、同じ設例で両方を計算する練習をしておくと安心です。

相互配賦法で、自部門へのサービス提供は計算に含めますか?

含めません。自部門で使った動力や自部門の従業員数は、配賦率の分母から除きます。分母に入れると、その分が自部門に残って配り残しが出るためです。

部門別予定配賦率の分子は、第1次集計後の金額ですか?

いいえ、第2次集計後の製造部門費予算です。補助部門費を受け入れた後の金額で率を作らないと、補助部門費の分だけ配賦が足りなくなります。

補助部門費は、なぜ製品に直接配賦しないのですか?

補助部門は製品を直接加工していないので、製品ごとの使用量を測りにくいからです。いったん製造部門に配り、製造部門の率で製品へ配賦します。2級では、補助部門費は製造部門を経由して製品に配ると覚えておきましょう。

執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士

情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)

記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。

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この記事を書いた人

ぼきの森学校の編集部です。日商簿記(初級・3級・2級)と原価計算初級の講義動画・解説記事・仕訳トレーニングを制作しています。記事は公認会計士・税理士が監修し、日本商工会議所の出題区分表や公表資料などの一次情報を確認したうえで公開しています。内容の誤りはお問い合わせフォームからお知らせください。

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