通信講座を申し込んだあと、最初の3回だけ講義を見て止まる。よくある話です。原因を「意志が弱いから」で片づけると次も同じことが起きるので、もう少し分解します。簿記の通信講座が止まる場所は決まっていて、しかも講義の何回目で止まるかまで、だいたい予想がつきます。この記事では止まる位置を3つ挙げ、それぞれの抜け方と、最初から組んでおくべき週の時間割を示します。
止まるのは3か所しかない
1か所目:3級の決算整理に入ったところ
ここまでは仕訳を1つずつ覚えれば進みます。ところが決算整理に入ると、貸倒引当金の差額補充、減価償却の月割、売上原価の算定、費用収益の繰延べと見越しが立て続けに出てきて、しかも互いに関係している。1つ分からないと次が分からない構造になります。
抜け方は単純で、ここだけは1回で理解しようとしないこと。決算整理の講義を最後まで一度通し、分からないまま精算表の講義まで見てしまう。精算表で「決算整理の結果がここに入るのか」と分かった瞬間に、戻って理解できることが多い。順番に完璧を求めると、ここで止まります。
2か所目:2級の工業簿記の最初の2週間
商業簿記の延長だと思って入ると必ず引っかかります。仕掛品、製造間接費、配賦。どれも3級には出てこない概念で、しかも一度に出てきます。ネットスクールの2級標準コースでは工業簿記が11回・商業簿記が14回という配分になっていますが、この工業簿記11回の最初の2〜3回がいちばん脱落しやすい。
ここを越える方法は、講義を後半まで進めてから戻ることです。総合原価計算まで見ると、仕掛品が何を指しているかが具体的に分かる。前から順に完全に理解しようとすると、抽象度がいちばん高い最初の2回で止まります。
3か所目:講義が2週間分たまったところ
これは内容ではなく量の問題です。1週間遅れは取り返せますが、2週間分がたまると「今から追いつくには週2倍やる必要がある」と計算してしまい、心理的に手が止まる。ここで止まった講座は、たいてい再開されません。

2週間たまったときの対処
追いつこうとしないでください。たまった講義は倍速で流し見して、演習だけ現在の進度に合わせる。「全部きちんと見る」を捨てないと再開できません。
申し込む前に週の時間割を書く
止まる原因のかなりの部分は、買う前の見積もりの甘さにあります。講義時間を公表している講座なら、必要な週あたりの時間は計算できます。
| 3級(標準コース) | 2級(標準コース) | |
|---|---|---|
| 講義の総量(目安) | 約56時間 | 約100時間 |
| 受講期限までの期間 | 約5か月 | 約7か月 |
| 講義だけで週あたり | 約2.6時間 | 約3.3時間 |
| 自習を含めた実際の必要量 | 週5〜7時間 | 週7〜9時間 |
数字はネットスクールの講座構成を分解した記事で使ったものです。講義を聞く時間の2倍前後が実際に必要になると考えてください。講義を聞いただけで解けるようにはなりません。
週7時間というのは、平日1時間と土日1時間ずつです。この枠がカレンダーに入らないなら、その講座は買ってはいけない。安い講座に変えるより、受験時期をずらして時間が取れる期に合わせるほうが結果は良くなります。
続いている人がやっていること
曜日と科目を固定する
「今日は何をやろう」と考える時間をなくすことが、いちばん効きます。火曜と木曜は工業簿記、月水金は商業簿記、土曜は演習、日曜は予備。この形にしておくと、決める負荷がゼロになります。予備日を1日置いておくのがコツで、ここが遅れの吸収装置になります。
講義を見る前に、前回の演習を1問だけ解く
再開のハードルを下げる工夫です。いきなり40分の講義を見るのは重いけれど、3分の仕訳1問なら始められる。始めてしまえば続きます。逆に「今日は講義1本」と決めていると、40分の余裕がない日はゼロになります。
受験日を先に申し込む
ネット試験は随時受けられるので、仕上がってから申し込むこともできます。ただ、締切がないと動けないタイプの人は先に申し込むほうがいい。受験料3,300円(3級・税込)を先に払ってしまうと、消化の優先順位が上がります。日程と申込方法は試験日と申込方法の記事にまとめました。
講義を見ただけでは解けるようにならない
もうひとつ、止まる前段階でよく起きる誤解があります。講義を全部見終えた時点で、実力がついたと感じてしまうことです。
講義中は講師が順を追って説明するので、その場では理解できます。ところが自分で白紙に向かうと、どこから手を付けるかが出てこない。理解と再現のあいだには距離があり、その距離を埋めるのは演習だけです。ここを飛ばして講義を進めると、答練に入った段階で点が取れず、そこで一気に手が止まります。
目安として、講義1に対して演習1以上。40分の講義を見たら、40分は自分で解く。この比率を守れないなら、講義の進度を落としてでも演習の時間を確保したほうがいい。進度が遅れることより、解けないまま先へ進むことのほうが後で高くつきます。
講座に付いている仕訳テストや答練は、この演習枠として使えます。ネットスクールの2級標準コースなら仕訳テスト10回と直前答練8回、スタディングならスマート問題集と実戦力UPテストがその役割です。講義とセットで消化する前提で週の時間を組んでください。
それでも合わなかったときの切り替え方

講義形式そのものが合わないこともあります。文字で読むほうが速い人が動画講義を買うと、1.5倍速でも遅く感じて苦痛になる。この場合は根性の問題ではないので、形式を変えるべきです。
| 止まり方 | 原因の可能性 | 切り替え先 |
|---|---|---|
| 講義が遅く感じて飛ばしてしまう | 読むほうが速いタイプ | 市販教材での独学に戻す。講義は分からない論点だけ見る |
| テキストを読んでも頭に入らない | 聞くほうが入るタイプ | 講義中心の講座を継続。テキストは索引として使う |
| 時間は取れるのに手が動かない | 順路が決まっていない | 学習フローが固定されている講座に切り替える |
| そもそも時間が取れない | 見積もりの誤り | 受験時期を後ろにずらす。講座を替えても解決しない |
3行目のケースは、順路が固定されているタイプの講座が合います。たとえばスタディングは基本講座からスマート問題集、実戦力UPテスト、検定対策模試へと進む学習フローが決まっていて、次に何をやるかを自分で決める必要がありません。仕様はスタディング簿記講座を整理した記事に。
まとめ
- 止まるのは3か所。3級の決算整理、2級の工業簿記の最初の2週間、講義が2週間たまったとき
- 最初の2つは「先に進んでから戻る」で抜けられる。順番に完璧を求めると止まる
- 2週間たまったら追いつこうとしない。講義は倍速で流し、演習だけ現在に合わせる
- 必要な時間は講義時間の約2倍。3級で週5〜7時間、2級で週7〜9時間
- 曜日と科目を固定し、予備日を1日置く。再開は3分の仕訳1問から
動画で学ぶ|1本5〜10分で続ける講義
おすすめの講義(簿記3級 #00・5:26)
5:26【簿記3級 #00】試験の概要と最短ルート|60分の配点と解く順番試験は60分。第1問 仕訳15題45点/第2問20点/第3問35点、70点で合格 / 解く順番は 第1問 → 第3問 → 第2問。配点の大きい順に取り切る / 統一試験とネット試験の違い、直近の合格率 / 独学でつまずく典型パターンと、このシリーズの進め方▶ YouTubeで見るあわせて見たい動画
よくある質問
通信講座の講義がたまってしまいました。どうすればよいですか?
たまった講義を全部きちんと見ようとしないでください。倍速で流し見して内容の見当だけ付け、演習は現在の進度に合わせます。2週間分を丁寧に追いつこうとすると、その計算だけで手が止まります。優先すべきは進度を現在に戻すことで、理解の穴は演習をしながら埋めるほうが速く進みます。
週にどのくらい時間があれば通信講座は続きますか?
3級で週5〜7時間、2級で週7〜9時間が目安です。講義を聞く時間の約2倍が必要になると考えてください。2級の場合、講義だけで約100時間あり、これを7か月で消化すると週3.3時間。ここに問題を解き直す時間が同程度以上乗ります。この枠がカレンダーに入らない場合は、受験時期をずらすほうが確実です。
途中で講座を替えるのはありですか?
形式が合っていない場合はありです。動画が遅く感じて飛ばしてしまう人は読むほうが速いタイプなので、市販教材での独学に戻し、講義は分からない論点だけ見る形が合います。ただし「時間が取れない」が原因の場合は、講座を替えても解決しません。この場合は受験時期の見直しが先です。
執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年9月6日(講座の講義時間・受講期限は各社の公式サイトでご確認ください)
内容の誤りにお気づきの際は お問い合わせフォーム からお知らせください。運営者情報・監修体制 もあわせてご覧ください。


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] とめ買いの単価が安いのは、途中で止まらなかった人だけが受け取れる利益だと考えてください。止まりやすい場所については 通信講座が続かなくなる3か所と抜け方 で整理しています。 […]