働きながら簿記3級を目指すとき、YouTubeの無料講義だけで合格できるのかは気になるところです。先に答えると、講義を見るだけでは足りません。動画で身につくのは理解で、合格を決めるのは自分の手で仕訳や表を埋めた量だからです。
ただし、1本見たらその日のうちに同じ論点の問題を解く使い方なら、無料講義はテキスト代わりの軸になります。この記事では全50本(6時間49分)の回し方を、統一試験の日程から逆算した社会人向けの2プランで示します。
この記事の内容を動画で解説しています(簿記3級 #00・5:26)
5:26【簿記3級 #00】試験の概要と最短ルート|60分の配点と解く順番試験は60分。第1問 仕訳15題45点/第2問20点/第3問35点、70点で合格 / 解く順番は 第1問 → 第3問 → 第2問。配点の大きい順に取り切る▶ YouTubeで見るYouTubeの講義だけで簿記3級に受かる?
結論として、講義動画を見るだけで合格点に届く人は多くありません。簿記3級は60分の試験で、70%以上の得点で合格です(日本商工会議所の試験概要)。公表されているサンプル問題や近年の出題では、第1問が仕訳15題という構成が一般的で、時間内に手を動かし続ける試験です。
動画だけでは足りない理由は3つあります。
- 見てわかることと、白紙から書けることは別の力です。講義で納得できても、科目名と左右を自分で書けるとは限りません。
- 試験は時間との勝負です。仕訳を1題ずつ考え込んでいると、決算の表を埋める時間が残りません。速さは解いた量でしか上がりません。
- 第2問・第3問は、帳簿や精算表を埋める作業の量が多い問題です。手順を知っていても、最後まで埋めた経験がないと本番で詰まります。
| 動画で身につくこと | 動画だけでは足りないこと | 補う方法 |
|---|---|---|
| 論点の意味と仕訳の形 | 白紙から仕訳を書く力 | 1本見たら同じ論点の問題を解く |
| 解き方の手順 | 60分で解き切る速さ | 時間を計って本試験形式を解く |
| 間違えやすい点 | 自分の弱点がどこか | 間違えた問題を記録して解き直す |
動画中心の独学で足りる人の条件
次の3つがそろう人は、講義動画を軸にした独学で十分に戦えます。1つでも欠けるなら、問題集やテキストを足すことを考えてください。
- 講義1本ごとに、同じ論点の問題を3〜5問は用意できる(問題集1冊か、無料の問題)
- 見る時間とは別に、解く時間を1日30分以上取れる
- 試験前に、本試験形式の問題を時間を計って2回以上解く予定を立てられる
教材を買うか迷う場合は簿記3級のテキストの選び方、講座も含めて比べたい場合は独学か通信講座かを決める順番が参考になります。
全50本の中身と、再生リスト4本の使い分け
ぼきの森学校の簿記3級講義は、試験の概要(#00)から決算の落とし穴(#49)までの全50本です。1本5〜10分で、合計6時間49分あります。毎日2本ずつ公開していて、2026年10月6日に全50本がそろう予定です。
再生リストは4本あり、時期によって使い分けます。
| 再生リスト | 本数と合計時間 | 使う時期 |
|---|---|---|
| 日商簿記3級 完全講義【全50本】 | 50本・6時間49分 | 1周目。#00から番号順に見る |
| 第1問対策|仕訳をマスターする | 28本・3時間53分 | 2周目の最優先。仕訳の論点だけを通す |
| 第2問対策|帳簿・伝票・勘定記入 | 11本・1時間24分 | 補助簿・伝票・試算表を固める |
| 第3問対策|決算整理から財務諸表まで | 9本・1時間17分 | 試験前に決算の流れを通しで確認 |
1周目を番号順にするのは、後半の決算(#38以降)が、前半で学ぶ仕訳を材料にしているからです。#00(試験の概要)と#01(簿記の目的)は全50本のリストにだけ入っています。
2周目からは大問別のリストに切り替え、本番で解く順と同じ第1問→第3問→第2問の順で弱いところを埋めます。近年の出題では第1問45点・第3問35点・第2問20点の構成が一般的で、点の大きい大問から固める考え方です。なお、大問ごとの配点は公式の試験概要には書かれていません。
再生速度ごとの所要時間
| 再生速度 | 全50本 | 第1問対策28本 |
|---|---|---|
| 等速 | 6時間49分 | 3時間53分 |
| 1.25倍 | 約5時間27分 | 約3時間7分 |
| 1.5倍 | 約4時間32分 | 約2時間35分 |
1.25倍なら、講義1本は平均して6〜7分です。社会人の独学で時間を食うのは、見ることより解くことだとわかります。計画は、解く時間を先に確保して組み立てます。
何日で回す?社会人の2プランを試験日から逆算
統一試験(ペーパー試験)の日程は、第174回が2026年11月15日(日)、第175回が2027年2月28日(日)です(日本商工会議所の試験日程)。ここでは、講義の1周に5週、演習に2週をあてる7週間を基本の型にします。
| 項目 | 平日1時間プラン | 週末まとめプラン |
|---|---|---|
| 平日 | 講義2本+同じ論点の問題(1時間) | 通勤や昼休みに15分、前回の問題を解き直す |
| 土日 | 遅れの取り戻しと1週間分の復習(予備日) | 各3時間で講義5本+同じ論点の問題 |
| 講義50本にかかる日数 | 平日25日(5週) | 週末10日(5週) |
| 第174回に間に合う開始 | 9月28日(月)の週 | 9月26日(土)の週末 |
どちらのプランも1週間に10本ずつ進むので、週ごとの範囲は共通です。
| 週 | 講義の範囲 | その週に解く論点 |
|---|---|---|
| 1週目 | #00〜#09 | 仕訳の基本、商品売買(3分法)、仕入帳・商品有高帳 |
| 2週目 | #10〜#19 | 現金・預金、売掛金・買掛金、電子記録債権、貸付金・借入金 |
| 3週目 | #20〜#29 | 給料と預り金、仮払金、固定資産と減価償却、貸倒れ |
| 4週目 | #30〜#39 | 税金、資本と配当、訂正仕訳、帳簿と伝票、決算の入口 |
| 5週目 | #40〜#49 | 決算整理、精算表、財務諸表、大問別の総まとめ |
| 6週目 | 第1問→第3問のリスト | 決算を1問通して解いてから、間違えた論点の回を見直す。本試験形式を2回 |
| 7週目 | 仕上げ | 本試験形式をもう1〜2回、間違えた問題の解き直し |
10月6日までは講義が毎日2本ずつ公開されますが、この表のペースなら公開を待たずに進められます。開始が遅れた場合は、#07・#24・#26を後回しにすると3本分を詰められます。この3本は、2026年度の3級では範囲外だからです(後の章で説明します)。
想定ケース(解説のための設定です。実在の人物ではありません)
平日は19時半に帰宅し、通勤は片道30分の会社員。第174回を目指して9月28日に始める。朝の通勤で前日に間違えた問題を解き直し、夜は講義2本(1.25倍で約13分)と同じ論点の問題を40分。土曜は予備日にして、遅れた本数だけ取り戻す。
第175回(2月28日)なら1日1本でも間に合う
第175回を受ける人は、平日1日1本のペースでも間に合います。講義に10週、演習に3週で合計13週なので、2026年11月30日(月)に始めれば2月28日に届く計算です。年末年始に進まない週が出ることを見込むなら、11月中旬に始めると余裕が生まれます。
日程を自分で選べるネット試験なら、講義が1周した時点で2〜3週間後の日程を予約すると、演習の締め切りができます。ただし、2026年11月9日〜18日と2027年2月22日〜3月3日はネット試験の休止期間です。申込みの流れは簿記3級の試験日と申込みの記事で確認できます。勉強時間の総量や週ごとの細かい計画は、簿記3級の独学スケジュール(3か月の週次計画)にまとめています。
見るだけで終わらせない|1本1問ルールと倍速・字幕・メモ
講義の効果を得点に変えるのが、1本1問ルールです。講義を1本見たら、その日のうちに同じ論点の問題を最低1問、できれば3〜5問解きます。講義は1本1テーマなので、問題集の該当ページと組み合わせやすくなっています。
- 講義を見る。仕訳や計算が画面に出たら一時停止し、答えを先に紙に書いてから再生する
- その日のうちに、同じ論点の問題を解く(問題集の該当ページや、簿記3級の仕訳問題20問など)
- 間違えた問題は、講義の該当場面だけ見直して、もう一度解く
- 翌日の最初の5分で、前日に間違えた問題だけを解き直す
ポイント
見る→解く→間違いを直す→翌日に解き直す、までを1本の単位にします。見るだけの日を作らないことが、動画中心の独学でいちばん効きます。
見るだけで終わる人の失敗3パターン(なぜそうなるか)
1本1問ルールが必要なのは、動画中心の独学に次の3つの失敗が起きやすいからです。
| 失敗 | なぜ起きるか | 対策 |
|---|---|---|
| 全部見てから問題を解こうとする | 5週目には1週目の論点を忘れている。見終えた達成感で、演習の開始も遅れがち | 1本ごとに同じ論点を解く |
| 倍速で流して「わかった」で次へ進む | 画面で答えを見せてもらうだけで、科目名・左右・計算を自分でしていない | 仕訳が出たら一時停止し、先に自分で書く |
| 決算(第3問)の通し練習が間に合わない | 決算は講義の終盤(#38〜#49)にあり、番号順だと演習期間が短くなる | 演習の最初の週に第3問を1問通して解く |
3つ目は特に注意が必要です。精算表や財務諸表は、整理事項を1つずつ処理して当期純利益まで埋める作業です。1問を最後まで通して解いた経験がないと、本番の時間内に終わりません。6週目の最初に決算を1問通して解くのは、このためです。
倍速は「初回は等速〜1.25倍、見直しは1.5倍」
初めての論点は、等速か1.25倍で見ます。それ以上速いと、仕訳の左右や計算の途中を目で追っても手が追いつきません。2周目の見直しや、大問別のリストで弱点をさらうときは1.5倍で十分です。
字幕と要点カードで、音を出せない場所でも見られる
講義は、話している内容の字幕と、仕訳表やT字の勘定などの要点カードが画面に出る作りです。音を出せない通勤電車でも内容を追えます。ただし電車の中では書けないので、1周目は家で、電車では2周目の見直しに使うのが向いています。
メモは3種類だけ。ノートまとめはしない
講義の内容をノートに写し直すと、1本に30分以上かかって続きません。メモは次の3つに絞ります。
- 左右を迷った勘定科目と、その定位置(例:前受金は負債なので増えたら右)
- 計算の式(例:月割の利息は「元本×年利率×月数÷12」)
- 間違えた問題の「なぜ間違えたか」を1行
3つ目の1行メモは、試験前の見直しでそのまま使えます。スキマ時間の使い分けは簿記のスキマ時間の使い方も参考にしてください。
2026年度に受けるなら手形を補う|講義は2027年度の範囲が本文
日商簿記の出題区分表(級ごとの試験範囲を定めた表)は、2027年度(2027年4月1日以降の試験)から改定されます。第174回・第175回と、2027年3月31日までのネット試験は、現行(2022年度適用)の区分表で出題されます。
この講義は、改定後の範囲を本文にし、2026年度までの扱いは注記で補う作りです。受験する時期によって、見方を少し変えてください。
| 受験する時期 | 講義に足すもの | 優先度を下げてよい回 |
|---|---|---|
| 2026年度(第174回・第175回、2027年3月31日までのネット試験) | 手形の論点を、2026年度版のテキストや問題集で補う | #07 売上原価対立法、#24 定率法、#26 除却・廃棄(2027年度から3級に移る論点) |
| 2027年度(2027年4月1日以降の試験) | 追加は不要。講義がそのまま対応 | 手形に関する注記は読み飛ばしてよい |
#07・#24・#26は2026年度の3級では2級の範囲ですが、2級に進むなら後で役立ちます。2026年度に受ける人向けには、合格のコツシリーズでも、手形と電子記録債権の仕訳を練習問題つきで扱います。改定の全体像は2027年度の出題区分表改定のまとめ、原文は日本商工会議所の出題区分表のページで確認できます。
合格のコツ(10月7日から毎日2本)とショートの使いどころ
講義50本のほかに、試験対策の「合格のコツ」シリーズと、1分のショートがあります。役割が違うので、使う時期を分けると効率が上がります。
| シリーズ | 公開 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 講義(全50本) | 毎日2本。10月6日にそろう予定 | 1周目の理解。2周目は大問別のリスト |
| 合格のコツ | 10月7日から毎日2本(7時・19時)の予定 | 講義1周目の後半から。演習の回は止めて解く |
| ショート「1分でひとつ」 | 毎日12時(10月9日まで) | 昼休みや寝る前の思い出し |
合格のコツには、演習の回と戦略の回があります。前者は仕訳問題20問、後者は本番60分の使い方などです。演習の回も、見るだけなら講義と同じです。問題が出たら止めて、自分で書いてから答えを見ると演習になります。
ショートは新しいことを覚える場ではなく、講義で学んだことを思い出すきっかけです。借方と貸方の覚え方や、第1問→第3問→第2問の解く順番など、1分で確かめられる内容です。講義を見られない日の「つなぎ」に向いています。
練習問題:1本1問ルールを試す
講義を見た日に解く問題の例です。3問とも本記事のオリジナルです。
練習問題1(講義#05の3分法を見た日に解く)
商品80,000円を仕入れ、代金は掛けとした。仕訳を答えなさい。
練習問題1の解答と解説を見る
練習問題1の仕訳(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 80,000 | 買掛金 | 80,000 |
3分法では、商品を仕入れたら仕入(費用)の発生で左に書きます。代金を後で払う義務は買掛金(負債)の増加なので右です。
練習問題2(講義#13の掛け取引を見た日に解く)
先月、掛けで売り上げた代金のうち45,000円が、普通預金口座に振り込まれた。仕訳を答えなさい。
練習問題2の解答と解説を見る
練習問題2の仕訳(単位:円)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 45,000 | 売掛金 | 45,000 |
普通預金(資産)が増えたので左、売掛金(資産)は回収されて減ったので右です。どちらも資産ですが、増えたか減ったかで左右が分かれます。
練習問題3(模擬試験の結果から見直す再生リストを選ぶ)
試験まで残り1週間。本試験形式の問題を解いた結果は、第1問33点(45点中)、第2問12点(20点中)、第3問19点(35点中)で、合計64点だった。最初に見直す再生リストはどれか。理由も答えなさい。
練習問題3の解答と解説を見る
第3問対策(9本・1時間17分)から見直します。満点との差は、第1問が45−33=12点、第2問が20−12=8点、第3問が35−19=16点で、第3問がいちばん伸ばせます。
第3問対策は合計1時間17分なので、1.5倍なら約51分で1周でき、残りの日を本試験形式の解き直しに使えます。第1問対策は28本・3時間53分と長いので、間違えた論点の回だけに絞ります。
まとめ
- 講義動画だけで合格点に届く人は少ない。動画は理解、合格は解いた量で決まる
- 全50本は6時間49分。1周目は番号順、2周目は第1問→第3問→第2問の再生リスト
- 第174回(2026年11月15日)なら講義5週+演習2週の7週間。平日1時間でも週末まとめでも1週10本
- 1本見たら、その日のうちに同じ論点を解く「1本1問ルール」を守る
- 2026年度に受ける人は手形を補い、#07・#24・#26は優先度を下げる
次の一歩として、簿記3級の無料講義 全50本の一覧を開き、#00から順に見始めてください。最初の山は講義#02の仕訳のルールなので、借方・貸方の覚え方を読んでから見ると入りやすくなります。本番の解き方と時間配分は簿記3級の大問別の解き方で整理しています。
動画で学ぶ|簿記3級 全50本の講義
この記事の講義(簿記3級 #00・5:26)
5:26【簿記3級 #00】試験の概要と最短ルート|60分の配点と解く順番試験は60分。第1問 仕訳15題45点/第2問20点/第3問35点、70点で合格 / 解く順番は 第1問 → 第3問 → 第2問。配点の大きい順に取り切る / 統一試験とネット試験の違い、直近の合格率 / 独学でつまずく典型パターンと、このシリーズの進め方▶ YouTubeで見るあわせて見たい動画
よくある質問
簿記3級はYouTubeの無料講義だけで合格できますか?
講義を見るだけでは難しいです。講義1本ごとに同じ論点の問題を解き、試験前に本試験形式の問題を時間を計って解けば、無料講義をテキスト代わりの軸にできます。
全50本を見るのに何時間かかりますか?
等速で合計6時間49分です。1.25倍速なら約5時間27分、1.5倍速なら約4時間32分で、1本あたりは5〜10分です。
テキストは買わなくても大丈夫ですか?
講義は範囲をひと通り扱うのでテキストの代わりになりますが、問題集は1冊あると安心です。2026年度に受ける人は、手形の論点を2026年度版の教材で補ってください。
講義は何倍速で見るのがいいですか?
初めての論点は等速か1.25倍、見直しは1.5倍が目安です。仕訳や計算の場面では一時停止し、先に自分で書いてから続きを見ます。
2027年4月以降に受ける場合も、この講義で大丈夫ですか?
はい。講義は2027年度の改定後の範囲を本文にしているので、そのまま使えます。受験前には、日本商工会議所の出題区分表で最新の範囲を確認してください。
執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年9月24日(試験要項・合格率は 日本商工会議所の公式サイト、改定内容は 出題区分表のページ でご確認ください)
記事中の設例・金額・想定ケースは解説のために作成したもので、実在の会社・人物・取引とは関係ありません。
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