簿記初級は、ネット試験だけで実施される入門の試験です。試験時間は40分、100点満点で70点以上が合格、受験料は2,200円(税込)です。出題範囲は「簿記の基本原理」「期中取引の処理」「月次の集計」の3つに分かれ、学ぶ順番もこの並びがいちばん無理がありません。
この記事では、出題範囲を3つの分野ごとに整理し、40分の選択式で点を取る解き方、オリジナルの例題5問、2週間の学習プランまでをまとめます。初級そのものの難易度や3級との違いは簿記初級とは?難易度・合格率・3級との違いで解説しています。
この記事の結論
用語の意味→仕訳→試算表の読み取り、の順に進めます。選択式なので、選択肢を見る前に自分で答えを出してから照らし合わせると、ひっかけに強くなります。1日30分ほどなら2週間が目安です。
出題範囲は3つの分野|何をどこまで学ぶか
日本商工会議所が公表している出題範囲は、次の3つの分野で構成されています。表の右の列は、本サイトの講義でどの回が対応するかの目安です。
| 分野 | 主な内容 | つまずきやすい点 | 対応する講義 |
|---|---|---|---|
| 簿記の基本原理 | 資産・負債・純資産・収益・費用、取引の8要素、勘定と仕訳、主要簿と補助簿、入金・出金・振替伝票 | 取引の8要素の組み合わせ | 簿記初級 #00〜#04 |
| 期中取引の処理 | 現金預金、売掛金と買掛金、その他の債権債務、電子記録債権・債務、商品(3分法)、固定資産、資本金・追加元入・引出、収益と費用、税金 | 引出と税金の勘定科目 | 簿記初級 #05〜#17 |
| 月次の集計 | 試算表から現金残高・売掛金の回収額・売上高・損益などを読み取る | 合計と残高の読み分け | 簿記初級 #18〜#21 |
3級との大きな違いは、決算整理の比重が小さく、代わりに「月次の集計」で試算表を読む力が問われる点です。また、店主が店のお金を私用に使う「引出」など、個人の店を前提にした論点が含まれます。
40分・選択式で点を取る解き方
初級の出題形式は選択式です。選択肢があるぶん、似た勘定科目を並べたひっかけが入りやすくなります。次の3つを徹底してください。
- 選択肢を見る前に答えを出す:問題文を読んだら、まず自分で借方・貸方の勘定科目を決め、それから選択肢と照らし合わせます。
- 「増えたか・減ったか」を1語で書く:取引ごとに「現金↑」「買掛金↑」のようにメモ用紙へ書くと、左右の取り違えが減ります。
- 集計の問題は式を先に書く:回収額や残高を問われたら、「月初残高+増えた額−月末残高」のような式を書いてから数字を入れます。
時間は40分です。迷った問題は印をつけて先に進み、最後に戻る方が全体の得点は安定します。
例題5問で出題の型を確かめる
本サイトで作成したオリジナルの例題です。答えを見る前に、自分で答えを出してから開いてください。
例題1 取引の8要素
商品50,000円を仕入れ、代金は掛けとした。この取引は、8要素のどれとどれの組み合わせか。
例題1の答えと解説
「費用の発生」(仕入)と「負債の増加」(買掛金)の組み合わせです。仕入は費用なので借方、代金をあとで払う約束の買掛金は負債なので貸方に書きます。
例題2 引出
店主が、店の現金10,000円を私用に使った。正しい仕訳はどれか(引出金勘定を用いる)。
ア 借方:引出金 10,000/貸方:現金 10,000
イ 借方:現金 10,000/貸方:引出金 10,000
ウ 借方:雑費 10,000/貸方:現金 10,000
例題2の答えと解説
正解はアです。店のお金が減るので現金は貸方。私用に使った分は店の費用ではないため、雑費ではなく引出金で記録します。引出金勘定を使わない指示の場合は、借方を資本金にします。
例題3 伝票
商品30,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。3伝票制では、どの伝票に何の科目を書くか。
例題3の答えと解説
入金伝票に「売上 30,000」と書きます。現金が増える取引は入金伝票を使い、借方が現金に決まっているので、伝票には相手の科目(売上)だけを書きます。
例題4 税金
店舗の固定資産税20,000円を、現金で納付した。借方の勘定科目は何か。
例題4の答えと解説
租税公課です。店の固定資産税や印紙税は、店の費用として租税公課で処理します。仕訳は「借方:租税公課 20,000/貸方:現金 20,000」です。
例題5 月次の集計
月初の売掛金残高は80,000円、当月の掛売上は300,000円、月末の売掛金残高は130,000円だった。当月に回収した売掛金はいくらか(貸倒れはないものとする)。
例題5の答えと解説
250,000円です。売掛金は「月初残高+増えた額−減った額=月末残高」なので、減った額(回収額)は 80,000+300,000−130,000=250,000円です。式を先に書いてから数字を入れると、足し引きの向きを間違えません。
2週間の学習プラン
1日30分ほど取れる人向けの目安です。講義は1本あたり6分前後なので、1日2本見て、同じ論点の問題を解く時間にあてます。
| 日 | やること | その日のゴール |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 簿記の基本原理(講義 #00〜#04) | 5つの要素と8要素で、取引の左右を説明できる |
| 4〜8日目 | 期中取引の前半(#05〜#12)現金預金・商品売買・債権債務 | よく出る取引を、選択肢を見ずに仕訳できる |
| 9〜11日目 | 期中取引の後半(#13〜#17)固定資産・給与・税金・資本 | 引出・追加元入・税金の勘定科目を迷わず選べる |
| 12〜13日目 | 月次の集計(#18〜#20) | 試算表から残高・回収額・売上高を読み取れる |
| 14日目 | ネット試験対策(#21)と通し練習 | 40分で全問を解き終え、見直しの時間を残せる |
講義の一覧は簿記初級・原価計算初級の講義一覧にまとめています。
よくある間違いと、なぜ間違えるのか
| 間違い | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 店主の私用の支出を費用にする | お金が出ていく=費用と思い込む | 店の活動のための支出かどうかを先に考える |
| 入金伝票に「現金」と書く | 仕訳をそのまま写そうとする | 入金伝票は借方が現金と決まっているので、相手の科目だけ書く |
| 回収額に月末残高をそのまま答える | 「残高」と「減った額」を区別していない | 月初+増加−月末=減少、の式を書いてから計算する |
| 選択肢の似た科目に引っかかる | 選択肢を見てから考え始める | 自分の答えを先に決めてから照らし合わせる |
まとめ
- 簿記初級はネット試験のみ・40分・70点以上で合格・受験料2,200円(税込)
- 出題範囲は基本原理・期中取引・月次の集計の3分野。この順に学ぶ
- 選択式は、選択肢を見る前に自分で答えを出すのがいちばんの対策
- 1日30分なら2週間が目安。月次の集計は式を書いてから数字を入れる
初級に合格したら、次は3級です。初級で学んだ仕訳と帳簿の流れは、3級の第1問・第2問の土台になります。3級の全体像は簿記3級の講義一覧、勉強時間の目安は簿記3級の独学の勉強時間で確認できます。
よくある質問
簿記初級は統一試験(紙の試験)でも受けられますか?
受けられません。簿記初級はネット試験だけで実施されています。受験できる会場と日時は、各会場の案内で確認してください。
初級を飛ばして3級から受けてもいいですか?
受けて構いません。3級に受験資格はありません。ただ、簿記がまったく初めてで、仕訳の左右に自信がない人は、初級の範囲を先に固めると3級の学習が進めやすくなります。
電卓は使えますか?
使えます。計算機能(四則演算)だけの電卓を持参します。スマートフォンなどの電卓機能は使えません。
執筆:ぼきの森学校 編集部 監修:公認会計士・税理士
情報確認日:2026年9月30日(試験の概要は 日本商工会議所「簿記 初級」、出題範囲は 出題区分表のページ でご確認ください)
例題は本サイトが作成したもので、実際の試験問題ではありません。
「日商簿記」は日本商工会議所および各地商工会議所が実施する検定試験の名称です。本サイトは同会議所が認定・公認する教材ではありません。
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